Yasuhiroさん
レビュアー:
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フランク・ロイド・ライトの徒弟だった高名建築家の事務所に就職した若者の、「夏の家」と呼ばれる浅間山の麓の山荘で過ごすひと夏の物語。無名の新人だった松家仁之の鮮烈なデビュー作
今朝レビューした「真昼のプリニウス」を読んで、浅間山つながりで思い出したのがこの小説でした。松家仁之(まついえまさし)が2012年に発表した鮮烈なデビュー作です。
フランク・ロイド・ライトの徒弟だった高名な日本人建築家の事務所に就職した若者の、「夏の家」と呼ばれる浅間山の麓の山荘で過ごすひと夏を中心に描いた物語で、ところどころ文章が生硬でストーリー展開に唐突なところもありますが、これが処女作とは思えない鮮烈な美しさと密度の濃さを有した作品です。
その圧倒的に素晴らしい建築関係の描写に、てっきり建築関係の人だろうと思いましたが、調べてみると早稲田の文学部卒業で編集者を経て作家になった方だそうです。ただ、フランク・ロイド・ライトなら私でも知っていますが、アスプルンドという北欧の建築家は全く未知の人だったので、できれば写真かイラストなどを挿入して欲しかったところです。
また、浅間山麓を中心とした自然描写や野鳥についての薀蓄なども秀逸です。でもその一方で恋愛模様はやや凡庸。冒頭から二人の女性を呼び捨てにしていてそれが伏線だとは思っていましたが、読み進めていくとラストでのネタ明かしまでに大体想像がつきます。受身で奥手なのにもてる男性主人公というのは村上春樹風ですが、まあ虫が良すぎますね(笑。
しかしとにもかくにもこの本を読んだときは遅咲きの新人の登場に期待が膨らみました。しかしその後松家氏は「沈むフランシス」「優雅なのかどうか分からない」の二作を著しただけで、どちらもそれなりに面白くはあったのですが本作を越えるインパクトはなく、寡作なのが残念です。
フランク・ロイド・ライトの徒弟だった高名な日本人建築家の事務所に就職した若者の、「夏の家」と呼ばれる浅間山の麓の山荘で過ごすひと夏を中心に描いた物語で、ところどころ文章が生硬でストーリー展開に唐突なところもありますが、これが処女作とは思えない鮮烈な美しさと密度の濃さを有した作品です。
その圧倒的に素晴らしい建築関係の描写に、てっきり建築関係の人だろうと思いましたが、調べてみると早稲田の文学部卒業で編集者を経て作家になった方だそうです。ただ、フランク・ロイド・ライトなら私でも知っていますが、アスプルンドという北欧の建築家は全く未知の人だったので、できれば写真かイラストなどを挿入して欲しかったところです。
また、浅間山麓を中心とした自然描写や野鳥についての薀蓄なども秀逸です。でもその一方で恋愛模様はやや凡庸。冒頭から二人の女性を呼び捨てにしていてそれが伏線だとは思っていましたが、読み進めていくとラストでのネタ明かしまでに大体想像がつきます。受身で奥手なのにもてる男性主人公というのは村上春樹風ですが、まあ虫が良すぎますね(笑。
しかしとにもかくにもこの本を読んだときは遅咲きの新人の登場に期待が膨らみました。しかしその後松家氏は「沈むフランシス」「優雅なのかどうか分からない」の二作を著しただけで、どちらもそれなりに面白くはあったのですが本作を越えるインパクトはなく、寡作なのが残念です。
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馬鹿馬鹿しくなったので退会しました。2021/10/8
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- 出版社:新潮社
- ページ数:384
- ISBN:9784103328117
- 発売日:2012年09月28日
- 価格:1995円
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