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かもめ通信
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「毎日作るんだから。100おいしいことを目指さなくてもいいのよ。80おいしければいいじゃない。そうしないとやってられないわよ」小林カツ代さんの元気いっぱいのアドバイスに励まされた女性は沢山いたはず。
私にしては珍しく新書を手にした理由は、この本の目次(書誌情報に掲載)にお馴染みの名前だけでなく、昔懐かしい名前の料理研究家たちがズラリと並んでいたからだ。

1950年代からはじまって現代に至るまで、TVの料理番組や女性雑誌や料理本などで活躍してきた料理研究家について、そのレシピの特徴や料理に対する姿勢などを紹介することで、家庭の食卓を支えてきた女性の歴史をもひもといていく。

西洋料理もエスニック料理も一般的でなかった時代にあこがれを持って迎えられたセレブのレシピ。

故郷を離れ都会に移り住んだ核家族の主婦が教わる相手なしに一家の台所を預かるようになったとき、頼りにされたお袋の味のレシピ。

女性の社会進出に伴って、時短が求められてきた時代のレシピ。

祖母が手書きで書きためていた丁寧なレシピカードや、母の台所にあった和洋中の豪華な料理の写真がならんだ料理本の全集を思い出しながら、家庭料理のレシピにもその時代時代に求められているものがあったのだなあと感慨ふける。

私自身は三人の娘を抱えながらフルタイムで働いていた忙しい母から直接料理を教わることなく、料理本を片手にキッチンにたってきた世代だ。

母の書棚で見覚えのあった村上昭子さんに料理の基本を教わり、忙しい合間をぬっての時短料理のノウハウを小林カツ代さんに教わって、自分のための“ご褒美”と称して栗原はるみさんの“ゆとりの空間”でランチをとってきた世代でもある。

「主婦は料理をしなくなった」という話を耳にするようになってずいぶんになるが、今もネットではレシピサイトは大盛況だし、TVの料理番組も結構ある。
仕事と家事の両立で悩んでいる若い女性の声もよく耳にする。

家庭の食卓を通じて近代女性史を考えるという試みはなかなか興味深く面白かったが、できることならばこれからは、家庭の食卓を通じて語られるのは女性だけではなく、男性も含めた家族の歴史であって欲しいものだと思ったりもした。
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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2238 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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この書評へのコメント

  1. 祐太郎2015-07-05 07:50

    毎日仕事するんだから「100じゃなくて80のしごとでいいじゃない」という社長がくることを望みます。

  2. 薄荷2015-07-05 09:10

    >台所にあった和洋中の豪華な料理の写真がならんだ料理本の全集
    いいなぁ・・・その全集が読みたいです。
    ウチにはそんな素晴らしい全集はなかったんですが、いくつかあったお料理本は幼い私の愛読書でした。絵がきれいでおいしそうだし・・・あ!私の読書性癖はここで作られたのか!

  3. かもめ通信2015-07-05 09:11

    >祐太郎さん
    いやいや、それは無理(><)
    特に某氏のようなお仕事の場合はたとえ社長がそういうスタンスでも
    周りが許さなそう(^^;)
    家事育児お仕事……お疲れ様です。。。。m(_ _)m

  4. かもめ通信2015-07-05 09:12

    >薄荷さん
    ここだけの話ですが、あの全集、私が中学生になってお菓子を作り始める頃まで
    ほとんど開いた形跡がありませんでしたww

  5. No Image

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