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たけぞう
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南部芸能事務所シリーズ第二弾。
前から気になっていた畑野智美さん。おかげさまでようやく読むことができました。
シリーズ一作目と同様、連作短編集です。
南部芸能事務所の若手漫才師の新城溝口を中心に、視点を変えながら物語が展開していきます。

新城と溝口は大学に通いながらデビューしました。
友だちの橋本に誘われて南部芸能事務所のライブを見にいったことがきっかけで
すぐに研修生となり、溝口とコンビを組んで掴んだ小さな小さな事務所のライブ。
最初のギャラは五百円。
デビューのギャラは一組あたり千円だから、コンビで割ると半分。トリオだと三分の一。
新城は五百円玉を見つめ、どうしたらいいんだろうと悩んでいます。

この雰囲気、なんかいいですね。
自分が初めてもらった給料のことを思い出しながら読んでいました。
漫才のネタやライブのシーンはなく、舞台裏の人間模様が語られていきます。
できれば漫才シーンがあるともっと良かったように思いますが、仕方ないです。

新城の漫才にかける思い。ほかの漫才師たちの思い。支える人たちの思い。
とても真面目に漫才という芸を極めようとする心意気が感じられます。
だから、異色の登場人物が入るとアクセントになります。

川崎さんという事務所の先輩は、ひと頃はブームの中心にいて憧れられる存在です。
しかしいまや落ち目の存在。
「相方」という章に出てくるのですが、何とももの悲しく、こういう話を書けるから人気があるのかなと思いました。
俺を好きなわけじゃない。同類を探していたんだ。
川崎の目に映ったあわせ鏡の現実。頭がすっと冷えますね。

挫折しそうになりながら頑張ろうとする人たちの話が多いです。
短編なのでシリーズ第二弾のこの本から読んでも大丈夫そうです。
ほかの作品も読もうと思いました。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1471 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。

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