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献本書評
yukoさん
yuko
レビュアー:
警察大学の女子学生が夏休みの課題に選んだのは、亡き父が担当していた未解決事件。それは満潮の日、砂浜に若い臨月の妊婦が生き埋めにされ、潮が満ちていって溺死したという残酷な殺人事件でした・・・
上下巻まとめての書評です。


1987年ノードコステル島。
若い臨月の妊婦が、頭だけ出して砂浜に全裸で埋められ・・・
その夜は大潮。
潮が満ちて、身動きできない女性。

遠くから見ていた少年が慌てて両親に告げ、通報されたものの、妊婦は結局死亡。


そして、少年は妊婦を埋めた男たちを目撃していたものの、二十数年経った今もその事件は未解決のままでした。


警察大学三年生のオリヴィアは、夏休みの課題にいくつかの未解決事件を調べるという課題を渡され、その中からこのノードコステル島での事件を選びます。

なぜならば、この事件はオリヴィアの亡き父が担当していた事件だったから・・・


オリヴィアはノードコステル島を訪ねて、当時事件を目撃した少年を探し、話を聞こうと父の同僚だった男を探します。


同時期、ストックホルムではホームレスが襲撃され、暴行される動画をネット上にアップされるという連続暴行事件が起きていました・・・



二十数年前の未解決事件を追うオリヴィアと、ホームレス襲撃事件。
同時に物語は進行し、全く接点がないように思えるこの二つの事件が、意外なところで意外な共通人物が出てきます。


<マルティン・ベック>シリーズの映画の脚本を手掛けた二人組が書いたという本作。
上巻ではちょっといろんな要素がてんこ盛りになりすぎて、ちょっとサービス過剰気味な感じが否めず・・・
あまりにたくさんの出来事、人物がちりばめられすぎて、誰もかれも怪しく思えてなかなか読み進めるのに苦労しましたが、
下巻からはもう一気に読むのを止められない!といった感じで、ストーリーも謎解きもそれはそれは素晴らしい結末でした。


ラストは本当に全く想像もつかない結末で・・・あっと驚かされましたねぇ。


何より、
臨月の妊婦が全裸で、大潮の夜に海岸に生き埋めにされるという事件がかなり珍しいですし、
そこに現代の社会でありがちな弱者に対する暴力的な事件が絡まっていき、
一流企業の取締役や政治家、エスコート会社の経営者といった、裕福な人間たちと、社会的弱者という対比や、意外なところで両者の接点があったというあたりがなかなか面白かったです。


本国では続きが出ているそうで。

上巻ではたくさんの人がちょっとずつ出てきてなかなかストーリーが良くつかめなかったのですが、
下巻では四人のチームとも呼べるような関係性が出来上がりつつあり、そして衝撃のラスト、だったので、この四人がこの先どうなっていくのかぜひとも読んでみたいところです。
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yuko
yuko さん本が好き!1級(書評数:305 件)

仕事のことで鬱状態が続いており全く本が読めなかったのですが、ぼちぼち読めるようになってきました!

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