はるほんさん
レビュアー:
▼
帯文句は「今年1番面白い小説早くも決定しました」。イヤ、幾らなんでも早くね?(笑)
とか言いつつ帯に惹かれて買っちゃった訳だが。
帯に書いてあったら、オレオレ詐欺でも簡単に引っ掛かりそうな自分。
50年前の作品の復刊。(※帯より)
元々は「可否道」と言うタイトルであったものが
文庫化に際してタイトルが変更になったらしい。
「可否」はコーヒーの当て字であり、
つまりは「茶道」の意と同じくして「コーヒー道」という訳だ。
成程、確かにコーヒーは他の飲物に比べて
コダワリのある人が多い嗜好品ではある。
茶にこだわる派も勿論いるだろうが、なんとなく
コーヒーのコダワリの方がインテリぽいというか
ハッキリいうと「小うるさい」印象がある。(笑)
※ワイン通にも酷似した現象がみられる
まぁソレでも、確かにコーヒーの味は驚くほど変わる。
高価な豆・美味しい水・丁寧な淹れ方で変わるのは勿論としても、
何時ものインスタントコーヒーに湯を注いだだけなのに
「ん?なんか今日のウマイなー」と思う事がある。
※これまたカレーにも酷似した現象がみられる
故に「茶やコーヒーを常に旨くいれられる」
就活には何の恩恵ももたらさない特技でありながら
このスキルは案外、ポイントが高いのではないか。
コダワリの上ではなく、ただざっくり作ったものが旨いのは
コトによってはモテ要素になるやもしれない────
主人公・モエ子は脇役専門の中年女優だ。
だがコーヒーの淹れ方が抜群に上手いのである。
このスキルのお蔭(?)で8歳年下の夫もある。
「日本可否会」という選りすぐりのコーヒー通(※会員数5名)の
やもめ会長にも一目置かれる存在である。
脇役としてはまぁまぁの人気を得ているが
女優となったからにはやはり、主役級になりたいものだ。
そんな折、年下の夫に思わぬ恋のさや当てがあらわれる。
元より「庶民的」と言う看板を背負うモエ子は
特別若々しさや美しさを持っている訳ではない。
一方、可否会の会長はモエ子に惚れ込んでおり
ゆくゆくは「コーヒー道」の後継者となって欲しいと願い、
更に後妻にしちゃってもいいと思っていたりなんかする。
揺れるオバサ…、否、乙女心。
華の無い女優。
コーヒーをざっくり旨く入れると言う神業。
小説をコーヒーに例えるなら、この題材は上質の豆だ。
そこに万事縛られることが嫌な夫と、
コーヒー道という究極のコダワリを持つやもめをブレンドする。
カップの中の琥珀色は魅惑的に輝き、馥郁たるアロマを立てる。
──────しかしやっぱりコーヒーは難しい。
面白かっただけに、どうもコダワリをもってしまうようだ。
元タイトルが「可否道」であったのなら、
ストーリーはもっとコーヒーに振り回されて欲しかったかな、
というのが正直な感想である。
だが「コーヒー道」の題材は秀逸だ。
コンビニの缶コーヒーの種類を見れば確かに、
日本人の珈琲のコダワリは、世界でもトップクラス級だ。
「茶道」に続いて「コーヒー道」が出現しても不思議はない。
いや、相当面白いと思うコレ。(,,゚Д゚)✨
淡々としたストーリーながらも、不思議に途中で読むのをやめられない。
ふと思う。
コーヒーという嗜好品は味よりなにより
「コーヒーを飲んでいる自分」を愉しむものなのではないか。
自分で淹れたものであれ、人が淹れたものであれ、
そんな「今」の自分にフィットさせたくて
いろいろとコダワってしまう飲物であるのかもしれない。
そう思うと、コーヒーうんちく垂れる人も愛しいではないか。
思う存分、喋らせてあげればよいのだ。
そして聞き終わったら最後に
「コーヒーの効酸化作用って、淹れたて5分しか持たないんだって!
