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ドイツ人には住みやすさということに「勝ち負け」という認識は無いのではないか。
「世界の多くの国が、イメージのほうが実態よりも良いなかで、日本は、実態のほうがイメージよりも良い唯一の国ともいえる。」という著者。実際に住んでいるドイツの教育やサービスなどのケースを紹介し日本と比較することにより、その根拠を明らかにする。

 列車が故障で止まってもなんらの説明もなく長時間待たされた挙句一方的に突然降ろされたり、エアコンが故障し車内の温度が60度になってもまるで他人事のドイツ鉄道。就業時間を一分でもオーバーすれば「損」という労働意識、いち早く脱原発に踏み切ったお国事情など「堅実で勤勉な国」ドイツの実態が生活者としての立場から発信されています。

 著者の二国間の比較からは、二時間ごとの時間指定で届く宅配便、時刻通りに発着する列車、基礎学力の高い国民、など日本のシステムは奇跡に近いことがわかります。言いたいことが言えないお国柄、借金まみれの国庫、貧しい福祉制度に格差社会の不安など日本も挙げればきりが無いほどの問題点があるように思えますが、こうして外から見てみれば確かにまんざらでもなく、住みにくい国とは言い切れないようです。

 でもこれってやはり日本以外の国に「住んでみてわかる」ことなんですよね。ドイツに限ったことではないけれど、結局よそを知らなければその国のひとにとっては(日本と比べて)どんなにひどい状況もそれがスタンダードなわけです。

 決して「それでいいじゃないか」ということでは無いですが、ここに書かれていることを日本を知らないドイツ人が知ったとしても、ドイツに住んだことがない日本人が本書を読んで「日本ていい国なんだなぁ」と感じるほど、ドイツ人は「ドイツって住みにくい国なんだなぁ」とは思わない気がします。つまりここに書かれているドイツと日本の差とはそういうことに集約されるのではないかと思いました次第。
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よみか
よみか さん本が好き!1級(書評数:642 件)

ここのところ踊りに現を抜かして、本が読めておりません。(^_^;)
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この書評へのコメント

  1. 風竜胆2014-01-04 13:16

    一部で、やたらドイツを褒めちぎる人がいますが、しょせんは、「隣の花は赤い」現象でしょうね。良いところもあれば、その反動で、悪いところもある。
    マスコミは、今となっては褒めるところの見つからない赤い国を、かっては褒めちぎっていたのですからいいかげんなものです。、

  2. よみか2014-01-04 13:35

    「ドイツは勤勉で堅実」っていうのも日本の「ゲイシャ・フジヤマ・ハラキリ」と同じくらい、情報が限られていた時代の遺物的イメージなのかなあと思います。

    >良いところもあれば、その反動で、悪いところもある。

    おっしゃる通りで、今のような時代ではより多面的に情報を集めて見てみなくては本当のところはわからないですね。

  3. 薄荷2014-01-04 17:36

    >「ドイツは勤勉で堅実」=「ゲイシャ・フジヤマ・ハラキリ」なるほどの説得力です。

    バスも電車も基本的には時間通り、どこでも冷暖房基本完備、そして日本語で書いてある本がいっぱいある日本から離れて住む気はさらさらないんですが(笑)、ドイツパンとドイツビールが容易く手に入る点においてドイツは憧れの国だと思います~(^o^)/

  4. よみか2014-01-04 20:25

    >薄荷さん
    ドイツ人と個人レベルで付き合ってみると、そこそこ日本人的な気遣いもあり真面目で堅実という気質は確かに生きていると思う面もあります。
    でもそれがイコール全国民性というのは飛躍しすぎなんですよね。(^^;)

    ドイツには個人的に想い入れがあり20代の頃下宿して青春時代を送った地でもあるのですが、パンとビールだけは確かにドイツ国内どこへ行ってもはずれは無かったです。
    (^^)

  5. たけぞう2014-01-05 07:43

    >20代の頃下宿して青春時代を送った
    おおぅ。なんとうらやましい。
    思わず反応してしまいました。
    レストランでの、シュニッツェルやじゃがいもの豪快な盛り付けが好きです。

  6. よみか2014-01-05 20:59

    >たけぞうさん
    そうなんですよね。
    じゃがいももザウワークラウトのキャベツなんかも豪快ですよね〜
    ただ料理のバリエーションはやはり日本のほうが豊かのように思えます。

    当時通っていた学校のクリスマス休暇で東西ドイツ統一直後のベルリンを一人旅したのですが、イブの夜は昔の日本のお正月と一緒でお店がどこもあいておらず、心細さに独り泣きながら歩きました。
    今では懐かしい思い出です。

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