はるほんさん
レビュアー:
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個人的アクティ祭!その3。
手持ちの本は「羅生門・鼻」。
鼻は既に一度評を書いたが、この芋粥もお気に入りの話である。
元ネタは今昔物語などの古典文学ではあるが、
少々ストーリーに手を加えてあったりするので、芥川作品として読む。
五位といううだつの上がらない男が主人公。
多分うだつレベルでいうと1より下。
上がらないと言うよりうだつが下がってるカンジ。
それくらい徹底して冒頭では
五位がいかにぱっとしないかの描写に徹している。
実際の今昔物語「(藤原)利仁芋粥の事」は恐らく
藤原家の栄華を知らしめるために
五位というキャラクターを踏み台にしてあるのだろうが
ここまで徹底しているあたり、芥川の意図があるように思われる。
そんなウダツ=五位(勝手に命名)にも、夢がある。
客が来た時のおこぼれでしか口にできない「芋粥」を飽きる程食うことである。
碗の芋粥が少ないほど、その旨味がしみる。
口回りに着いた芋粥をねぶりながら、
何時になったらこれに飽けるのかと、五位はしみじみ嘆息する。
そんなある日、五位に芋粥を飽くるほど食う機会が訪れるのだ。
上手い、と思う。
この「何時か腹いっぱい食べたい」という野望は、
恐らくほとんどの人が胸に抱いたことがあるのではないか。
自分の場合は、駄菓子屋に売っていたイカ足(@¥30)である。
100円の資金では1本を買うのがせいぜいで
大人になったらこれを買い占めてやろうと思ったものである。
そしてもういい年になったある日、
友人と業務スーパーへ行き、イカを買ってやったのである。
───天下取ったり。そう思った。
が、この甘辛濃い味は案外食えない。
全員で半分も食った辺りで、手が止まってしまった。
その刹那、我が子供時代は永遠に潰えてしまったのだ。(大袈裟な)
始めてこの「芋粥」を読んだのは、小学生の頃だった。
何故五位が芋粥を食えなかったのか分からなかった。
しかし次に読んだとき、五位の夢を叶えた藤原利仁に憤りすら感じた。
夢を横柄に奪われた五位に、頬を伝う涙を禁じ得ない。(割と嘘)
五位の不甲斐なさを列挙した冒頭は、恐らくここに繋がっている。
元ネタの今昔物語も読んでみた。
結末はまるっきり違う。
芥川は恐らく元ネタを読んで五位の幸福について考えた末、
この「芋粥」というストーリーが生まれたのだ。
芥川の中にもきっと30円のイカ足があったのだ。(どうだろう)
ちなみにこの作品を読んでから、心の片隅に
「芋粥」を作ってみてぇという野望がなくもないのだが
自分の中の妄想芋粥の旨さの為に、作らない方がいいんだろうな。
鼻は既に一度評を書いたが、この芋粥もお気に入りの話である。
元ネタは今昔物語などの古典文学ではあるが、
少々ストーリーに手を加えてあったりするので、芥川作品として読む。
五位といううだつの上がらない男が主人公。
多分うだつレベルでいうと1より下。
上がらないと言うよりうだつが下がってるカンジ。
それくらい徹底して冒頭では
五位がいかにぱっとしないかの描写に徹している。
実際の今昔物語「(藤原)利仁芋粥の事」は恐らく
藤原家の栄華を知らしめるために
五位というキャラクターを踏み台にしてあるのだろうが
ここまで徹底しているあたり、芥川の意図があるように思われる。
そんなウダツ=五位(勝手に命名)にも、夢がある。
客が来た時のおこぼれでしか口にできない「芋粥」を飽きる程食うことである。
碗の芋粥が少ないほど、その旨味がしみる。
口回りに着いた芋粥をねぶりながら、
何時になったらこれに飽けるのかと、五位はしみじみ嘆息する。
そんなある日、五位に芋粥を飽くるほど食う機会が訪れるのだ。
上手い、と思う。
この「何時か腹いっぱい食べたい」という野望は、
恐らくほとんどの人が胸に抱いたことがあるのではないか。
自分の場合は、駄菓子屋に売っていたイカ足(@¥30)である。
100円の資金では1本を買うのがせいぜいで
大人になったらこれを買い占めてやろうと思ったものである。
そしてもういい年になったある日、
友人と業務スーパーへ行き、イカを買ってやったのである。
───天下取ったり。そう思った。
が、この甘辛濃い味は案外食えない。
全員で半分も食った辺りで、手が止まってしまった。
その刹那、我が子供時代は永遠に潰えてしまったのだ。(大袈裟な)
始めてこの「芋粥」を読んだのは、小学生の頃だった。
何故五位が芋粥を食えなかったのか分からなかった。
しかし次に読んだとき、五位の夢を叶えた藤原利仁に憤りすら感じた。
夢を横柄に奪われた五位に、頬を伝う涙を禁じ得ない。(割と嘘)
五位の不甲斐なさを列挙した冒頭は、恐らくここに繋がっている。
元ネタの今昔物語も読んでみた。
結末はまるっきり違う。
芥川は恐らく元ネタを読んで五位の幸福について考えた末、
この「芋粥」というストーリーが生まれたのだ。
芥川の中にもきっと30円のイカ足があったのだ。(どうだろう)
ちなみにこの作品を読んでから、心の片隅に
「芋粥」を作ってみてぇという野望がなくもないのだが
自分の中の妄想芋粥の旨さの為に、作らない方がいいんだろうな。
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歴史・時代物・文学に傾きがちな読書層。
読んだ本を掘り下げている内に妙な場所に着地する評が多いですが
おおむね本人は真面目に書いてマス。
年中歴史・文豪・宗教ブーム。滋賀偏愛。
現在クマー、谷崎、怨霊、老人もブーム中
徳川家茂・平安時代・暗号・辞書編纂物語・電車旅行記等の本も探し中。
秋口に無職になる予定で、就活中。
なかなかこちらに来る時間が取れないっす…。
2018.8.21
この書評へのコメント
- kuori2014-07-28 20:18
>「芋粥」を作ってみてぇ
平安の「芋粥」をつくるのは大変そうです^^;
http://www.honzuki.jp/book/188048/review/84205/クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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- 出版社:
- ページ数:17
- ISBN:B009IWPSD0
- 発売日:2012年09月27日
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