祐太郎さん
レビュアー:
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私たちは、日本語で本を読み、日本語で考え、日本語で書評を書く。日本語は生きている。
2015年、新潮文庫の100冊に入っている本書。
正直、一時期テレビ界で流行った日本語のなぜみたいな本が100冊に入っているのかと訝しんで読んだのですが、すぐに100冊に入った意味がわかりました。
100冊の中には20世紀初頭に書かれた夏目漱石から2015年に至るまでさまざまな本が入っていますが、すべて「日本語」で書かれています。そして、その日本語も基本は変わらないながらも、用語は変化し続けています。その変化のなかで、私たちは日本語で本を読み、日本語で考え、日本語で書評を書いています。
あとがきでアナウンサーの梅津正樹さんは次のように語っています。
話し言葉の「うざい」は、うざったいが語源ですが、1980年代後半に生まれて1990年代に広がっています。つまり、それ以前の小説には使われていないのです。これも変化ですよね。もっと長いスパンでの言葉の変化ならば「お母さん」「北の方」→「おかたさま」→(江戸時代)武士:おかかさま/庶民:おっかさんと変化していきました。そして、学校教育で階級区分的な言い回しを排するために生まれたのが明治36年の「お母さん」。明治期の小説では「お母さん」は原則、使われないということです。
ところで、「サバを読む」の語源ですが、市塲では傷みやすい青魚のサバを急いで数えたことから、おおざっぱになったというのが最有力説だそうです。
日本語の用語の誤りにいちいち突っ込む番組に出ている林先生の口調(もちろん演出上でしょうが)と異なり、やさしい語り口に、日本語の変化に身をゆだねられる気持ちよさがある1冊です。
正直、一時期テレビ界で流行った日本語のなぜみたいな本が100冊に入っているのかと訝しんで読んだのですが、すぐに100冊に入った意味がわかりました。
100冊の中には20世紀初頭に書かれた夏目漱石から2015年に至るまでさまざまな本が入っていますが、すべて「日本語」で書かれています。そして、その日本語も基本は変わらないながらも、用語は変化し続けています。その変化のなかで、私たちは日本語で本を読み、日本語で考え、日本語で書評を書いています。
あとがきでアナウンサーの梅津正樹さんは次のように語っています。
私は番組を引き受けるにあたって、一つの方針を立てた。それは基本的に「これが正しい日本語」と断定しないこと。(略)判断材料を提供することに徹したのである。(略)「言葉」は文化であり、生きているのだ。
話し言葉の「うざい」は、うざったいが語源ですが、1980年代後半に生まれて1990年代に広がっています。つまり、それ以前の小説には使われていないのです。これも変化ですよね。もっと長いスパンでの言葉の変化ならば「お母さん」「北の方」→「おかたさま」→(江戸時代)武士:おかかさま/庶民:おっかさんと変化していきました。そして、学校教育で階級区分的な言い回しを排するために生まれたのが明治36年の「お母さん」。明治期の小説では「お母さん」は原則、使われないということです。
ところで、「サバを読む」の語源ですが、市塲では傷みやすい青魚のサバを急いで数えたことから、おおざっぱになったというのが最有力説だそうです。
日本語の用語の誤りにいちいち突っ込む番組に出ている林先生の口調(もちろん演出上でしょうが)と異なり、やさしい語り口に、日本語の変化に身をゆだねられる気持ちよさがある1冊です。
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片道45分の通勤電車を利用して読書している
アラフィフ世代の3児の父。
★基準
★★★★★:新刊(定価)で買ってでも満足できる本
★★★★:新古書価格・kindleで買ったり、図書館で予約待ちしてでも満足できる本
★★★:100均価格で買ったり図書館で何気なくあって借りるなら満足できる本
★★:どうしても本がないときの時間つぶし程度ならいいのでは?
★:う~ん
★なし:雑誌などの一言書評
※仕事関係の本はすべて★★★で統一します。
プロフィールの画像はうちの末っ子の似顔絵を田中かえが描いたものです。
2024年3月20日更新
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- 出版社:新潮社
- ページ数:321
- ISBN:9784101257617
- 発売日:2014年02月28日
- 価格:594円
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