既に君のコーヒー残念な事になってるよ(゚∀゚)」
と、微笑んでうんちくを教えてあげよう。
あー、コーヒー旨い。
帯に書いてあったら、オレオレ詐欺でも簡単に引っ掛かりそうな自分。
50年前の作品の復刊。(※帯より)
元々は「可否道」と言うタイトルであったものが
文庫化に際してタイトルが変更になったらしい。
「可否」はコーヒーの当て字であり、
つまりは「茶道」の意と同じくして「コーヒー道」という訳だ。
成程、確かにコーヒーは他の飲物に比べて
コダワリのある人が多い嗜好品ではある。
茶にこだわる派も勿論いるだろうが、なんとなく
コーヒーのコダワリの方がインテリぽいというか
ハッキリいうと「小うるさい」印象がある。(笑)
※ワイン通にも酷似した現象がみられる
まぁソレでも、確かにコーヒーの味は驚くほど変わる。
高価な豆・美味しい水・丁寧な淹れ方で変わるのは勿論としても、
何時ものインスタントコーヒーに湯を注いだだけなのに
「ん?なんか今日のウマイなー」と思う事がある。
※これまたカレーにも酷似した現象がみられる
故に「茶やコーヒーを常に旨くいれられる」
就活には何の恩恵ももたらさない特技でありながら
このスキルは案外、ポイントが高いのではないか。
コダワリの上ではなく、ただざっくり作ったものが旨いのは
コトによってはモテ要素になるやもしれない────
主人公・モエ子は脇役専門の中年女優だ。
だがコーヒーの淹れ方が抜群に上手いのである。
このスキルのお蔭(?)で8歳年下の夫もある。
「日本可否会」という選りすぐりのコーヒー通(※会員数5名)の
やもめ会長にも一目置かれる存在である。
脇役としてはまぁまぁの人気を得ているが
女優となったからにはやはり、主役級になりたいものだ。
そんな折、年下の夫に思わぬ恋のさや当てがあらわれる。
元より「庶民的」と言う看板を背負うモエ子は
特別若々しさや美しさを持っている訳ではない。
一方、可否会の会長はモエ子に惚れ込んでおり
ゆくゆくは「コーヒー道」の後継者となって欲しいと願い、
更に後妻にしちゃってもいいと思っていたりなんかする。
揺れるオバサ…、否、乙女心。
華の無い女優。
コーヒーをざっくり旨く入れると言う神業。
小説をコーヒーに例えるなら、この題材は上質の豆だ。
そこに万事縛られることが嫌な夫と、
コーヒー道という究極のコダワリを持つやもめをブレンドする。
カップの中の琥珀色は魅惑的に輝き、馥郁たるアロマを立てる。
──────しかしやっぱりコーヒーは難しい。
面白かっただけに、どうもコダワリをもってしまうようだ。
元タイトルが「可否道」であったのなら、
ストーリーはもっとコーヒーに振り回されて欲しかったかな、
というのが正直な感想である。
だが「コーヒー道」の題材は秀逸だ。
コンビニの缶コーヒーの種類を見れば確かに、
日本人の珈琲のコダワリは、世界でもトップクラス級だ。
「茶道」に続いて「コーヒー道」が出現しても不思議はない。
いや、相当面白いと思うコレ。(,,゚Д゚)✨
淡々としたストーリーながらも、不思議に途中で読むのをやめられない。
ふと思う。
コーヒーという嗜好品は味よりなにより
「コーヒーを飲んでいる自分」を愉しむものなのではないか。
自分で淹れたものであれ、人が淹れたものであれ、
そんな「今」の自分にフィットさせたくて
いろいろとコダワってしまう飲物であるのかもしれない。
そう思うと、コーヒーうんちく垂れる人も愛しいではないか。
思う存分、喋らせてあげればよいのだ。
そして聞き終わったら最後に
「コーヒーの効酸化作用って、淹れたて5分しか持たないんだって!
既に君のコーヒー残念な事になってるよ(゚∀゚)」
と、微笑んでうんちくを教えてあげよう。
あー、コーヒー旨い。
投票する
投票するには、ログインしてください。
歴史・時代物・文学に傾きがちな読書層。
読んだ本を掘り下げている内に妙な場所に着地する評が多いですが
おおむね本人は真面目に書いてマス。
年中歴史・文豪・宗教ブーム。滋賀偏愛。
現在クマー、谷崎、怨霊、老人もブーム中
徳川家茂・平安時代・暗号・辞書編纂物語・電車旅行記等の本も探し中。
秋口に無職になる予定で、就活中。
なかなかこちらに来る時間が取れないっす…。
2018.8.21
この書評へのコメント

コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:筑摩書房
- ページ数:400
- ISBN:9784480430496
- 発売日:2013年04月10日
- 価格:924円
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。





















