yukoさん
レビュアー:
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昭和の時代。懐かしく、心温まる、ほんわかした、そしてちょっぴり切ない愛についての6つの短編集。どんな形であっても、人それぞれに大切な宝石のような人、思い出って、絶対にあるはずです・・・
薄紅雪華紋様シリーズが朱川さん初体験だったので、
このようなちょっぴり切ない、どことなく懐かしい愛の物語も書く人だったのねと、まるで初めての作家さんの本を読んでいるような気分にさせられた短編集でした。
「さみしいマフラー」
人の悲しみがぼんやりとマフラーのように見える女性の、初恋の物語。
「ポコタン・ザ・グレート」
柔道家の父を持ち、父にそっくりで容姿に恵まれず、いじめられたりからかわれてきた女の子。
でも彼女は、ひねくれたりせず、挫けずにまっすぐに生きてきたのです。
そしてハッピーエンドな結末とは・・・
「マンマル荘の思い出」
母と暮らした、昔懐かしい、めぞん一刻のようなアパートで出会った優しい人達と少年の物語。
大家さんが本当にステキな人で・・・
だから住民もみんな、いい人が集まったんだろうなぁ・・・
「ボジョン、愛してる」
韓流アイドルに突然目覚めた中年男性。
子供のころから、親に「みっともないことはしない!」としつこく言い聞かされて育ったため、好きなことをする、だなんてこととは縁遠かった生き方をしてきたのですが、40代半ばにしてやっと生きがいを見つけた、それが韓流アイドルのおっかけをすることだったのです。
「想い出のセレナーデ」
小学校の時から、恋というのではなく、本当に仲が良かった男の子と女の子。
女の子の家庭が崩壊してとある事件が起きてから、なんとなく避けているうちに女の子は音信不通となるのですが・・・
「彼女の宝石」
大学時代の憧れのマドンナ。絶対自分には縁がないと思っていた女性と結婚することができたのですが、彼女にとっての宝石は、自分との結婚生活などではなかったのだ、と気づき・・・
どの物語も、単純にハッピーではなくて、ほろ苦く、心苦しく、悲しいことがあるのですが、
それでも、最後にはこれで良かったねと心が温まる物語たち。
カバーに書いてあったのは、
『女性の前で男性が「さみしい」と口にする時、
きっとさみしさは、その瞬間に消えているのです』
という言葉。
叶わなかった初恋の人の思い出。
20数年もの時を経て、恩師の葬儀で再会し、後日改めてランチをするのですが、
初恋の人は、
「近頃はさみしくて、たまらないんだ」
と、20数年ぶりに再会した、昔々ふった女の人に色目をつかうのです。
彼女は、交通事故で死にかけて以来、人のさみしさが形になって見えるという不思議な力があったのです。
そして初恋の人には、さみしさのかけらも見えなかった・・・
でもこの表紙の言葉は、少し優しすぎやしないかしら。
私ならば、
『お互いを深くも知りもしない女性の前で男性が「さみしい」と口にする時、
それはきっとただの嘘、その言葉を聞いた瞬間に、女性はぞっとするのです』
といったところかしら(笑)
20数年ぶりに再会して、いきなりそんなことを口にしては、美しい初恋の物語が汚されてしまうじゃないですか!!!
好きな人が亡くなったり、
好きな人が嫌な人になっていたり、
大切な思い出の場所はもう無くなってしまったり、
自分の命はもう長くなかったり、
それぞれが悲しみも抱えているけれど、
それでも生きていて良かったという思い出をみんな持っていて、
そしていろんな辛いことがあったけれど、これで良かったなと最後は思っている、
そんな、普通の人々の、悲しみや苦しみ、
そしてそれを乗り越えられる、それぞれの人の宝石・・・
それぞれとって宝石のような人、宝石のような思い出の物語でした。
このようなちょっぴり切ない、どことなく懐かしい愛の物語も書く人だったのねと、まるで初めての作家さんの本を読んでいるような気分にさせられた短編集でした。
「さみしいマフラー」
人の悲しみがぼんやりとマフラーのように見える女性の、初恋の物語。
「ポコタン・ザ・グレート」
柔道家の父を持ち、父にそっくりで容姿に恵まれず、いじめられたりからかわれてきた女の子。
でも彼女は、ひねくれたりせず、挫けずにまっすぐに生きてきたのです。
そしてハッピーエンドな結末とは・・・
「マンマル荘の思い出」
母と暮らした、昔懐かしい、めぞん一刻のようなアパートで出会った優しい人達と少年の物語。
大家さんが本当にステキな人で・・・
だから住民もみんな、いい人が集まったんだろうなぁ・・・
「ボジョン、愛してる」
韓流アイドルに突然目覚めた中年男性。
子供のころから、親に「みっともないことはしない!」としつこく言い聞かされて育ったため、好きなことをする、だなんてこととは縁遠かった生き方をしてきたのですが、40代半ばにしてやっと生きがいを見つけた、それが韓流アイドルのおっかけをすることだったのです。
「想い出のセレナーデ」
小学校の時から、恋というのではなく、本当に仲が良かった男の子と女の子。
女の子の家庭が崩壊してとある事件が起きてから、なんとなく避けているうちに女の子は音信不通となるのですが・・・
「彼女の宝石」
大学時代の憧れのマドンナ。絶対自分には縁がないと思っていた女性と結婚することができたのですが、彼女にとっての宝石は、自分との結婚生活などではなかったのだ、と気づき・・・
どの物語も、単純にハッピーではなくて、ほろ苦く、心苦しく、悲しいことがあるのですが、
それでも、最後にはこれで良かったねと心が温まる物語たち。
カバーに書いてあったのは、
『女性の前で男性が「さみしい」と口にする時、
きっとさみしさは、その瞬間に消えているのです』
という言葉。
叶わなかった初恋の人の思い出。
20数年もの時を経て、恩師の葬儀で再会し、後日改めてランチをするのですが、
初恋の人は、
「近頃はさみしくて、たまらないんだ」
と、20数年ぶりに再会した、昔々ふった女の人に色目をつかうのです。
彼女は、交通事故で死にかけて以来、人のさみしさが形になって見えるという不思議な力があったのです。
そして初恋の人には、さみしさのかけらも見えなかった・・・
でもこの表紙の言葉は、少し優しすぎやしないかしら。
私ならば、
『お互いを深くも知りもしない女性の前で男性が「さみしい」と口にする時、
それはきっとただの嘘、その言葉を聞いた瞬間に、女性はぞっとするのです』
といったところかしら(笑)
20数年ぶりに再会して、いきなりそんなことを口にしては、美しい初恋の物語が汚されてしまうじゃないですか!!!
好きな人が亡くなったり、
好きな人が嫌な人になっていたり、
大切な思い出の場所はもう無くなってしまったり、
自分の命はもう長くなかったり、
それぞれが悲しみも抱えているけれど、
それでも生きていて良かったという思い出をみんな持っていて、
そしていろんな辛いことがあったけれど、これで良かったなと最後は思っている、
そんな、普通の人々の、悲しみや苦しみ、
そしてそれを乗り越えられる、それぞれの人の宝石・・・
それぞれとって宝石のような人、宝石のような思い出の物語でした。
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仕事のことで鬱状態が続いており全く本が読めなかったのですが、ぼちぼち読めるようになってきました!
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- 出版社:文藝春秋
- ページ数:333
- ISBN:9784163903859
- 発売日:2016年01月12日
- 価格:1728円
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