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Wings to fly
レビュアー:
台所道具が案内する「神セブン」女流作家の世界。
著者の「台所育ち読書会」、それは毎日の家事を本や映画にこじつけ、妄想を膨らませて楽しんでいる4人組のアラフォー女子の皆さんだ。これは、料理や台所が出てくる本が大好きな人が選んだ「神セブン」女流作家のお話。

幸田文、向田邦子、武田百合子、森茉莉、石井好子、高峰秀子、宇野千代
選出の理由は、優れた作品を残している、美味しいものが好き、台所が好き、働かなくてはならない状況に追い込まれたことがある、恋・愛・不倫・結婚・離婚などの経験者、そして声に出して笑っちゃう文章がある。そう!このメンバーが長く愛される理由はそこなのだ。

それぞれの作品に出てくる、食にまつわる道具が紹介されてゆく。どう使われていたのか、どの作品のどの場面に登場するのか。作品の抜粋と道具の説明から、その人柄が彷彿と浮かんでくる。

拭く場所によって雑巾の素材を変えていた幸田文と、雑巾がけは汚れを雑巾にくっつけて別の場所になすることだから嫌いな森茉莉。彼女はいつも大量のティッシュで拭いていたそうだが、幸田露伴指導による幸田文の雑巾がけ位しか許容できないという一節で、文さんに一目置いていたのだなあとわかる。箸へのこだわりも各人各様だ。

ちょっと真似してみたい洒落た味わい方がまた楽しい。生苺をすりおろしてシャンパンを注いだキールロワイヤルは、フランスに暮らした石井好子のお気に入り。ちょっと白濁した新酒に梅の花を浮かした幸田文。生牡蠣に薄紅いぶどう酒と酢をかけて食した森茉莉。台所に季節を運んでくる、美味しい物の楽しみ方にも独特の感性がある。

食と道具が案内するのは作家たちの内面だ。自分らしさへのこだわり、家族への思い。各人に共通するのは、日々を丁寧に送ろうという姿勢である。そのピリッと張り詰めた気持ちにも個性があり、どんな風に作品に反映されているか一目瞭然なところが、本書を優れた読書案内にしている。

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Wings to fly
Wings to fly さん本が好き!免許皆伝(書評数:862 件)

「本が好き!」に参加してから、色々な本を紹介していただき読書の幅が広がりました。

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この書評へのコメント

  1. 薄荷2014-04-03 07:20

    最強に面白そうな7人ですね~!

    でも大量のティッシュでの雑巾がけ・・・も、もったいない!(T_T)ダスキン使おうよ~・・・ってこの時代はまだなかったですね(笑)。

  2. Wings to fly2014-04-03 17:01

    薄荷さん
    この顔ぶれ、愛用の道具も引用されてた文章も味が合ってホントに面白かったです。
    森茉莉はきっとダスキンも嫌いな気がする~(笑)繊細な美意識のイメージが、ティッシュの山となったゴミ箱に脳内変換・・・

    この本のコラムで、幸田露伴が料理書やお菓子の製法書の解説本を書いてた事を知りました。え~~!と驚いて調べたら、とらやのHPの「歴史上の人物と和菓子」に詳しく書いてありました。他の人々のも面白かったです。よろしければお暇な時に覗いてみて下さい♪
    http://www.toraya-group.co.jp/gallery/dat02/dat02_042.html

  3. No Image

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