雅也-カヤ-さん
レビュアー:
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私にとっての初めてのスイッチは学区選択だった。
同じ日、同じ病院で生まれた「ぼく」と「おれ」の2人の道筋を辿る物語。
「ぼく」こと蒲生栄人は友人が経営する雑貨屋で働く40歳。
人生の選択を迫られる度、お膳立てされた選択肢を避けるように、
ふらりふらりと周囲に流され生きる「ぼく」はまるでくらげのよう。
親のコネで入社した会社でも「カッコつけぞう」とあだ名されたことに
ショックを受けて辞めてしまい、以来フリーターとして職を転々とし、イマイチ頼りない。
しかし、その頼りなさゆえに常に誰かが彼に救いの手を差し伸べる。
「おれ」こと仁村拓郎は高校卒業後、就職した鉄道会社で働く40歳。
結婚、出産、離婚を経験し、現在は二度目の結婚と出産を控えている。
人生の選択を迫られる度、平凡で堅実な選択をしてきた。
真面目で責任感が強く気遣い屋、だけど、
人の本質が見えているようで見抜けていない鈍さが欠点だ。
そして、その鈍さゆえに本人が気付かないうちに他者に振り回されている。
スタート地点は同じだった2人の道筋はスイッチをおすことで
ときに交じり合い、ときにかすり合い、そして、また枝分かれしていく。
誰もが自分の人生は自分でスイッチを押していると思っている。
それは「ぼく」にも「おれ」にも、そして、私にも言えること。
一見奔放にスイッチを押しているように見える「ぼく」は
実は周囲が敷いたレールを歩むことから逃れるために
それ以外の選択させられている。
自分の意志で選択をしているように見える「おれ」は
実は交際相手の妊娠により結婚を決めるなど
一見自分の意志でスイッチを押しているようでいて
結局彼もまた限られた中から選択させられているのだ。
だけど、選択させられているからといって幸せでないわけでもない。
「ぼく」は親戚の病院を継ぐために友人の店を辞め、
高校時代からだらだらと縁が続いていた元彼女と結婚することになる。
「おれ」は一回り以上も若い妻と結婚し、
新しい命の誕生に幸せをかみ締める。
誰かとかかわって生きているかぎり自分の意志で
思うままにスイッチを押せる人なんてそういないのかもしれない。
ふと自分のこれまでの道筋を思い返してみる。
あれれ。
私も自分でスイッチを押したつもりでいたけれど
案外限られた中でそのスイッチを押さざるを得なかっただけなのかな。と。
だけど
たとえ間違ったスイッチを押したとしても、
たとえ、周囲の意志が介入してスイッチを押したとしても、
幸せになれるかなれないかは本人の力量次第なのだと思うのだ。
人生振り返ったときに、あんときは楽しかったなあ
と思えるならばそれは最終的にはその人にとって
正しいスイッチだったのではないかしら。
さて、皆さん。あなたは自分でスイッチ押せてますか。
「ぼく」こと蒲生栄人は友人が経営する雑貨屋で働く40歳。
人生の選択を迫られる度、お膳立てされた選択肢を避けるように、
ふらりふらりと周囲に流され生きる「ぼく」はまるでくらげのよう。
親のコネで入社した会社でも「カッコつけぞう」とあだ名されたことに
ショックを受けて辞めてしまい、以来フリーターとして職を転々とし、イマイチ頼りない。
しかし、その頼りなさゆえに常に誰かが彼に救いの手を差し伸べる。
「おれ」こと仁村拓郎は高校卒業後、就職した鉄道会社で働く40歳。
結婚、出産、離婚を経験し、現在は二度目の結婚と出産を控えている。
人生の選択を迫られる度、平凡で堅実な選択をしてきた。
真面目で責任感が強く気遣い屋、だけど、
人の本質が見えているようで見抜けていない鈍さが欠点だ。
そして、その鈍さゆえに本人が気付かないうちに他者に振り回されている。
ぼくが考えるスイッチとは、つまり道筋だ。そしてスイッチを押すとは、どの道筋を選ぶか決めること。それを繰り返して、自分だけの地図ができる。(本文より)
スタート地点は同じだった2人の道筋はスイッチをおすことで
ときに交じり合い、ときにかすり合い、そして、また枝分かれしていく。
誰もが自分の人生は自分でスイッチを押していると思っている。
それは「ぼく」にも「おれ」にも、そして、私にも言えること。
一見奔放にスイッチを押しているように見える「ぼく」は
実は周囲が敷いたレールを歩むことから逃れるために
それ以外の選択させられている。
自分の意志で選択をしているように見える「おれ」は
実は交際相手の妊娠により結婚を決めるなど
一見自分の意志でスイッチを押しているようでいて
結局彼もまた限られた中から選択させられているのだ。
だけど、選択させられているからといって幸せでないわけでもない。
「ぼく」は親戚の病院を継ぐために友人の店を辞め、
高校時代からだらだらと縁が続いていた元彼女と結婚することになる。
「おれ」は一回り以上も若い妻と結婚し、
新しい命の誕生に幸せをかみ締める。
誰かとかかわって生きているかぎり自分の意志で
思うままにスイッチを押せる人なんてそういないのかもしれない。
ふと自分のこれまでの道筋を思い返してみる。
あれれ。
私も自分でスイッチを押したつもりでいたけれど
案外限られた中でそのスイッチを押さざるを得なかっただけなのかな。と。
だけど
たとえ間違ったスイッチを押したとしても、
たとえ、周囲の意志が介入してスイッチを押したとしても、
幸せになれるかなれないかは本人の力量次第なのだと思うのだ。
人生振り返ったときに、あんときは楽しかったなあ
と思えるならばそれは最終的にはその人にとって
正しいスイッチだったのではないかしら。
さて、皆さん。あなたは自分でスイッチ押せてますか。
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■ 登録日 2012/07/26
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BLソムリエとしても色々楽しく参加中。
【めも】
2013/4/14 50書評 到達。
2013/11/19 100書評 到達。
2014/10/26 150書評 到達。
2019/1/15 200書評 到達!
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- 出版社:実業之日本社
- ページ数:248
- ISBN:9784408536538
- 発売日:2014年11月07日
- 価格:1512円
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