「あっ!」凍りつく私、みるみる広がる液体。
「なにやってんの~!!」怒り狂う母。ああ、あの頃こんな絵本があったらなあ。
牛乳ビンを倒してしまったよしお君。
「しまった。」
牛乳の勢いはドクドクと増すばかりです。よしお君は、あっという間にお家の外に流されていってしまいました。
外はもう牛乳の海。真っ白なミルクフィッシュが、嬉しそうに跳ねまわっています。
「牛乳って、おいしいよなあ、おいしいよなあ。」
妙な看板が出現しています。
「ぎゅうにゅうこぼすな!」
むこうから船がやってきます。船には「こぼすな」と小さな字で書いてあります。
船の上では、船長さんが釣りをしています。
「君は、牛乳をこぼしてしまったよしお君じゃないか。」
ここまで合計3回ドキッとせざるをえなかったよしお君ですが、船長さんのおかげで事態は一挙に収束に向かうのであります。
「わたしが釣りたかったのは、これです、これです、これなのです。」
「わたしはこれから牛乳屋になろうと思います。」
船長の唐突な転職宣言、その思考回路は謎です。でも、本人が幸せならいいじゃないか。よしお君も無事におうちに帰れたことだしね。
こんなに面白いことになるんなら、また何かひっくり返そうかしら。しょぼい船乗りのおじさんはパスだな。牛乳じゃなくてロゼワインにしよう。ピンクの泡の海の彼方からゴージャスなイケメンが現れて・・・
「オー、マダム ワタシガ ツリタカッタノワ アナタナノデス!」
・・・なんてね。
何かこぼしちゃった子は、これを読んで早く立ち直ろう。奇想天外な展開、この本が放つユーモアは大人の心もくすぐります。第13回(2007年)日本絵本大賞受賞作。




「本が好き!」に参加してから、色々な本を紹介していただき読書の幅が広がりました。
この書評へのコメント
- Wings to fly2013-11-26 17:49
はにぃさん
見事なまでに失敗のダメージを払拭してくれる絵本だと思います。終わり方も普通とは一味違いました。書評をお待ちしております。
「お前さんは、お茶をこぼしてしまったはにぃさんかな?」・・・お茶をひっくり返すとおじいさんが出現する可能性あり。要注意♪クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - Wings to fly2013-11-26 17:59
ゆう5000さん
読み聞かせでは人気あるでしょうね、この本。大胆不敵で自由、予定調和など一切ないところが子どもに受けそうです。誰でも経験する失敗だから、よしお君の「ドキっ!」にも共感できますしね。私もくすくす笑いながら読みました♪クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - Wings to fly2013-11-26 21:20
ramsさん
そうでしょ、なんか倒してみたくなるでしょ!おまけにどんどん増えるんですもんね。
ビールこぼした時、ジュージュー焼き立てのソーセージのお皿持ったドイツ人の出現希望。・・・増えたビール、回収した時に気が抜けてそうなのが残念ですwクリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - Wings to fly2013-11-26 21:30
はるほんさん
自分でも「あーあ。ごめんなさい(涙)」って思ってるのに怒られると悲しいですよね。この本書いた人は、そういう気持ちをよーくわかっている人です。マイナスからプラスの気持への大逆転、この発想力が素敵だと思いました。
・・・とか言ってる私もムカッとして息子に怒ったけど(息子よ許せ)。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - Wings to fly2013-11-28 00:00
梅里松庵さん
フランス人エライ!梅里松庵さんのお母さんも、叱るべき時をわきまえた優しい方なのではないかと拝察します。
末息子も大人になり、めったに家にもいないので文句言うこともなくなりましたが、昔はつまんないことで怒ってたような気が…^^;
なお、今後自分が何か倒す等の事態を引き起こした場合、家族に「あー」とか言うヒマも与えず視線で瞬殺しようと思います(^_^)vクリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 コメントするには、ログインしてください。
- 出版社:
- ページ数:0
- ISBN:9784265069774
- 発売日:2007年04月01日
- 価格:1365円
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