たけぞうさん
レビュアー:
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なにコレ? なにコレ? なにコレ?
評判が高い作家さんなので、皆さんお薦めの「円卓」を読み、さて次はどうしようかと思っていたんですね。
とりあえず、デビュー作の「あおい」を入手し、図書館に「ふくわらい」を予約しておきました。正解でした。
バカ可愛いコッコちゃんの次に、こんな強烈な作品に当たるとは、想像を越えていましたね。追いかける作家リスト入りに決定です。
鳴木戸定(なるきど さだ)は、福笑いが大好きです。
四歳の時に買ってもらった幼児向け雑誌で出会いました。
何度も何度も何度も、飽きずに福笑いを続けます。
顔。目というパーツ。口・鼻・眉。みんなみんなパーツ。組み合わさって顔になる。
しゃぶりつくすほど、その感覚を味わい続けるのです。大人になっても。
子どもの頃の話がプロローグ的に流れたあと、本編が始まります。
定は編集者です。二十五歳。
一人の作家と打合せをしています。
変な構想をしつこく説明しているのに、定の反応は淡白です。
不思議ちゃんのようです。
編集部に戻ると、不思議度合いが続々と描写されていきます。
なんとまあ、魅力的な変人ですね。
そんな定に、編集長が作家を新しく担当できないかと持ちかけてきます。
プロレスラーの守口廃尊(もりぐちばいそん)。
雑誌で連載を持っていますが、この五年間で担当が十人くらい入れ替わっています。
連載名が「守口廃尊の闘病たけなわ!」
いやもう、次から次へと、よくもまあこんな変な人を西加奈子さんは連れてくるものです。
定と廃尊のやり取り、ほかの担当作家とのやり取り、編集部員とのやり取り、親と過ごした時の記憶。
これは何でしょうね。
自覚のないコンプレックスとでも言えばいいのでしょうか。
定のコミュニケーション能力は、ないと言えばないし、あると言えばあるのです。
俗にいうお上手な人とは対極にあるのですが、憎めないし、人間の本質を掴もうとする姿勢が感じられます。
この本、会話が最高に刺激的なんです。
会話でありながら、地の文を読んでいるような、硬質な感じがとてもいいです。
物語の後半で、定の口調が変化していくのも、とても伝わるものがあります。
最後の方は少々分かりにくく感じましたが、こちらも二冊目なのでこころの準備が足りていませんでした。まあしょうがないですね。
文句なく面白かったです。
直木賞候補作で選洩れでしたが、選評は好意的なものが目につきます。
次回作も楽しみです。
とりあえず、デビュー作の「あおい」を入手し、図書館に「ふくわらい」を予約しておきました。正解でした。
バカ可愛いコッコちゃんの次に、こんな強烈な作品に当たるとは、想像を越えていましたね。追いかける作家リスト入りに決定です。
鳴木戸定(なるきど さだ)は、福笑いが大好きです。
四歳の時に買ってもらった幼児向け雑誌で出会いました。
何度も何度も何度も、飽きずに福笑いを続けます。
顔。目というパーツ。口・鼻・眉。みんなみんなパーツ。組み合わさって顔になる。
しゃぶりつくすほど、その感覚を味わい続けるのです。大人になっても。
子どもの頃の話がプロローグ的に流れたあと、本編が始まります。
定は編集者です。二十五歳。
一人の作家と打合せをしています。
変な構想をしつこく説明しているのに、定の反応は淡白です。
不思議ちゃんのようです。
編集部に戻ると、不思議度合いが続々と描写されていきます。
なんとまあ、魅力的な変人ですね。
そんな定に、編集長が作家を新しく担当できないかと持ちかけてきます。
プロレスラーの守口廃尊(もりぐちばいそん)。
雑誌で連載を持っていますが、この五年間で担当が十人くらい入れ替わっています。
連載名が「守口廃尊の闘病たけなわ!」
いやもう、次から次へと、よくもまあこんな変な人を西加奈子さんは連れてくるものです。
定と廃尊のやり取り、ほかの担当作家とのやり取り、編集部員とのやり取り、親と過ごした時の記憶。
これは何でしょうね。
自覚のないコンプレックスとでも言えばいいのでしょうか。
定のコミュニケーション能力は、ないと言えばないし、あると言えばあるのです。
俗にいうお上手な人とは対極にあるのですが、憎めないし、人間の本質を掴もうとする姿勢が感じられます。
この本、会話が最高に刺激的なんです。
会話でありながら、地の文を読んでいるような、硬質な感じがとてもいいです。
物語の後半で、定の口調が変化していくのも、とても伝わるものがあります。
最後の方は少々分かりにくく感じましたが、こちらも二冊目なのでこころの準備が足りていませんでした。まあしょうがないですね。
文句なく面白かったです。
直木賞候補作で選洩れでしたが、選評は好意的なものが目につきます。
次回作も楽しみです。
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ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
この書評へのコメント
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- 出版社:朝日新聞出版
- ページ数:264
- ISBN:9784022509987
- 発売日:2012年08月07日
- 価格:1575円
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