yukoさん
レビュアー:
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あの時選んだこの道は正しかったのかと、誰しも思い返すことはあると思います。でも、この道を選んだから今の自分があるのだと、これで良かったのだと、その時の自分に「大丈夫だよ」と言ってあげませんか?
物語は8つの章からなります。
1つめは『空の彼方』
今より40年前・・・いえ50年ほど前でしょうか。
山間の田舎町のパン屋の娘、絵美。
毎日パンを買いに来るハムさんという高校生に好意を持ちます。
絵美は小説が好きで、自分でも小説を書くように。
結婚してパン屋を継ぐと決めた絵美の元に、小学校の同級生から連絡がきます。
東京在住の人気作家、松木流星が絵美の書いたものに興味をもっているとのこと。
住み込みでお手伝いをしながら、松木のもとへ弟子入りしないかというのです。
しかし絵美はハムさんと婚約したばかり。
両親にもハムさんにも猛反対され、小説家の夢をあきらめようとするのですが、
どうしても夢をあきらめきれず、着の身着のままでバスに乗り駅へと向かいます。
しかし、駅ではハムさんが待ち構えていました・・・
物語に結末はありません。
絵美はハムさんに連れ戻され夢をあきらめたのか、
それともハムさんと別れて夢を叶えたのか・・・
ここから7つの物語が続くのですが、
この『空の終わり』という未完の物語、手書きの原稿を、7つの物語に出てくる、さまざまな悩みを抱えた人が手にし、その結末について思いを巡らせます。
あの時下した選択は正しかったのだろうかと悩む人、
今、どの道を選択すればいいのか悩んでいる人、
彼、そして彼女はみんな、様々な悩みを抱えて北海道を旅しているのです。
いろんな人が『空の終わり』を読んで、登場人物を自分と重ね合わせ、いろいろなことを考えます。
それぞれの物語の主人公は、
妊娠三か月で癌が発覚した一人旅の女性、
写真家をあきらめることにした男性、
作家になる夢をあきらめテレビの制作会社に就職が決まった女性、
娘がアメリカに留学すると言いだしたことを受け入れられない男性、
がむしゃらに働いてきて、脚本家になる夢を追っていた恋人と別れてしまった女性、
孫が引きこもりで悩んでいる元教師の男性、
そしてその引きこもりをしている孫の女の子。
それぞれが思い出の土地、かつて暮らしていたり、旅したことがあった思い出の時である北海道で偶然出会い、
みんなが未完で終わっている『空の終わり』を読み、
自分なりの結末を作りだそうと、一歩踏み出したところで物語は終わります。
最後の2つの物語で絵美のその後、『空の終わり』の未完の結末が解き明かされます。
夢をあきらめたことは辛い過去だけれど、
愛する家族のためであれば、ちっとも辛くなかったんだろうなと。
だって、
その時の夢よりも、もっと大切なものを手に入れたのだから。
たとえば、あの時、
夢をあきらめない、という道を選択したとしても、何かしら必ず心にひっかかることは絶対に後々あるはずです。
今、毎日平穏な日々を送ることができているのならば、
それはその道を選択したことは間違いではなかったということ。
あの時こうしていれば・・・
ということをずっと思い悩んでいるのは、時間がもったいないと思いませんか?
終わり良ければ総て良し。
その道を選んだ自分を、いい選択をしたと褒めてあげなくては、と思うのです。
湊かなえというとイヤミスの女王のように思いがちですが、
とても心温まる物語たちでした。
こういう湊かなえも好きかも。
1つめは『空の彼方』
今より40年前・・・いえ50年ほど前でしょうか。
山間の田舎町のパン屋の娘、絵美。
毎日パンを買いに来るハムさんという高校生に好意を持ちます。
絵美は小説が好きで、自分でも小説を書くように。
結婚してパン屋を継ぐと決めた絵美の元に、小学校の同級生から連絡がきます。
東京在住の人気作家、松木流星が絵美の書いたものに興味をもっているとのこと。
住み込みでお手伝いをしながら、松木のもとへ弟子入りしないかというのです。
しかし絵美はハムさんと婚約したばかり。
両親にもハムさんにも猛反対され、小説家の夢をあきらめようとするのですが、
どうしても夢をあきらめきれず、着の身着のままでバスに乗り駅へと向かいます。
しかし、駅ではハムさんが待ち構えていました・・・
物語に結末はありません。
絵美はハムさんに連れ戻され夢をあきらめたのか、
それともハムさんと別れて夢を叶えたのか・・・
ここから7つの物語が続くのですが、
この『空の終わり』という未完の物語、手書きの原稿を、7つの物語に出てくる、さまざまな悩みを抱えた人が手にし、その結末について思いを巡らせます。
あの時下した選択は正しかったのだろうかと悩む人、
今、どの道を選択すればいいのか悩んでいる人、
彼、そして彼女はみんな、様々な悩みを抱えて北海道を旅しているのです。
いろんな人が『空の終わり』を読んで、登場人物を自分と重ね合わせ、いろいろなことを考えます。
それぞれの物語の主人公は、
妊娠三か月で癌が発覚した一人旅の女性、
写真家をあきらめることにした男性、
作家になる夢をあきらめテレビの制作会社に就職が決まった女性、
娘がアメリカに留学すると言いだしたことを受け入れられない男性、
がむしゃらに働いてきて、脚本家になる夢を追っていた恋人と別れてしまった女性、
孫が引きこもりで悩んでいる元教師の男性、
そしてその引きこもりをしている孫の女の子。
それぞれが思い出の土地、かつて暮らしていたり、旅したことがあった思い出の時である北海道で偶然出会い、
みんなが未完で終わっている『空の終わり』を読み、
自分なりの結末を作りだそうと、一歩踏み出したところで物語は終わります。
最後の2つの物語で絵美のその後、『空の終わり』の未完の結末が解き明かされます。
夢をあきらめたことは辛い過去だけれど、
愛する家族のためであれば、ちっとも辛くなかったんだろうなと。
だって、
その時の夢よりも、もっと大切なものを手に入れたのだから。
たとえば、あの時、
夢をあきらめない、という道を選択したとしても、何かしら必ず心にひっかかることは絶対に後々あるはずです。
今、毎日平穏な日々を送ることができているのならば、
それはその道を選択したことは間違いではなかったということ。
あの時こうしていれば・・・
ということをずっと思い悩んでいるのは、時間がもったいないと思いませんか?
終わり良ければ総て良し。
その道を選んだ自分を、いい選択をしたと褒めてあげなくては、と思うのです。
湊かなえというとイヤミスの女王のように思いがちですが、
とても心温まる物語たちでした。
こういう湊かなえも好きかも。
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仕事のことで鬱状態が続いており全く本が読めなかったのですが、ぼちぼち読めるようになってきました!
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- 出版社:朝日新聞出版
- ページ数:296
- ISBN:9784022512215
- 発売日:2014年10月07日
- 価格:1512円
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