書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

風竜胆さん
風竜胆
レビュアー:
本書は、私が京都に住むことになった時に買った思い出深い一冊です。
 ある年の春、桜が満開の季節に、私は京都に移り住んだ。大学に通うためだ。住居を構えたのは、一乗寺というところに出来たばかりの学生アパート。四畳半一間で、トイレも台所も共同だった。銭湯に通うのが前提なので、風呂なんてものは付いていない。エアコンなどという文明の利器は、まだまだ普及していなかった時代のことだ。もちろん、京都に住むのは初めてであり、見知らぬ土地での暮らしに、期待と不安が入り混じりながら、私の大学生時代は始まった。

 理系少年だった私は、湯川秀樹先生にあこがれて、学部は違うとはいえ京都大学に入学したのだが、せっかく古都・京都で暮らす事になったというのに、かの地の風俗。文化、名所というものについての知識はほとんどなかった。そこで、当時京都のことをよく知ろうと思い、まず買ったのが、この「京都」(林屋辰三郎:岩波新書)である。そういったことで、この本に対しては、思い入れがあるのだが、amazonで検索してみると、現在でも売られているようなので、その息の長さには驚く。観光で訪れるのならともかく、住むのなら、薄っぺらなガイドブックなどよりは、本書のような本を読んだ方が良いだろう。

 京都は寺社の街だ。少し歩けば、どこかの寺や神社に行きあたる。だから京都は、寺社を抜きにしては語れない。本書も寺社の由来、特徴、ゆかりの深い人物のエピソードを中心に、京の行事や風俗についても解説する。

 自分が学生時代を過ごすところについて知ろうと、貪るように本書を読んだあの頃。思えば、あのことが一番楽しい時代だった。久しぶりに読み直すと、夢と希望に溢れていたあの頃がよみがえってくる。京都は、私の青春を置き去りにしてきた街。あの時代は大切な思い出である。折に触れ、本書を読み返して、あのころの思い出に浸るのも悪くないだろう。

お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
掲載日:
投票する
投票するには、ログインしてください。
風竜胆
風竜胆 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2800 件)

昨年は2月に腎盂炎、6月に全身発疹と散々な1年でした。幸いどちらも、現在は完治しておりますが、皆様も健康にはお気をつけください。

読んで楽しい:18票
参考になる:10票
共感した:2票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. 風竜胆2014-08-25 12:51

    小さい頃京都には白川女とか大原女とかいう人がいる(いた?)と教科書に書いてあったような記憶がありますが、さすがに今はいませんよね?私が大学のころも見たことなかったし・・・

  2. 風竜胆2014-08-25 13:18

    京都ゆかりの人(自己申告可)、この指と~まれw

  3. Tetsu Okamoto2014-08-25 14:12

    昭和56年から平成元年まで学生および司法修習生でいました。一乗寺には昭和57年から平成元年まで。高野バス停のそばのアパートでした。

  4. サンペーリ2014-08-25 15:10

    実は私、京都生まれです。東寺の近く病院で。

  5. 風竜胆2014-08-25 15:12

    >Tetsu Okamotoさん
    時期的には、完全に入れ替わりですね。どちらが先かは、あえて言わないでおきます。何しろ、心は、永遠の20代ということで通していますからw

  6. 風竜胆2014-08-25 15:17

    >サンペーリさん
    東寺は、私も好きで、何回も行きました。あの壮大な密教の仏たちには圧倒されます。
    大学生活では、あの時代、周りにはなぜか大阪人や名古屋人が多くて、同級生で京都人だったのはひとりしか知りません。

  7. ぽんきち2014-08-25 16:10

    下鴨神社近くに住んでます~。
    9年半ほどになりますが、寺社巡りはあまり出来ておらず(><)。今後、徐々に回ってみたいと思っています。

    鹿にイタチ、ヌートリアと野生生物にはいろいろ出くわしますが、某小説で神社に住んでいることになっている狸にはあったことがありませんw。残念~。

  8. 風竜胆2014-08-25 18:34

    >ぽんきちさん
    それはうらやましい。でも、いつでも行けると思うと、案外行かないものですよね。私も、学生時代より、卒業してからの方が、沢山寺社を回ったような気がしますw

  9. miol mor2014-08-25 19:51

    その界隈(どの界隈?)について語りたいことは山ほどありますが、一つだけ。西部講堂近くの部室にほぼ入りびたりで毎日「超○○○」などという領域の専門書(?)や論文(時間論)を読んだり吉田山での観測(?)などを行う奇怪な毎日でした。理系文系入り乱れる部でしたw

  10. 風竜胆2014-08-25 20:07

    >miol morさん
    miol morさんも同窓ですか。ここにも思ったよりおられそうですね。
    私は、クラブやサークルには入っていませんでしたが、悪い仲間にすぐ雀荘(あのころは大学の周りにけっこうありました)に連れて行かれたりしていましたw
    なにしろ、あの頃は、まだ学生運動の残り火もあり、うっかり文化系のクラブに入ると怖くって、かといって運動部に入るような体力はないしw
    以前行った時に、吉田神社の鳥居の手前にある本屋さん、なくなっていました。旧教養部も私が通っていたころの胡散臭さもすっかりなくなり、びっくりするくらい変わっていますね。

  11. miol mor2014-08-25 21:05

    いや、もちろん、四人そろえば何とやらでw
    物騒な学生運動家があちこちにいましたが、私の部はどちらかといえば理系の部で、メンバーの殆どは理系でした。読んでた論文もソ連の物理学者の論文でした。
    それはナカニシヤですね。調べたら2009年秋に廃業したとか。
    教養部は人間・環境学研究科、総合人間学部に代わりましたね。

  12. 風竜胆2014-08-25 22:43

    >miol morさん
    そうです。ナカニシヤです。教科書なんかも、あそこで買うか、生協で買うかといった感じでしたね。
    学生運動家がうろうろしていたということは、同じころ通っていたのかもしれませんね。私たちのころは、教養部の前で、お兄ちゃんがビラ配りをしていました。教室はビラの山で、裏に印刷されてないものを、メモ代わりにしようと、よく拾っていましたw

  13. 風竜胆2014-08-27 21:07

    さすがに、私は、ここまで昔の人ではないので念のためw

  14. 素通堂2014-09-01 02:12

    遅ればせながら、僕も一応京都人です。でも京都の人には「そこは京都ちゃう」て言われますけど…市内なのに!

  15. 風竜胆2014-09-01 06:56

    >素通堂さん
    なんとなく、どのあたりか想像できますw

  16. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『京都』のカテゴリ

登録されているカテゴリはありません。

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