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理系だってできるもん!
文芸書は売れない。
文芸といえば直木賞・芥川賞・本屋大賞・このミステリがーすごい!など
賞の発表がある度に賑わう書店の花形ともいえるジャンルだ。
にもかかわらず、売れない。悔しいことに。
それはきっと受験を控えた学生が学習参考書を求めるような、
仕事に行き詰った会社員が答えを見出すためにビジネス書を求めるような、
医療従事者が薬事法改定により改訂版を求めるような、
「必要不可欠」さが文芸書にはないからだ。
客観的に大雑把ないい方をしてしまえばそれは娯楽にすぎず、
特に小説を読まない人にとってはなければいけない分野ではないのだと思う。
しかし、そんな苦境の中でもベストセラーというのは定期的にでるもので
そうしたヒット作を生み出そうと奮闘する若き編集者の姿を描いたのが本書だ。
主人公・桐生は大学では数学科を専攻していたという根っからの理系人間。
にもかかわらず、なぜか就職先は出版社で
ある日突然、文芸編集部に異動になったというからさあ大変!
逆境にもめげず理系の持ち味を生かしつつ、
同じ数学科出身の同僚・嵐田と協力してミリオンセラーを目指す桐生。
文芸編集部の救世主となるべく奔走するも・・・?
出版社のお仕事が大変というのは噂には聞いていたのだけれど
あまりの壮絶さに編集さんってこんなんなの・・・と衝撃を受けてしまった。
作中で主人公と同僚の女性が本を作る上で大切なことを巡って言い合う場面がある。
理系出身の主人公が主観よりも「読者」を尊重すべきというのに対し、
文系出身の同僚はそもそも「熱意」がなくては本を作ることはできないという。
私はどちらかではなくて、どちらも必要なのだと思う。
本当に失礼な話なのだが、仕事柄、毎日多くの新刊本をみていると
偶に「この本を出した人たちは本気で売れると思ってるんだろうか?」
などと感じてしまうことがある。
ここ最近の出版界の傾向なのか、数打ちゃ当たる!
といった印象を受けることがよくある。
読者の存在を無視した本、作り手の熱意が感じられない本は決して少なくない。
日頃からそんな現状に(勝手に)モヤモヤしていただけに、気付けば
全力で本作りをする主人公やその同僚たちに全力でエールを送っていた。
理系だって文系だって関係ない!がんばれ編集さん!
先日、とある本が好き!ユーザーさんとのやりとりの中で
『本もファッションと同じ、「流行を消費するもの」なのかもしれない』
といったことを仰っていてたのだが、これってその通りだと思う。
というのも、例えば、それまでPOPを書いても、目立つ場所に置いても
うんともすんとも言わなかった本が王様のブランチで特集された途端
売り切れになってしまうなんてことはよくあるのだ。
偶然にも作中でも同じく、とある1冊の本がマスコミで
話題になったことがきっかけでベストセラーとなる。
本書の中ではそのお陰で主人公たちが抱えていた問題も一件落着となる。
だけど、正直私はその売れ方には疑問を抱いてる。
その本を手にした人は純粋に本を読みたかったのだろうか、
ただ単に流行に便乗しただけだろうか?
だけどそれがネットやテレビ、その他諸々によって
情報が溢れかえる現代ならではの本の売り方なのだと思う。
他にもボカロ(VOCALOID)曲やオンラインゲームの小説化など小ネタもたっぷりと、
「今」の出版界を描き出す1冊として興味深く読ませていただきました。
ご献本いただきありがとうございました。
文芸といえば直木賞・芥川賞・本屋大賞・このミステリがーすごい!など
賞の発表がある度に賑わう書店の花形ともいえるジャンルだ。
にもかかわらず、売れない。悔しいことに。
それはきっと受験を控えた学生が学習参考書を求めるような、
仕事に行き詰った会社員が答えを見出すためにビジネス書を求めるような、
医療従事者が薬事法改定により改訂版を求めるような、
「必要不可欠」さが文芸書にはないからだ。
客観的に大雑把ないい方をしてしまえばそれは娯楽にすぎず、
特に小説を読まない人にとってはなければいけない分野ではないのだと思う。
しかし、そんな苦境の中でもベストセラーというのは定期的にでるもので
そうしたヒット作を生み出そうと奮闘する若き編集者の姿を描いたのが本書だ。
主人公・桐生は大学では数学科を専攻していたという根っからの理系人間。
にもかかわらず、なぜか就職先は出版社で
ある日突然、文芸編集部に異動になったというからさあ大変!
