はるほんさん
レビュアー:
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…「いい」死神って?
前作のここで死神から残念なお知らせです。が
結構面白かったので、続巻も買ってみた。
タイトルにあるからには死神の話なのだが、
レトロタイプの死神ではなく、モデル顔負けのイケメンのなりをしている。
何故と言われれば、ライトノベルだからだろう。(笑)
しかし顔はどうでもいい。
この死神、性格がイイのだ。
ただし「良」い性格ではない。
いわゆる「お前イイ性格してるな」の方である。
だが言っていることは至極真っ当であり、間違っていない。
容赦なく人間の希望を奪い、完膚なきまで絶望を与える。
結果的には「良」い死神かもしれない。
イケメン死神の仕事は、保険員だ。
が、会社や企業にやって来て営業スマイルを振りまいたりはしない。
人間の中にはたまに「死んで」いるのに
「生きて」いるかのように動き続ける者が出るのだ。
その者の肩をポンと叩いて、こう言う。
「ハイ、あなたもう死んでますから。ご愁傷さまー」
動いていても、脈も心拍も止まっている。体温も下がっている。
だが「綺麗なゾンビ」でいられるのは一定期間だけで
放っておくといきなり腐り落ちてしまう。
人間社会にそんなR15のパニックを起こさないための、
彼は処理要員──、すなわち死神だ。
そのサービスの一環として、保険もやっているというワケだ。
今回は接触事故を起こしたバスから、そんな人間が4人も出てしまう。
現実を受け入れられないゾンビたちと、
サクサクと説明してホイホイと処理を遂行する死神。
その温度差がコミカルで──、痛い。
いくらでもハッピーエンドに繋げることが出来そうな流れに
死神は正論を吐いて、その糸をブチブチと断ち切っていく。
酷い。
けれどその正論は動かせない。
「私には生きる理由が出来たんだ!」
「死ぬと分かったらいきなり必死になるパターンですね
でもそんなルール、ありませんから」
よくこんな質問がある。
「あと1日で死ぬとしたら、どうする?」
「世界が滅亡するとしたら、何をしたい?」
心理テストやSNSであるあるな質問だが
この答えをリアルに肌で感じることは、そうないだろう。
死神の言う通り、そう感じた時は既に時間がないだろうから。
思い残すことなく死ぬことは、できない。
自分はそう思っているし、それでいいと思う。
出来ないことが山のようにないと、人生80年も退屈で生き抜けない。
けれど最後に「思い残す」ことがあるのと
「後悔」だらけなのとは少し違う。
ラノベである。
イケメンが出てくるあるあるなタイプである。
けれどほどほどに優しくて適度に強引で病的に気が利くような
都合のいいカレシにはなってくれない。
ひたすら冷たくて強制的で、KYな現実があるばかりだ。
ラノベである。
だがトキメキはない。
けれどふと、己が「今」を生きていることを意識させられる。
確かに自分達は無意識に生きているのだなと思う。
──ん、いや待てよ?
死神のクセに「生きている」ことを実感させるなんて
実はオマエ、「悪」い死神なんじゃねーの?
結構面白かったので、続巻も買ってみた。
タイトルにあるからには死神の話なのだが、
レトロタイプの死神ではなく、モデル顔負けのイケメンのなりをしている。
何故と言われれば、ライトノベルだからだろう。(笑)
しかし顔はどうでもいい。
この死神、性格がイイのだ。
ただし「良」い性格ではない。
いわゆる「お前イイ性格してるな」の方である。
だが言っていることは至極真っ当であり、間違っていない。
容赦なく人間の希望を奪い、完膚なきまで絶望を与える。
結果的には「良」い死神かもしれない。
イケメン死神の仕事は、保険員だ。
が、会社や企業にやって来て営業スマイルを振りまいたりはしない。
人間の中にはたまに「死んで」いるのに
「生きて」いるかのように動き続ける者が出るのだ。
その者の肩をポンと叩いて、こう言う。
「ハイ、あなたもう死んでますから。ご愁傷さまー」
動いていても、脈も心拍も止まっている。体温も下がっている。
だが「綺麗なゾンビ」でいられるのは一定期間だけで
放っておくといきなり腐り落ちてしまう。
人間社会にそんなR15のパニックを起こさないための、
彼は処理要員──、すなわち死神だ。
そのサービスの一環として、保険もやっているというワケだ。
今回は接触事故を起こしたバスから、そんな人間が4人も出てしまう。
現実を受け入れられないゾンビたちと、
サクサクと説明してホイホイと処理を遂行する死神。
その温度差がコミカルで──、痛い。
いくらでもハッピーエンドに繋げることが出来そうな流れに
死神は正論を吐いて、その糸をブチブチと断ち切っていく。
酷い。
けれどその正論は動かせない。
「私には生きる理由が出来たんだ!」
「死ぬと分かったらいきなり必死になるパターンですね
でもそんなルール、ありませんから」
よくこんな質問がある。
「あと1日で死ぬとしたら、どうする?」
「世界が滅亡するとしたら、何をしたい?」
心理テストやSNSであるあるな質問だが
この答えをリアルに肌で感じることは、そうないだろう。
死神の言う通り、そう感じた時は既に時間がないだろうから。
思い残すことなく死ぬことは、できない。
自分はそう思っているし、それでいいと思う。
出来ないことが山のようにないと、人生80年も退屈で生き抜けない。
けれど最後に「思い残す」ことがあるのと
「後悔」だらけなのとは少し違う。
ラノベである。
イケメンが出てくるあるあるなタイプである。
けれどほどほどに優しくて適度に強引で病的に気が利くような
都合のいいカレシにはなってくれない。
ひたすら冷たくて強制的で、KYな現実があるばかりだ。
ラノベである。
だがトキメキはない。
けれどふと、己が「今」を生きていることを意識させられる。
確かに自分達は無意識に生きているのだなと思う。
──ん、いや待てよ?
死神のクセに「生きている」ことを実感させるなんて
実はオマエ、「悪」い死神なんじゃねーの?
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歴史・時代物・文学に傾きがちな読書層。
読んだ本を掘り下げている内に妙な場所に着地する評が多いですが
おおむね本人は真面目に書いてマス。
年中歴史・文豪・宗教ブーム。滋賀偏愛。
現在クマー、谷崎、怨霊、老人もブーム中
徳川家茂・平安時代・暗号・辞書編纂物語・電車旅行記等の本も探し中。
秋口に無職になる予定で、就活中。
なかなかこちらに来る時間が取れないっす…。
2018.8.21
この書評へのコメント

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- 出版社:新潮社
- ページ数:365
- ISBN:9784101800745
- 発売日:2016年08月27日
- 価格:680円
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