レビュアー:
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職人芸のようなプロットの組み立て。作者の独創的な離れ技に出し抜かれ続けた。
先行書評を読んだ皆さんはすでにご承知の通り、そして本書の帯に「101ページ以降の展開は、誰にも話さないでください。」と警告されている通り、ストーリーを紹介することは、これから読まれる方の楽しみを台無しにしてしまう。
およそミステリというものは、最後に「なぜそれが起きたのか」という全体像と犯人の動機がわかる仕組みになっており、この作品も例外ではない。また、この話は最後に驚愕のどんでん返しが待っているわけではない。それなのに、読後に「こんなのは読んだことがないぞ。不思議な読書体験をしたなあ。」と思った。
作者は事件の見せ方が非常に上手い。天才的なプロットの組み立てにより、物語の様相がどんどん変化してゆくことに読者は衝撃を受けるのである。
幕開けは女性誘拐監禁事件。なぜ連れ去られたのか、警察は彼女を発見できるのか。女性の様子と捜査状況を交互に描いて、サスペンスは盛り上がり放題。そしてある時点を過ぎると、読者は作者の独創的な離れ技に意表を突かれ出し抜かれ続けることになる。
途中で何度も事件そのものがガラリと変化し、やがて「ある事」が見えてくる。本書の評価が高いのは、多重構造にこしらえあげた構成の妙と、身長145㎝の切れ者、カミーユ・ヴェルーヴェン警部に率いられた捜査班の男たちの魅力だと思う。
法的な正しさと人としての正しさ、最後には正義のあり方について問いかけられる。この決着には賛否両論あるのではないか。しかしながら読後感はある意味爽快だった。それは本書が、最愛の妻と生まれるはずだった赤ちゃんを誘拐され惨殺されたヴェルーヴェン警部の人生再生の物語、捜査班の信頼と友情の物語でもあるからだろう。
だがページを閉じた時、読者の胸に深く刻まれる名前は間違いなくアレックスである。「その女アレックス」、これ以外のタイトルは考えられない。
およそミステリというものは、最後に「なぜそれが起きたのか」という全体像と犯人の動機がわかる仕組みになっており、この作品も例外ではない。また、この話は最後に驚愕のどんでん返しが待っているわけではない。それなのに、読後に「こんなのは読んだことがないぞ。不思議な読書体験をしたなあ。」と思った。
作者は事件の見せ方が非常に上手い。天才的なプロットの組み立てにより、物語の様相がどんどん変化してゆくことに読者は衝撃を受けるのである。
幕開けは女性誘拐監禁事件。なぜ連れ去られたのか、警察は彼女を発見できるのか。女性の様子と捜査状況を交互に描いて、サスペンスは盛り上がり放題。そしてある時点を過ぎると、読者は作者の独創的な離れ技に意表を突かれ出し抜かれ続けることになる。
途中で何度も事件そのものがガラリと変化し、やがて「ある事」が見えてくる。本書の評価が高いのは、多重構造にこしらえあげた構成の妙と、身長145㎝の切れ者、カミーユ・ヴェルーヴェン警部に率いられた捜査班の男たちの魅力だと思う。
法的な正しさと人としての正しさ、最後には正義のあり方について問いかけられる。この決着には賛否両論あるのではないか。しかしながら読後感はある意味爽快だった。それは本書が、最愛の妻と生まれるはずだった赤ちゃんを誘拐され惨殺されたヴェルーヴェン警部の人生再生の物語、捜査班の信頼と友情の物語でもあるからだろう。
だがページを閉じた時、読者の胸に深く刻まれる名前は間違いなくアレックスである。「その女アレックス」、これ以外のタイトルは考えられない。
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「本が好き!」に参加してから、色々な本を紹介していただき読書の幅が広がりました。
この書評へのコメント
- Wings to fly2015-01-18 22:29
はるほんさん
小太郎さんが「買っても損ではないですよ。」とおっしゃっていましたが、全くその通りだと思います。預かってる荷物を取りにひょっこり現れた長男に即「これ持って帰って読んでいい?」と聞かれたし(笑)書評を拝見するのが楽しみ♪♪
かもめ通信さん
貴女はおちそうにないなぁ….w かもめ通信さんをおとせたら私も一丁前なんだけどねぇ(-_-) でもこーんなに読まれるには、それなりのわけがあるんだってわかりました。さあさあどうぞどうぞ、
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- Wings to fly2015-01-20 17:37
私もサンペーリさんの感想が聞きたいですっ‼︎
書評、お待ちしていますよ。
えい!( ^_^)/~~~ あなたはアウトプットしたくなるしたくなる……
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書評一覧を取得中。。。
- 出版社:文藝春秋
- ページ数:457
- ISBN:9784167901967
- 発売日:2014年09月02日
- 価格:929円
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