逆境にもめげず理系の持ち味を生かしつつ、
同じ数学科出身の同僚・嵐田と協力してミリオンセラーを目指す桐生。
文芸編集部の救世主となるべく奔走するも・・・?
出版社のお仕事が大変というのは噂には聞いていたのだけれど
あまりの壮絶さに編集さんってこんなんなの・・・と衝撃を受けてしまった。
作中で主人公と同僚の女性が本を作る上で大切なことを巡って言い合う場面がある。
理系出身の主人公が主観よりも「読者」を尊重すべきというのに対し、
文系出身の同僚はそもそも「熱意」がなくては本を作ることはできないという。
私はどちらかではなくて、どちらも必要なのだと思う。
本当に失礼な話なのだが、仕事柄、毎日多くの新刊本をみていると
偶に「この本を出した人たちは本気で売れると思ってるんだろうか?」
などと感じてしまうことがある。
ここ最近の出版界の傾向なのか、数打ちゃ当たる!
といった印象を受けることがよくある。
読者の存在を無視した本、作り手の熱意が感じられない本は決して少なくない。
日頃からそんな現状に(勝手に)モヤモヤしていただけに、気付けば
全力で本作りをする主人公やその同僚たちに全力でエールを送っていた。
理系だって文系だって関係ない!がんばれ編集さん!
先日、とある本が好き!ユーザーさんとのやりとりの中で
『本もファッションと同じ、「流行を消費するもの」なのかもしれない』
といったことを仰っていてたのだが、これってその通りだと思う。
というのも、例えば、それまでPOPを書いても、目立つ場所に置いても
うんともすんとも言わなかった本が王様のブランチで特集された途端
売り切れになってしまうなんてことはよくあるのだ。
偶然にも作中でも同じく、とある1冊の本がマスコミで
話題になったことがきっかけでベストセラーとなる。
本書の中ではそのお陰で主人公たちが抱えていた問題も一件落着となる。
だけど、正直私はその売れ方には疑問を抱いてる。
その本を手にした人は純粋に本を読みたかったのだろうか、
ただ単に流行に便乗しただけだろうか?
だけどそれがネットやテレビ、その他諸々によって
情報が溢れかえる現代ならではの本の売り方なのだと思う。
他にもボカロ(VOCALOID)曲やオンラインゲームの小説化など小ネタもたっぷりと、
「今」の出版界を描き出す1冊として興味深く読ませていただきました。
ご献本いただきありがとうございました。
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■ 登録日 2012/07/26
■2024年 近況■
某サイトで読んだり、備忘録的に記したり、
BLソムリエとしても色々楽しく参加中。
【めも】
2013/4/14 50書評 到達。
2013/11/19 100書評 到達。
2014/10/26 150書評 到達。
2019/1/15 200書評 到達!
この書評へのコメント
- 雅也-カヤ-2015-04-05 20:23
>風竜胆-(ぜ竜胆)さん
そうですね。
理工書などの専門書は他ジャンルに比べると高額なものも多いし、それなりに専門知識がなければ読めないものが殆どで、売れないジャンルのひとつですよね。
数冊でお値段が二桁なんてのも理工書・医学書くらいのものですw
担当によると理工書含む専門書は一年に売れる時期、売れる冊数というのは大体決まっているのだそうです。
○○細胞発見!だとかノーベル化学賞の発表だとか何らかの話題性がない限りは、その分野に関わる人しか必要としない分野のため、なのだそうです。
>難しそうな本を敬遠するようになったということなのかもしれません
ああ・・・耳が痛いwクリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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