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はにぃさん
はにぃ
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「模型バカ」のオタク集団が「世界の海洋堂」へ。その裏には創業者親子と仲間たちの泥臭い青春の日々があった!
海洋堂といえば、「チョコエッグ」の中に入っているオマケが食玩(食品に付属して販売される玩具)とは思えないクオリティで、世間の注目を浴びた模型会社である。
今では、世界中から制作依頼が来るというアート製造企業へと発展している。

その海洋堂はどのように成長を遂げたのだろうか。
子供たちが集う町の模型屋さんからアート集団へと変貌していく過渡期を、当時アルバイトとして在籍していた著者が述懐していく。

海洋堂は東京オリンピックが開催された昭和39年、大阪・門真市に小さな模型店として誕生した。
創設者の宮脇修は開業するにあたって、プラモデル屋にするか故郷・高知で学んだ手打ちうどん屋にするか悩んだという。
海洋堂がうどん屋になっていたら、今のフィギア界は違ったものになっていたのだろうか。

お互い本名を知らず、帽子にメガネをかけているから「ボーメ」、親戚のヒサトに似ているから「ヒサトモドキ」・・・そんなテキトーなあだ名で呼び合うユルい関係。
常連客とアルバイト、社員の垣根も曖昧ないい加減さ。
ホコリと薬品の匂いが充満している雑然とした作業場。
そして、仕事が終わっても毎晩残って模型を作り続ける「模型バカ」たち。

「僕らには神も仏もなくて、模型だけがあった。」

毎日が「模型祭り」というお祭り騒ぎ!
女の子ともオシャレとも無縁のむさくるしさ!
泥臭い青春の日々!
まるで、文化系男子学生の合宿所のようではないか。

しかしそこに集まる男たちは、日常生活に支障をきたすくらい変人だが、造形の腕だけは誰にも負けない・・・そんなオタク集団たちだった。
その男たちを、創業者である宮脇修が「模型をアートに!」を合言葉に引っ張っていく。

そういえば幼い頃、近所に人気の模型屋さんがあり、男子たちでいつも混み合っていたなぁという記憶がある程度で、プラモデルを作ったことすらない私にとって、新鮮な驚きに満ちた世界だ。
今まであまり興味がなかったのだが、本書をきっかけに海洋堂の作品を検索し、その完成度の高さに今更ながら驚いた。
博物館から制作依頼が来るというのも頷けるレベルの高さだ。

今では美少女フィギアの巨匠と呼ばれ、世界的なアーティストとなったBOMEさん(帽子とメガネでボーメさん)は、極端に人見知りで口下手だという。
オタクのど真ん中に位置する彼は、海洋堂というオタク集団に属していたからこそ花開いたのだろう。

文章が荒削りで、思い入れが強すぎる部分もあるのだが、かえってそれが当時の泥臭さやカオス状態を浮かび上がらせているように感じた。
「未来ある若者の人生を狂わせるくらい魅力的な魔窟」であった海洋堂は、これからも多くの男たちを巻き込みながら成長を続けていくのだろう。
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はにぃ
はにぃ さん本が好き!1級(書評数:483 件)

趣味はダンスと読書と食べること。

こちらに復帰してから読書計画が破綻気味です。
図書館の本も、期限内に読めずに返すということが増えてきました。
積読本も減らず。
それなのに読みたい本はどんどん増えていく・・・(´-ω-`)

気が向いたときに出没します。
どうぞよろしくお願いします。

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この書評へのコメント

  1. 薄荷2014-04-02 07:27

    「チョコエッグ」の中に入っているオマケの会社が、そんなすごい所だったとは知りませんでした。
    チョコエッグって確かにオマケはクオリティが高いんですけど、肝心のチョコが不味・・・いやいや大人としてここは口を閉ざすべきかしら(笑)。

  2. 風竜胆2014-04-02 07:36

    海洋堂の話は、この本にも詳しいですね。なかなか楽しい集団ですね。

  3. はるほん2014-04-02 19:12

    チョコエッグはまりました~。
    毎日出勤時にコンビニで一個ずつ買ってたので
    それはもう不信な社会人に思われていたと思います。

    そうそう、でもチョコがねえ…。
    まだウドン付けてくれた方が良かったかも。

  4. はにぃ2014-04-02 22:35

    薄荷さん 私も情報として知っていただけで、チョコエッグを手にとったこともありません
    (^^;
    なんと、お食べになったことあるんですか!
    肝心のチョコが・・・って、へぇ〜そうなんですか。
    それは残念ですね。
    なぜ美味しくしないんだろ??
    でも、薄荷さんのお話を聞いたら、かえって食べて確かめたくなりました。
    今度、お菓子売り場覗いてみようっと♪
    お口直しに美味しいパンケーキを召し上がれ♡

  5. はにぃ2014-04-02 22:37

    風竜胆さん この本を読んで、海洋堂にますます興味が湧いてきました。
    こちらの本も面白そうですね♪
    ご紹介ありがとうございます。

  6. はにぃ2014-04-02 22:45

    はるほんさん なんと!集めてらしたんですか!
    一日一個ってことは、チョコもその・・・のチョコも毎日食べてたんですね。
    美味しければもっと良かったのにねぇ。

    そしてまさかのウドン!
    さすが粉もん好きな関西人!
    毎朝出勤前にオマケ付きのうどんを買って、会社で食べるはるほんさんを想像してしまいます。
    私が毎日食べても飽きないのは納豆ですが、納豆に包まれたオマケも辛いかも゚(゚´Д`゚)゚

  7. 薄荷2014-04-03 07:10

    苺&クリームのパンケーキ(ハートのパイ付)ごちそうさまです~(*^_^*)

    ずいぶん前に、うちの旦那がチョコエッグにハマって、チョコ消費に半強制的に付き合わされたんですよ(-_-;)
    おそらく中におまけを入れるために、『味』より『強度』をとったんでしょうが・・・チョコなめんあぁぁぁぁ!と甘いモノ好きなら絶叫したくなる切なさがあります(笑)

  8. ラビー2014-04-03 10:36

    私もチョコエッグに踊らされた一人です(わっはっは

    相方さまが模型スキーなので、部屋に海洋堂商品が普通においてあります。
    お高いので、たくさんはないですけど(笑

  9. はにぃ2014-04-03 22:37

    薄荷さん 『味』より『強度』ですか。なるほど。
    食いしん坊女子としては『味』に重きを置いて欲しいですよね♪
    でも、チョコであまり美味しくないってどんな感じなんだろ???
    ますます食べてみたくなります。

  10. はにぃ2014-04-03 22:43

    ラビーさん ラビーさんも!結構チョコエッグにハマっていた方いらっしゃるんですね。
    海洋堂のアート作品(?)が積読本やラビーさんの手芸用品やドールと共に飾られている・・・って、ラビーさんのお宅どんだけ豪邸なんですかっ!!

    そうそう、結構お高くてびっくりしました。
    3万円のフィギアとか。
    でも、見ていたら欲しくなる気持ちわかりました。
    我が家の財政状態と自宅の狭さでは無理なんですが(>_<)

  11. No Image

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