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Wings to fly
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名だたる作家の短編が集結。真田家三代の才知と勇気を楽しむアンソロジー。
祖父の幸隆、父の昌幸、信之&幸村(信繁)兄弟、真田家三代にまつわる粒ぞろいの秀作短編を集めたアンソロジーです。2016年の大河ドラマ「真田丸」の人気が盛り上がっておりますが、このワクワクと切なさの交ざった物語を読むと、戦国の雄・真田家の魅力にもっとしびれますよ。

太陽を斬る(南原幹夫)
執念谷の物語(海音寺潮五郎)
刑部忍法陣(山田風太郎)
曾呂利新左衛門(柴田錬三郎)
真田幸村(菊池寛)
猿飛佐助の死(五味康祐)
真田影武者(井上靖)
角兵衛狂乱図(池波正太郎)


作者が錚々たる顔ぶれです。最初から順番通りに読んでゆくと、真田一族の歴史がよくわかります。
「太陽を斬る」は真田家誕生の物語。真田の始祖は海野氏といい、平安時代から北信濃に根を張る古い一族でした。海野一族の棟梁・棟綱に逆らった、跡継ぎ息子小次郎(後の幸隆)の選択とは。六文銭の旗印が歴史に登場する瞬間が非常に鮮やかです。

菊池寛作品のような有名エピソードを網羅した直球もあれば、変化球もあります。己の生き方に悩む猿飛佐助と幸村の娘お万阿の悲恋を描いた「猿飛佐助の死」、幸村の息子幸昌(大助)生存説を題材にした「真田影武者」。

大河ドラマファンの皆さん、今後のキーワードは「沼田城」ですよ。
海音寺潮五郎「執念谷の物語」は昌幸の人を見極める眼力と外交戦術のお話ですが、海音寺潮五郎はその中で、沼田が真田に属するか北条に属するかの問題が徳川と真田の敵対の原因を作ったのだと言っています。

最後を飾る「角兵衛狂乱図」は傑作長編『真田太平記』の外伝です。真田家を守り抜いた信之に忍び寄る、二代将軍徳川秀忠の陰謀。さすがはあの父の息子です。危機に瀕して発揮される機略、見事なり。

編者の末国さんの巻末解説は非常に読み応えがあります。それぞれの短編の底本と、その本に載っている別の面白そうな話の情報まで教えてくれますよ。
幸村の華々しい散り際は敗者の美学の典型ですが、真田家の真骨頂は自らが信じた道を貫く勇気だと、この本を読んで再確認いたしました。

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Wings to fly
Wings to fly さん本が好き!免許皆伝(書評数:862 件)

「本が好き!」に参加してから、色々な本を紹介していただき読書の幅が広がりました。

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