あかつきさん
レビュアー:
▼
「もし進化の道が数回違う方向に向かっていたら、知能の高い鶏が『南部風フライド人間ナゲット』のお買い得バーレルを食べていたかもしれない」…
綺麗な本です!
実物の写真より絵画に重きを置き、ちょっと古びた紙に似せた凝った装丁。すてき。
でも、書いている内容は現代的で、ちょっぴり皮肉も効いて面白い。
筆者は英国人だけど視点は西洋に偏りすぎず、なかなかニュートラルで好ましいです。
例えば、ミンククジラの章では「日本沿岸などで現代にいたるまで捕鯨は続けられたが、その数は比較的少なく、種の存続を脅かすほどではなかった」と述べ、私の好感度を一気にあげました(笑)。
そうだよ、クジラもアザラシも、みんなあんたらが大量殺戮したんや。
50の動物たちは大体見開きの2頁で紹介されていますが、さらに重要なものは4~6頁と多く紙面を割いています。
今、我々が目にしている/口にしている/もしくは絶滅させてしまった動物は、人間の手が入る前はどんな姿をしてどんな習性をもっていたのか。
我々人間は、如何なる目的と手段をもってこれらの動物と相対し、いつ頃から姿や味や習性を作り替えてきたのか。そして、その報復ととばっちり(!)は。
また、古来から人間に脅威を与える病原動物たちとの戦いの行く末は。
取り上げられている動物は、医療系(寄生虫や病原媒介動物)、食用、商用、実用と分けられ、歴史やコラムもちょっと捻ってあって面白いです。
私はラクダをかわいいと思うのですが、「迷走する委員会がデザインした車のよう」に自然界で最も醜い動物の一つですって!酷い!
ラマも結構酷いこと言われています。「表情は怠惰、喉は波打ち、まるで売れない作家のようだ」って!
アクキガイの説明なんて「ハンニバル・レクターが軟体動物になったようなもの」。(私は、アンソニー・ホプキンスがナメクジ化して殻を被っているところをリアルに想像しました)
ダーウィンフィンチの章では、わざわざ進化論に敵対する「特殊進化論」のサイトまで紹介してくれます。
ニワトリの章の、「もし進化の道が数回違う方向に向かっていたら、知能の高い鶏が『南部風フライド人間ナゲット』のお買い得バーレルを食べていたかもしれない」…という文には吹き出しました。
しかし、鳥インフルエンザや豚インフルエンザについては書いているのに、狂牛病とスクレイピーについて触れていないのはなぜかしら。
トリビアという面では、ハクトウワシが、DDTのおかげで絶滅寸前までいっていたなんて知りませんでしたよ。もし絶滅していたら、米軍のポスターはどんなに情けないことになっていたんでしょ。(まぁ、国鳥扱いの朱鷺を絶滅させた日本人には言われたくないでしょうが。因みに日本の国鳥は雉)
この冷静な目を装ったコミカルでシニカルな文章は、50番目の動物・ヒトにおいて最も際立っています。
この章では「特殊進化論」再登場(笑)。進化論と特殊進化論でのヒトの歴史を教えてくれまっせ。
ヒトが最初に間違えたのは定住を決めたとき。以降、一万年、ヒトは常に間違えてきたのだそうです。うーむ、真理。
ヒトは、他の動物に比べ、環境に適応しませんでした。
環境に合わせて自らを変えるより、環境を変えることを選んできました。
そして、これからもその道を進んでいくしかないのです。
ちなみに、同作者に「50の鉱物」もあるらしい。面白そう!
あと、筆者は違うけれど「50の植物」も。
あれ……。
なんで、カエルは50の中に入っていないんだろう……?
愛玩物として、象徴として、時々矢毒として、人類の歴史に深く関わっているのに……。
実物の写真より絵画に重きを置き、ちょっと古びた紙に似せた凝った装丁。すてき。
でも、書いている内容は現代的で、ちょっぴり皮肉も効いて面白い。
筆者は英国人だけど視点は西洋に偏りすぎず、なかなかニュートラルで好ましいです。
例えば、ミンククジラの章では「日本沿岸などで現代にいたるまで捕鯨は続けられたが、その数は比較的少なく、種の存続を脅かすほどではなかった」と述べ、私の好感度を一気にあげました(笑)。
そうだよ、クジラもアザラシも、みんなあんたらが大量殺戮したんや。
50の動物たちは大体見開きの2頁で紹介されていますが、さらに重要なものは4~6頁と多く紙面を割いています。
今、我々が目にしている/口にしている/もしくは絶滅させてしまった動物は、人間の手が入る前はどんな姿をしてどんな習性をもっていたのか。
我々人間は、如何なる目的と手段をもってこれらの動物と相対し、いつ頃から姿や味や習性を作り替えてきたのか。そして、その報復ととばっちり(!)は。
また、古来から人間に脅威を与える病原動物たちとの戦いの行く末は。
取り上げられている動物は、医療系(寄生虫や病原媒介動物)、食用、商用、実用と分けられ、歴史やコラムもちょっと捻ってあって面白いです。
私はラクダをかわいいと思うのですが、「迷走する委員会がデザインした車のよう」に自然界で最も醜い動物の一つですって!酷い!
ラマも結構酷いこと言われています。「表情は怠惰、喉は波打ち、まるで売れない作家のようだ」って!
アクキガイの説明なんて「ハンニバル・レクターが軟体動物になったようなもの」。(私は、アンソニー・ホプキンスがナメクジ化して殻を被っているところをリアルに想像しました)
ダーウィンフィンチの章では、わざわざ進化論に敵対する「特殊進化論」のサイトまで紹介してくれます。
ニワトリの章の、「もし進化の道が数回違う方向に向かっていたら、知能の高い鶏が『南部風フライド人間ナゲット』のお買い得バーレルを食べていたかもしれない」…という文には吹き出しました。
しかし、鳥インフルエンザや豚インフルエンザについては書いているのに、狂牛病とスクレイピーについて触れていないのはなぜかしら。
トリビアという面では、ハクトウワシが、DDTのおかげで絶滅寸前までいっていたなんて知りませんでしたよ。もし絶滅していたら、米軍のポスターはどんなに情けないことになっていたんでしょ。(まぁ、国鳥扱いの朱鷺を絶滅させた日本人には言われたくないでしょうが。因みに日本の国鳥は雉)
この冷静な目を装ったコミカルでシニカルな文章は、50番目の動物・ヒトにおいて最も際立っています。
この章では「特殊進化論」再登場(笑)。進化論と特殊進化論でのヒトの歴史を教えてくれまっせ。
ヒトが最初に間違えたのは定住を決めたとき。以降、一万年、ヒトは常に間違えてきたのだそうです。うーむ、真理。
ヒトは、他の動物に比べ、環境に適応しませんでした。
環境に合わせて自らを変えるより、環境を変えることを選んできました。
そして、これからもその道を進んでいくしかないのです。
ちなみに、同作者に「50の鉱物」もあるらしい。面白そう!
あと、筆者は違うけれど「50の植物」も。
あれ……。
なんで、カエルは50の中に入っていないんだろう……?
愛玩物として、象徴として、時々矢毒として、人類の歴史に深く関わっているのに……。
お気に入り度:









掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
色々世界がひっくり返って読書との距離を測り中.往きて還るかは神の味噌汁.「セミンゴの会」会員No1214.別名焼き粉とも.読書は背徳の蜜の味.毒を喰らわば根元まで.
この書評へのコメント

コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:
- ページ数:223
- ISBN:9784562048007
- 発売日:2012年09月18日
- 価格:2940円
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。






















