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献本書評
Wings to fly
レビュアー:
実際のエピソードから知る「遺品整理」。残す人にも受け継ぐ人にも役立つ良書です。
夫の両親はどちらも、平均寿命からするとかなり若くして亡くなった。思いがけない出来事だったため、遺産の把握と家一軒まるごと全部の遺品整理には大変な時間と手間が掛かった。神経を使う大仕事だったあの経験を思い出し、本書の献本に応募した。

私の遺品整理をするのは、不精な息子たちである。(夫より長生きする気満々。)その負担を減らすにはどうしたらよいの?さいたま市で遺品整理業を営む著者の本には、残し方・受け継ぎ方、また発生しがちなトラブルへの貴重なアドバイスが満載。亡くなった方にも遺族にも思いやり感じられる仕事ぶりに感銘を受けた。

引き出しから小さな箱まで、家中の全てに目を通して中味を確認し、残すものを選り分け不用品を処分するのが、遺品整理業である。まず感じたのは、通帳と印鑑、土地や家の権利書の在り処などを家族に知らせておくことの重要性だ。具体的な情報があれば、整理する人の手間が激減する。心理的負担を減らすには、遺言書を作り諸々をお願いしておくのが理想だが、故人の要求が具体的過ぎると実行する側の負担になる。それに、遺言書は家庭裁判所へ提出して検認を請求しなくてはならない。大事なのは「引き継ぎ」と「思い」だと著者は言う。

あるひとり暮らしのおばあちゃんは、亡くなる前にハウスクリーニングを頼み、お孫さん宛ての古い雛人形セットと手紙を遺した。中には二人の孫への感謝の言葉と、次のお正月にあげるつもりだったお年玉。お孫さんへの遺産は、いつまでも心に残るおばあちゃんの優しい愛情だ。

死は、言うなればあの世の転勤である。後任へ仕事を託す場合と同じく、具体的に簡潔に。「あとは自分のやり方でね。」が一番だ。最近では、インターネット上に遺品が残されるようになった。私が死んだらこの書評も遺品なのよ。息子にパスワード教えて、「スタッフの皆さまに連絡せよ。」って伝えておくから、サンペーリさんは訃報を出して下さるかしら?ネットで楽しくお付き合いした方たちは私の人生の大切な財産なので、よろしくお願いします(遺言)。
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Wings to fly
Wings to fly さん本が好き!免許皆伝(書評数:862 件)

「本が好き!」に参加してから、色々な本を紹介していただき読書の幅が広がりました。

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この書評へのコメント

  1. はにぃ2014-04-19 22:14

    両親は健在ですが、実家に帰るたびに物が増えているような気がします。
    本人たちは「死んだら業者に頼んで全部捨ててもらって」と言うのですが、そうもいかないですよね。

    先日、ヘアメイクしてもらう機会がありました。
    その時の写真を遺影にしてくれと家族に頼んでありますw

  2. Kurara2014-04-19 22:33

    これ外れちゃったんですけどw
    以前、↓を読んで、絶対お互い元気なうちにどうするか決めておくべきだなぁーと思いました。特に実家が遠い方などは、片づけに何回も行ったり来たりして、それだけで相当疲弊しちゃうらしいです。本当後回しにしたいことですけど大事ですね。

  3. manjyu2014-04-19 22:51

    応募しようかどうか迷っているうちに、終わってしまいました。
    Wings to flyさんの書評を拝見して
    やっぱり、応募した方がよかったかなあ?と思いました。
    (その前に当たるかどうかという問題もありました。^^;>Kuraraさん)

    もし自分が死んだら、子供は苦労すると思います。
    とりあえず、部屋からはみだしてあふれている本から整理した方がいいかしら?

