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chiezoさん
chiezo
レビュアー:
武者達にジェットエンジンやヘッドフォンを与えていたら、案外使いこなしていたかもw
侍達が現代アートで甦る!
精巧、且つ緻密に再現されている鎧兜。
しかも、きちんと時代を経て経年劣化した具足類。

『野口哲哉展 -野口哲哉の武者分類(むしゃぶるい)図鑑-』を
大山崎山荘美術館で観てきた。本書は美術館で販売されていた図録。

約150年前まで実在した武者たち。
テレビや舞台で見る化粧やカツラで扮装した侍ではなく
実在した武者の姿を精巧に緻密に再現して見せてくれる。

しかも、そのひとつひとつの設定された妄想による佇まいがユニークなのに
歴然と「武者」として成立しているって事に唖然とする。

『変り兜: 戦国のCOOL DESIGN (とんぼの本)』が、かなりツボだった。
なんでこんなヘンな兜?と思ったけど、人間っつーのは、いつの時代も
クリエイティビティを追い求めて斬新なモノづくりを行ってきたと考えると納得。

本作の表紙のように、甲冑姿でヘッドフォンを着用して目を閉じて聞き入ってたりする。
付いたタイトルは『誰モ喋ッテハイケナイ』。
誰も彼に触れたり話かけられない、透明なバリアが張り巡らされたような佇まい。
甲冑にはサルが口に人差し指を立て「言わ猿」ポーズをキメている。

戦の論功行賞でシャネルの家紋を受けた紗練家(しゃねるけ)。
甲冑にシャネルのシンボルを配し、旗の御印はもちろんシャネルロゴ。
こと細かくキャプションを付けてくれてるあたりが小憎らしい。

老いた元武将が、書かせたであろう武者絵からインスパイアされた像とか
赤い鎧兜がサンタクロースに見えるからって侍をサンタにするとか
小人に甲冑作らせたらゴミで作るハズだとか、繰り出される妄想の数々。

現代を生きる若者の想像が実在した侍達に魂を吹き込むミックスアート。
その現実と非現実の境に、存在するような作品群。
いや、あながち無かったとは言えないんじゃ?という気さえしてくる。

侍達が「空を飛びたい」と思っていなかったとは誰も断定できない。
鳥を眺めては憧れていただろうし、ただ実現できなかっただけ。
いや、ひょっとすると実際は飛んでいたかもしれないぞ、資料が残ってないだけで。
・・・・って思わせるくらいリアルな作りのフィギュアや絵画。

鎧兜や掛け軸に年代を経てきた時間を纏わせ、侍にも刀傷の癒えた跡を残すリアルさ。

ガラスケースのキャプションに釘付けになる人々までをも
陥れようとする細やかな作品群は、美術館を回遊するように
ページをめくるごとに圧倒されてしまう。
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chiezo
chiezo さん本が好き!1級(書評数:1003 件)

読書熱は一向に下がらず、本を読み続けてはいるのですが
なかなか当サイトを訪れる事が出来ず
「読んだ本」ばかりが増え続けております。

皆さんの書評を拝読できず、投票行為も止まったままですが
時折、投票されましたメールを戴き恐縮しきりでございます。

またチョボチョボと「読んだ本」から書評へと
移行させていきますので、よろしゅうお願いします。

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