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はるほん
レビュアー:
設定は面白いと思う。が、文章がなんとも軽い。
結構話題になっていたことからあらすじを知り
文庫化したら読んでみようと思っていたので購入。

脳腫瘍と診断され、余命は長くて半年、
早ければ一週間と宣告された30歳のごく平凡な男。
余りの衝撃に、やりたいことも思いつかない。
茫漠と「死にたくない」と思う男の前に、悪魔が現れる。
「世界から1つ何かを消す代わりに、貴方の命を1日延ばしてあげよう」と。

設定は面白いと思う。
が、文章がなんとも軽い。
演出としての面白さと文章が軽いのは別物と思う。
なんかこう、がっつりスキヤキ食べるつもりだったのに
箸に刺さるのが麩ばっかっつーか、なんか軽い。

まあ映画化も決定してるらしいし
色んな年齢層を狙うとこんなカンジになるんかなあと読みすすめる。

「消すもの」は自分では選べない。
悪魔が指定するものを男が了承すると、翌日それは消える。
初日は携帯電話が。
次の日は映画が。
その次の日には時計が──、──消えてしまう。

チョイスは良い。
が、その消え方がなんとも中途半端だ。
「消える」選択をする男が自分の生きてきた時間を想うのはヨシとして、
「消えた」ことによって何が変わったのかは、描かれていない。
軽い。なんか軽い。

いかにも映画枠に収めるために作られた感がある。
そのことも含めて、全体的に「あざとい」と感じてしまう。
猫を出せばみんなが「きゃわわ~w」だと思うなよ。
いや確かに表紙の猫がデブだったら★1つ増やしたけど。(アカンやん)

話が悪いという訳ではないのだ。
命の話に、余りに安直に「感動」を狙っているのがどうも気になる。
本来、人の命を扱う話にファンタジーを盛り込むのは好きじゃないが、
ファンタジーによってしか作れない命の物語もある。
だがこの本は、命を語るためのファンタジーだとは思えなかった。

「真面目さ」が感じられないと言う方が正しいかもしれない。
たまたまだが、自分の身内に癌を抱えている者がおり、
余命宣告をされたので、余計にそう感じたのかもしれない。
きっとその人は、自分の命を長らえるために
世の中から何かを消すなんてことはしないと思うので
主人公の男の「不真面目さ」が受け付けなかったのかもしれない。

自分もしない。
むしろ人が何かを消してでも取り戻したいと思うなら
それは「自分にとって大切な人」の命の方じゃないだろうか。
それとも今の人は、そうじゃないのか。
これは単なるジェネレーションギャップなんだろか。(苦笑)

やれやれ、歳は取りたくないのう。( ´Д`)=3
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はるほん
はるほん さん本が好き!1級(書評数:684 件)

歴史・時代物・文学に傾きがちな読書層。
読んだ本を掘り下げている内に妙な場所に着地する評が多いですが
おおむね本人は真面目に書いてマス。

年中歴史・文豪・宗教ブーム。滋賀偏愛。
現在クマー、谷崎、怨霊、老人もブーム中
徳川家茂・平安時代・暗号・辞書編纂物語・電車旅行記等の本も探し中。

秋口に無職になる予定で、就活中。
なかなかこちらに来る時間が取れないっす…。

2018.8.21

読んで楽しい:10票
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この書評へのコメント

  1. 薄荷2014-09-26 22:56

    >命の話に、余りに安直に「感動」を狙っている・・・何だか狡っからい話ですね。

    どうもここ何年かで、病気の人が亡くなる『セカチュウ』もどきやら、残酷に人が沢山殺される『バトロワ』もどきやらが、話題の本になったり即映画化されたりが多くていただけないなぁ・・・と思います。
    本も映画も商品ですから当たれば成功なんでしょうが・・・納得できないのはやっぱり歳なんですかねぇ・・・。

  2. はるほん2014-09-26 23:15

    >薄荷さん
    。・゚・(ノД`)・゚・。うおぉぉん、そうなんですよ。
    「感動したい」ってキモチは分かるし、あるんです。
    でもその意図が鼻に付くともうねえ…。(苦笑)

    評にも書きましたが、決して悪い話ではないんです。
    一歩間違えばほろっときたかもしれないんですが
    もう最後は「誰が泣いたるかぁぁぁ!」って読んでたので駄目でした。

    逆にこの歳でうるっとくるとめっちゃ感動しますが
    なんつーかもう諸刃の件ですね。齢ってヤツはぁ…。

  3. No Image

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