  4. Wings to fly2014-04-20 00:36

    はにぃさん
    >死んだら全部捨ててもらって…
    全部は捨てる決心はつきませんよね。その仕分けが一番大変でした。あの頃にこういう会社があったらなー。仕分けしながら「これは取っておいた方が良いです」ってアドバイスしてくれるのは本当に親切だと思いました。
    私の父も「葬式用の写真が用意してある」と言ってあの世へ行きました。指示された戸棚を開けたら母の遺影まで用意してあり、葬儀の準備中に妹と爆笑しました^ ^

  5. Wings to fly2014-04-20 00:33

    Kuraraさん
    そうなんですよ。夫の実家は徒歩圏内にありましたが、遺品整理は葬儀より大変だったような気がします。今日たまたま長男が来たので、この本を読んでもらうことにしました。自分がどんな大仕事に直面するのか、まずは理解してもらい、少しずつ話し合って行きたいと思います。…とか言いつつ、親の通帳見てガッカリする息子たちの顔が目に浮かぶ(笑)

  6. Wings to fly2014-04-20 00:32

    manjyuさん
    これは実に参考になる本でした。私が死んだら息子たちはこの会社にお願いしたらいいんじゃないかと思うほど、著者の仕事に対する姿勢にも感銘を受けました。
    本はね、整理してもいつの間にか増殖しちゃうんですよ♪ なんでかと言うと、雄と雌がいて子孫を残すから!亡父の残した本がいまだに片付かないのも、そういう理由なのだと思います(^^)

  7. よみか2014-04-20 12:48

    >死は、言うなればあの世の転勤である。後任へ仕事を託す場合と同じく、具体的に簡潔に。「あとは自分のやり方でね。」が一番だ。

    この部分が特に心に響きました。遺していく者が、これを念頭において考れば何を遺すべきか自ずと答えが出てくるように思えました。

  8. Wings to fly2014-04-20 23:18

    よみかさん
    ありがとうございます。本書を読んで痛感したのは、あの世に旅立つ時の状況はひとりずつ違うので、残し方にこれがベストというモデルケースは無いということでした。煩雑な諸々を託される後任たちは、亡くなった人の「思い」を感じられれば気持ちも軽くなりますね。その人の「遺し方」とは、どう生きたかにとても関わる事だと思いました。

  9. ラビー2014-04-21 15:34

    この本、外れちゃいました。
    うちは夫婦そろって、コレクターなので、それはそれは相当な量です(爆
    ま、子どもたちに売り払われちゃうんでしょうけど~(哀

    その前に、義両親もかなりの物持ちなので、もしもの時は、整理が大変そうです。

    母は、亡父の遺品となったすべてのものをずいぶん長いこと処分できずにいました。
    その気持ちもわかるので、何も言いませんでしたが・・・。

    事前に知識として持っておいたほうがいいよね、やっぱり・・・っと、
    ここを読んでいて思いました。

  10. サンペーリ2014-04-21 21:02

    >サンペーリさんは訃報を出して下さるかしら?

    はい、おまかせください!と、調子よくいきたいところですが、自分もいつ死ぬかわからないですからね。私も遺言しておかないと。

    死後に思いを馳せるのって今をよりよく生きる助けになるよな、と思います。
    (この本はもっと実用的な内容なのでしょうが、Wings to flyさんの評を拝読して。)

  11. Wings to fly2014-04-21 21:49

    ラビーさん
    楽しく生きるためのコレクションだもの!楽しんだ後に「後任」に売り払われても泣かないで下さいね~。後は後のことだもんっ♪
    私の母も亡父の遺品を形見分けした後、書斎などはそのまんまにしています。実家には物が溢れています。でも、それが母の「引き継ぎ」なんだと思うから私も何も言えません(笑)整理する時にどういう方法があるか知っていれば、それでいいのかなとも思います。そんな時がなるべく遅いといいですね、お互いに!

  12. Wings to fly2014-04-21 22:00

    サンペーリさん
    はい、この本は実用面でも大変参考になりました。でも、著者の内藤さんの遺品整理の現場での体験を読むと残りの人生に思いを馳せてしまい、こんな観念論の書評になってしまいました(笑)
    親子で役立てられる良いご本を頂戴し、誠にありがとうございます。
    死ぬまで「本が好き!」に居座るつもり満々です。今後ともよろしくお願いしますっ!

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