かもめ通信さん
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愚痴はデフォルメ、幸せはあっさり。平安鬼嫁日記の書き手はなんと、当代きっての才色兼備の女流歌人?!
以前 よみかさんのレビューを拝見した際、該当する項目が複数あったので、早速この本を読みたい本のリストに加えたのだが、どういうわけかこのリスト、日々長くなるばかりで一向に減らない。
せっかく加えた本も、タイミングを逃すとリストの谷間に埋もれていってしまうのだ。
今丁度、一人勝手に “春の平安「調」祭り”をやっていて、『蜻蛉日記』のことや、その作者藤原道綱母や、その夫藤原兼道、そして道綱、の名前を頻繁に目にしていたので、この機会を逃してはなるものかとばかり、慌てて手に取った。
田辺聖子さんが昭和50年代に行った女性向けの連続講座の講義録に加筆修正を加えて出版したというこの本は、蜻蛉日記の作者や彼女を取り巻く人びとのこと、時代背景や当時の習慣、日記に登場する大きな出来事などを、非常にわかりやすく、とても面白く解説してくれる案内書だ。
もともと古典を題材にしている話だから、講演内容が古くなるというものでもない。
実は『蜻蛉日記』には、古文大好き少女だった10代の頃、無謀にも挑戦して早々に挫折した苦い思い出がある。
なにが辛いって、この日記、夫に対する不平不満のオンパレードなのだ。
まがりなりにも夢見る乙女の端くれだった私には、ちょっと刺激が強すぎた。
などといいつつ、夫の不実ぶりをあれこれとあげつらうのだが、お聖さんの話を聞いていると(講演録なので読んでいるというより、語りかけられているという感じがする)、その夫、藤原兼家もそれなりにがんばって、妻を愛しているようでもあり、妻は妻で、恨み辛みや不平不満は長々と書き連ねるが、幸せなことはほんの数行書き留めるだけだったようだ。
言われてみれば、しげしげと夫が通ってくるような、幸せいっぱいのときは、あれこれ日記に書き付けている暇もないに違いない。
十代の頃にはわからなかった書き手の心情も、幸か不幸か私の経験値が上がったせいで、妙に説得力があったりする。
原文も、今読めばまた違った感想を持つんだろうな。
とはいえ、今日のところはお聖さんの講演でお腹いっぱい。
せっかく加えた本も、タイミングを逃すとリストの谷間に埋もれていってしまうのだ。
今丁度、一人勝手に “春の平安「調」祭り”をやっていて、『蜻蛉日記』のことや、その作者藤原道綱母や、その夫藤原兼道、そして道綱、の名前を頻繁に目にしていたので、この機会を逃してはなるものかとばかり、慌てて手に取った。
田辺聖子さんが昭和50年代に行った女性向けの連続講座の講義録に加筆修正を加えて出版したというこの本は、蜻蛉日記の作者や彼女を取り巻く人びとのこと、時代背景や当時の習慣、日記に登場する大きな出来事などを、非常にわかりやすく、とても面白く解説してくれる案内書だ。
もともと古典を題材にしている話だから、講演内容が古くなるというものでもない。
実は『蜻蛉日記』には、古文大好き少女だった10代の頃、無謀にも挑戦して早々に挫折した苦い思い出がある。
なにが辛いって、この日記、夫に対する不平不満のオンパレードなのだ。
まがりなりにも夢見る乙女の端くれだった私には、ちょっと刺激が強すぎた。
世の中に多かる古物語のはしなどを見れば、世に多かるそらごとだにあり、人にもあらぬ身の上まで書き日記にして、めづらしきさまにもありなむ
などといいつつ、夫の不実ぶりをあれこれとあげつらうのだが、お聖さんの話を聞いていると(講演録なので読んでいるというより、語りかけられているという感じがする)、その夫、藤原兼家もそれなりにがんばって、妻を愛しているようでもあり、妻は妻で、恨み辛みや不平不満は長々と書き連ねるが、幸せなことはほんの数行書き留めるだけだったようだ。
言われてみれば、しげしげと夫が通ってくるような、幸せいっぱいのときは、あれこれ日記に書き付けている暇もないに違いない。
十代の頃にはわからなかった書き手の心情も、幸か不幸か私の経験値が上がったせいで、妙に説得力があったりする。
原文も、今読めばまた違った感想を持つんだろうな。
とはいえ、今日のところはお聖さんの講演でお腹いっぱい。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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- 出版社:講談社
- ページ数:325
- ISBN:9784061850095
- 発売日:1991年09月01日
- 価格:600円
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