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michakoさん
michako
レビュアー:
苦しんでいる人がいたなら、元気づけてあげたいと思うのが人というもの。でも、元気いっぱいで楽しいものを見せたらいいかって言えば違いますよね。
この本。
書店で何度も手にとっては戻すを繰り返した1冊。
タイトルに「絶望」とつくものには、私の大好きな「絶望先生」のように、サブカル的な幾分シニカルな笑いを含んだものも少なくなく、本書もはじめその類かと思った。
で、開いたらちょっと違うぞと。
1章から「物語」を勧めている。
これは非常に共感するところで、「あぁ、これはマジな奴だ」と気づく。
ただちょっと待って。「白」が多いんである。
私の苦手な自己啓発本も見出しが目立ち、文章は簡潔なためか余白が多い。「白」いんである。
何かにすがることはしたくとも、他人に「これ」と押しつけられるのが大変苦手で、それで自己啓発本が読めずにいる。で、これはどうなのか・・・

何度も行きつ戻りつした結果、心配性な私の杞憂であり、大変読みやすい本だという事がわかったw
筆者は大学3年生の時、突然の難病宣告を受け、「大学院に進むのも、就職も無理」だとはっきり言われ、以降長い絶望期間を送る事になってしまった方。
身体の自由が利かない絶望感は相当に辛い物で、そんな絶望期間の過ごし方が書かれている。
私も体験したことがあり、非常に共感したのですが、寝てるばかりのこちらの身を思って、本好きな私のためにと本を差し入れしてくれる事があって、でもそれはたいていポジティブ本であり、物語でも前向きで元気いっぱいな主人公の繰り広げる陽気な話だったり・・・到底読めるものではなかった。
沈んだ気分にひっそり、そっとよりそってくれる本。そして別世界に連れだしてくれる本。
そこで共感だったり、感動だったりを与えてくれる本。
そんな本こそ当時求めてやまないものだった。(あれ、今もかなぁ・笑)
当時の私の気分を掘り起こすかのように、またそういった体験のない方にもわかりやすくこの本は書かれている。

登場する本は多く、2部では落語、ドラマ、映画にも紹介が広がる。
落語や物語、詩集の朗読CDというのは、本当に私もお世話になったもので、元気になった今も毎晩何かしら聞きながら眠っています。安心するんでしょうね。
落語って凄いなァと思う。
たった一人のおじさんの語りに笑い転げ、号泣させられることすらある。たいがいおバカな登場人物にハラハラしたり、いつの間にか応援したり。そんな感情の起伏を現実世界では避けているのに、入り込んでいつの間にか少し気分を立て直した自分に気づく。ちょっと元気になってる。
この「ちょっと」が大事なんだと思う。ちょっとずつ。落ち込んだ人が急に元気になったらおかしいと思う。

たくさんのおススメ本が登場するので、2部だけでなく1部から書影だけでも入れば読みやすさは格段に上昇すると思うなぁ。
神経が高ぶってしまっている人は文字が追えない。写真を頼りに拾い読みすることあったなぁ。
絶望の期間の長さは人それぞれだし、くり返すことだってある。
この期間をうまく過ごす手助けになる本や映画作品は多く知っておいて損はない。
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michako
michako さん本が好き!1級(書評数:1638 件)

11月は私の誕生月。
心優しい家族や友人が「欲しいものある?」と聞いてくれるので本が増える月でもあります。

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