マックさん
レビュアー:
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美味しいコーヒーを飲みたくなって淹れてみたけれど、最後に全部吐き出してしまった。 そうか、だからリバースなんだな(納得)
読みながら美味しい珈琲を飲みたくなったので、頂きもののドリップコーヒーを淹れてみた。
主人公の深瀬和久は、事務機会社に勤めるサラリーマン。
平凡を絵に描いたような地味な男だがコーヒーには強いこだわりを持っていて、お気に入りのコーヒー豆専門店クローバー・コーヒーで知り合った越智美穂子と付き合うことになる。
深瀬が淡く結婚を意識し出した矢先、美穂子に送り付けられた告発文によって、美穂子は疑心暗鬼に。
美穂子に送られた『深瀬和久は人殺しだ』という告発文によって、深瀬が心に閉じ込め続けてきた過去を美穂子に告白するのだが、美穂子は深瀬の元から去ってしまう。
これ、なんだかわかる気がする。
過去を回想する深瀬にふんわりとした罪悪感は感じられても、罪の意識はあまりにも薄い。
大学時代に初めてできた、親友と呼べる友の死を回想しているようには感じられないくらいにふわふわしているのだ。
確かに友に無理難題を言ったのは深瀬ではなかったかもしれない。
けれど、そう言う状況に陥る前に、いくらでも深瀬は止められたはずだ。
それをしなかったことへの後悔が深瀬からあまり感じ取れなくて、美穂子じゃなくても「あんまりよ」と思うんじゃないか。
けれど本書はここで終わらないから素晴らしい。
この告発文をきっかけに、深瀬は亡くなった親友の死の真相を求めて当時のゼミ仲間を訪ねたり、親友の故郷を訪ねたりするのだが、
これがもう青春小説かってくらい甘くて苦い大学生たちの日常でビックリ。
これ本当に湊さんの本?ってくらいに清々しくて素敵なのだ。
黙っていても目立つスクールカースト上位な親友が、地味な深瀬とつるむことの本当の意味。
親友は深瀬のことを本当はどう思っていたのか。
それが分かった時、心底胸が熱くなったのに、ラスト2ページを読んで、飲んでいた珈琲を吹き出しそうになってしまった。
死の真相ははっきりとはしないけれど、深瀬のこれからを思うと非常に辛い読後感。
湊さん、そりゃないよ。
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なかなか時間が取れませんが、本を読むのは好きです。
どんどん読書時間を取って、読んでいきたいと思っています。
色々なジャンルの本を読んでいきたいと思っているので、
皆様の感想を参考にさせて頂こうと思います。
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- 出版社:講談社
- ページ数:282
- ISBN:9784062194860
- 発売日:2015年05月20日
- 価格:1512円
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