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ぽんきち
レビュアー:
終わらないけれども変わらないわけではない
いちえふ=福島第一原子力発電所で働く作業員・漫画家の原発労働記である。
竜田一人はペンネーム。漫画を描いていることがバレると働かせてもらえなくなるかもしれないため、名は伏せている(それでも、わかってしまう人にはバレてしまっているのだが)。

これまで、比較的低線量の場所で働いていた著者だが、ついに、最前線に入る機会を得る。この巻ではその顛末と過去の回の裏話を。

本作の長所は徹底した現場感覚と「普通の人」感覚が同時に貫かれていることだろう。
作業員としてのポリシー・誇りを持ちつつ、でもやはり現場がどうなっているか知りたいよね、という感覚がある。守秘義務にあたる部分を回避しつつも、現場を知らない人が「あれ? それってどういうこと?」と思うであろうことを丁寧に拾って、コマ外に「ツッコミ」形式で解説する。
もちろん、現場の本当の本当はそこに行かねばわからないだろうし、一方でまた全貌となると現場でもわからない部分はあるだろう。だが、やはり誰もが行けるわけではないところのルポを、なるべくわかりやすい形で残したところに本作の意義があると思う。
そんな視線は、いちえふ内だけでなく、周囲地域に暮らす人々へも注がれる。
完全な終結までには時間が掛かる。けれど、着実に前に進んでいる。
この後、続編が描かれるかどうかはわからないが、本作はひとまず一区切りとなる。


いちえふ 1
いちえふ 2
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ぽんきち
ぽんきち さん本が好き!免許皆伝(書評数:1825 件)

分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。

本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。

あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。

「実感」を求めて読書しているように思います。

赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。現在、中雛、多分♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw

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