yukoさん
レビュアー:
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初恋の人を奪った親友の息子を手塩にかけて『調教』していく・・・・・ 山田詠美の、『痴人の愛』へのオマージュ作品。
お金持ちで恵まれた家に生まれた真由子。
父は編集者、母は医者で、祖父母と同居。
離れに住んでいる、父が目をかけている作家志望の青年、諒一。
真由子は、初恋の人、諒一と絶対に結ばれるのだと信じていました。
ある日隣に引っ越してきた朝倉家。
成金趣味で品がない、と近隣の誰からも噂されていた朝倉家。
そして真由子の祖母からも嫌われていた一家の長女、百合。
真由子と二歳しか違わない百合は、あっという間に真由子の親友に。
しかし、
仲が良くなるにつれて、なんでもちょうだい、ちょうだい、というちょうだいおばけになっていく百合。
ある日、百合は、
「ちょうだい、リョウ兄さま、ちょうだい」
と言いだします。
妊娠したのだと。
三か月前、一度だけお願いして関係を持った結果、妊娠したのだと。
だから諒一をくれ、と・・・
小さいころから諒一のお嫁さんになると決めてきて、二十歳過ぎても諒一のために処女を守ってきた真由子なのに・・・
百合に子供の名前を相談されたとき、
候補の中のひとつに「直巳」という名前を見つけた真由子。
『痴人の愛』の「ナオミ」を思いだした真由子は、直巳を手塩にかけて調教し、百合から奪う、という計画を立てたのです。
『痴人の愛』は読んだことがないのだけれど、あれだけ有名な作品なのであらすじはなんとなく知っていましたが、今作は、女が少年を自分好みに育てていく復讐物語。
山田詠美氏は、男性経験が豊富と言いましょうか、
たくさんのいろんな男性のお知り合いがいらっしゃるのだろうなぁというのは今までの作品を読んでいてもよーくわかります。
それゆえか、
ちーっと、説教臭い言い回しが多いのはちと興醒めかなぁ・・・
いい男の定義は人それぞれ、十人十色。
力が強いのが男らしいと思う人もいれば、
強くたくましい男の人は怖くて苦手、という人もいるわけです。
ただ、
一般的に、そりゃそういう風にすれば、スマートないい男だなぁと思われるわよねぇと感心しちゃったりして、
山田詠美氏の男性を見る目線には感服は致しましたけどね。
「いい男ってどういうことか、私はよーく知ってるのよ!!!」
という押しつけがましい文章がちょっと鼻につくのは、
私が歳とったからなのか?!
真由子は大事な男を二人も百合に奪われたのです。
だから、復讐したい気持ちは理解できる・・・
ラストは二時間ドラマみたいな結末だったけれど、
復讐のためだけに直巳を調教してきた真由子を、
直巳は本当に愛していたのだなと。
それはそれは、とっても歪んだ形の『愛』ですけれどね。
歪んでいようが、背徳であろうが、
『愛』は『愛』でしょ?
『愛』のもらえない人も、『愛』を与えられない人も、世の中にはいっぱいいる。
だとしたら、
真由子と直巳にはどれだけいびつであっても最後、本物の『愛』が存在した。
それは、ステキなことでは、ないかしら???
父は編集者、母は医者で、祖父母と同居。
離れに住んでいる、父が目をかけている作家志望の青年、諒一。
真由子は、初恋の人、諒一と絶対に結ばれるのだと信じていました。
ある日隣に引っ越してきた朝倉家。
成金趣味で品がない、と近隣の誰からも噂されていた朝倉家。
そして真由子の祖母からも嫌われていた一家の長女、百合。
真由子と二歳しか違わない百合は、あっという間に真由子の親友に。
しかし、
仲が良くなるにつれて、なんでもちょうだい、ちょうだい、というちょうだいおばけになっていく百合。
ある日、百合は、
「ちょうだい、リョウ兄さま、ちょうだい」
と言いだします。
妊娠したのだと。
三か月前、一度だけお願いして関係を持った結果、妊娠したのだと。
だから諒一をくれ、と・・・
小さいころから諒一のお嫁さんになると決めてきて、二十歳過ぎても諒一のために処女を守ってきた真由子なのに・・・
百合に子供の名前を相談されたとき、
候補の中のひとつに「直巳」という名前を見つけた真由子。
『痴人の愛』の「ナオミ」を思いだした真由子は、直巳を手塩にかけて調教し、百合から奪う、という計画を立てたのです。
『痴人の愛』は読んだことがないのだけれど、あれだけ有名な作品なのであらすじはなんとなく知っていましたが、今作は、女が少年を自分好みに育てていく復讐物語。
山田詠美氏は、男性経験が豊富と言いましょうか、
たくさんのいろんな男性のお知り合いがいらっしゃるのだろうなぁというのは今までの作品を読んでいてもよーくわかります。
それゆえか、
ちーっと、説教臭い言い回しが多いのはちと興醒めかなぁ・・・
いい男の定義は人それぞれ、十人十色。
力が強いのが男らしいと思う人もいれば、
強くたくましい男の人は怖くて苦手、という人もいるわけです。
ただ、
一般的に、そりゃそういう風にすれば、スマートないい男だなぁと思われるわよねぇと感心しちゃったりして、
山田詠美氏の男性を見る目線には感服は致しましたけどね。
「いい男ってどういうことか、私はよーく知ってるのよ!!!」
という押しつけがましい文章がちょっと鼻につくのは、
私が歳とったからなのか?!
真由子は大事な男を二人も百合に奪われたのです。
だから、復讐したい気持ちは理解できる・・・
ラストは二時間ドラマみたいな結末だったけれど、
復讐のためだけに直巳を調教してきた真由子を、
直巳は本当に愛していたのだなと。
それはそれは、とっても歪んだ形の『愛』ですけれどね。
歪んでいようが、背徳であろうが、
『愛』は『愛』でしょ?
『愛』のもらえない人も、『愛』を与えられない人も、世の中にはいっぱいいる。
だとしたら、
真由子と直巳にはどれだけいびつであっても最後、本物の『愛』が存在した。
それは、ステキなことでは、ないかしら???
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仕事のことで鬱状態が続いており全く本が読めなかったのですが、ぼちぼち読めるようになってきました!
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この書評へのコメント
- mono sashi2017-06-08 01:20
yukoさん
>いい男ってどういうことか、私はよーく知ってるのよ!!!
そうなんですよね~。彼女の作品をいくつか読みましたが、
なんか共感しちゃいました(笑)クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - mono sashi2017-06-09 01:35
Yukoさん
ですよねぇ(苦笑)
彼女のデビュー作「ベットタイムアイズ」からして凄かったです。
小説家としての才能を存分に感じさせてくれる作品ではあるのですが、
デビュー作でいきなり、日本人の少女と黒人である恋人との出会いと別れを描くって、
「どんだけー」と思っちゃいました(苦笑)クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - mono sashi2017-06-09 01:47
yukoさん
そうでしたら、ぜひチャレンジされて、山田詠美の小説家としての才能に震えあがってください(^^) あら削りな小説ですが、それはそれはもの凄いものですよ(←経験者より)ちなみに小説家としてデビューする前はエロ漫画家だったみたいですよー。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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