たけぞうさん
レビュアー:
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ニシカナさんの世界観が全部詰まった作品。
※上下巻まとめての書評です。
直木賞受賞作。とても気に入った。
選考委員のコメントで長所短所をいろいろと言われているようだが、
ニシカナさんを何作か読んでいるとこの世界観がよく分かる。
いままで考えてきたことを全部詰め込んだみたいな作品であった。
だから、できれば数作品ほど読んでから、サラバ!を手にすることをお薦めしたい。
この作品は、ある一家の生きざまを扱っている。
主人公は、あくつ歩。核となるのは父母と姉、歩の四人家族だ。
祖母や母の姉妹、イラン・エジプト・大阪に住んでいた時の人々など、
一家を取り囲む人たちと織りなす営みを通じ、人間性に深く切り込んでいく物語である。
ニシカナさんの物語に、共通して感じるテーマがある。
主体性である。自意識も当てはまるかもしれない。
傍若無人ともいえるほど周囲の意見に耳を貸さない人。
自分のやみくもな判断だけで失敗を繰り返す人。
相手の顔色ばかり窺う人。
他人のせいにして自分を殺してしまう人。
およそ社会で過ごしていくには、いろいろな所で摩擦があり衝突があり共鳴がある。
ニシカナさんは、そんな一人一人の揺れる気持ちを丁寧に写し取っていくのである。
サラバの主人公の歩。姉に翻弄され、母に父に学校の友人に翻弄され、柳のようにゆらゆらとやり過ごすことを身につけた人。
歩の姉。自分に注目を集めたがり、マイノリティであることを求め、いつもやらかす人。
正反対のようだけど、こころを守っていくということの違った形と捉えれば、
二人の行動の違いもコインの裏表のように理解できる。
このテーマは抜群に面白いし、ニシカナさんを読むといつも心に何かが貯まっていく理由なのかもしれない。
それでいて変にあおったり感傷的になったりしないところが、
ニシカナさんのいいところと思う。素晴らしいよ。
直木賞受賞作。とても気に入った。
選考委員のコメントで長所短所をいろいろと言われているようだが、
ニシカナさんを何作か読んでいるとこの世界観がよく分かる。
いままで考えてきたことを全部詰め込んだみたいな作品であった。
だから、できれば数作品ほど読んでから、サラバ!を手にすることをお薦めしたい。
この作品は、ある一家の生きざまを扱っている。
主人公は、あくつ歩。核となるのは父母と姉、歩の四人家族だ。
祖母や母の姉妹、イラン・エジプト・大阪に住んでいた時の人々など、
一家を取り囲む人たちと織りなす営みを通じ、人間性に深く切り込んでいく物語である。
ニシカナさんの物語に、共通して感じるテーマがある。
主体性である。自意識も当てはまるかもしれない。
傍若無人ともいえるほど周囲の意見に耳を貸さない人。
自分のやみくもな判断だけで失敗を繰り返す人。
相手の顔色ばかり窺う人。
他人のせいにして自分を殺してしまう人。
およそ社会で過ごしていくには、いろいろな所で摩擦があり衝突があり共鳴がある。
ニシカナさんは、そんな一人一人の揺れる気持ちを丁寧に写し取っていくのである。
サラバの主人公の歩。姉に翻弄され、母に父に学校の友人に翻弄され、柳のようにゆらゆらとやり過ごすことを身につけた人。
歩の姉。自分に注目を集めたがり、マイノリティであることを求め、いつもやらかす人。
正反対のようだけど、こころを守っていくということの違った形と捉えれば、
二人の行動の違いもコインの裏表のように理解できる。
このテーマは抜群に面白いし、ニシカナさんを読むといつも心に何かが貯まっていく理由なのかもしれない。
それでいて変にあおったり感傷的になったりしないところが、
ニシカナさんのいいところと思う。素晴らしいよ。
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ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
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- 出版社:小学館
- ページ数:375
- ISBN:9784093863926
- 発売日:2014年10月29日
- 価格:1728円
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