休蔵さん
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子どものころによく読んでいた水木しげるの妖怪百科シリーズの1冊。古今東西の死後の世界を紹介。似て非なるものばかりだが、どこかおどろおどろしい雰囲気は共通する。水木しげるの絵のせいか・・・
子どものころによく読んでいた水木しげるの妖怪百科シリーズの1冊で、本作は古今東西の死後の世界を紹介している。
似て非なる死後の世界が描かれているが、天国すらおどろおどろしい雰囲気を纏っているのは、水木しげるの絵のせいなのか。
いきなりおどろおどろしい描写で驚かせては悪いとでも思ったのだろう、最初は鬼太郎の「死人列車」でご挨拶。
さて、日本人のイメージとして流布している死後の世界は、985年に源信が著した『往生要集』による。
そして、本書は『往生要集』の世界観を具体化してくれた。
まず、輪廻転生から解説する。
生まれ変わりを説くものだが、都合よく未来の人間社会に転生するというわけではない。
転生する世界は6つ、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天だ。
『往生要集』では地獄を八大地獄に分割し、丹念に描きあげている。
八大地獄は「鬼太郎の地獄めぐり」でも詳細だ。
死後、まずは三途の川を渡る。
そこには奪衣婆がおり、文字通り着物が奪われてしまう。
奪われた着物は枝にかけられ、枝のしなり具合が罪の重さを反映するという。
それから閻魔大王のもとに引き連れられ、浄玻璃の鏡で生前の行いを審判される。
そこで嘘をつくと、閻魔大王に舌を抜かれる話は有名だが、最近の子どもたちも脅されているのか。
残念ながら地獄行きになると悲惨だ。
まずは等活地獄だが、ここはさらに7つの地獄に分かれる。
糞尿が煮えたぎった尿泥処、刀の雨が降る刀輪処、鉄の甕で煮られる瓮熱処、数えきれない苦しみがある多苦処、闇で火に焼かれる闇冥処、鳥獣の餌食にされる不喜処、険しい崖下で焼かれる極苦処の7つだ。
ああ、しんどい・・・
第二は黒縄地獄で、罪人は熱された鉄の上に寝かされ、熱した縄でつけた縄目通りに切り刻まれる。
また、熱した鉄山を登らされ、落ちると大きな釜でゆでられることにもなる。
それから衆合地獄で、山の間に追い込んだ罪人を山で押しつぶすのだとか。
美女の誘惑のままに笹山を登ると、笹の葉が刃物に変わり、身体に突き刺さることにもなる。
また、ここには悪見処という子どもをいじめた者が行くところもあるという。
こんな地獄を描くということは、時代に関係なく当時も子どもへの虐待があっただろう。
それから叫喚地獄で、大鍋で亡者を何度も煮たり、身体中からわいた蛆に食べられたり、もう大変。
次は大叫喚地獄ということで、大がついちゃった・・・
熱した鉄のやっとこで舌を抜かれたり、両目をえぐられたりとさらなる苦痛にさらされる。
焦熱地獄は何度も火であぶられる地獄だが、ただ焼かれるだけではなく、鬼により肉団子のようにされてしまうとか。
その先に待つ大焦熱地獄では(また大がついてしまった・・・)、炎の力で身体の皮が全部はがされてしまうそうだ。
泣いても叫んでも鬼たちはやめてくれない。
最後の第八地獄は阿鼻地獄。
六十四の目を持つ鬼によりぐしゃっと潰されたりする。
鉄野干食処では夕立のように鉄瓦が降ってくる。
黒肚処では空腹のあまり自分の身体を食べてしまうんだと。
しかも、食べては生き返り、また食べるを繰り返す。
閻婆度処には大きな鳥が罪人をつかまえては空から落とす。
炎の歯を持つ犬に噛み砕かれもする。
もちろん、地獄だけが悲惨というわけではなく、餓鬼道ではいつも吐き気を覚え、何も食べられるないことになるという。
生前、自分ばかりおいしいものを食べた罰だとか。
畜生道は三十四億種類の鳥・獣・虫の世界で、様々な苦しみを受けるうえ、むごい死に方をするそうだ。
修羅道は戦いの世界で、いつも傷ついて血を流し、いつ殺されてもおかしくないという。
人道は不浄の相、苦しみの相、無常の相という3つの相があるそうで、人間界も苦しみに満ちている設定だ。
唯一、天のみが楽しみに満ち溢れ、望みは全て叶えられる。
本書は『往生要集』の世界観のみをまとめているわけではなく、世界各地の死後の世界観や日本の古い考えも紹介しており、興味深い。
様々な死後の世界観が、水木しげる特有の点描画で表現されており、さらに陰影の巧みさもあって1点1点が芸術作品の域に達している。
ただ、壁に飾りたくはない・・・
似て非なる死後の世界が描かれているが、天国すらおどろおどろしい雰囲気を纏っているのは、水木しげるの絵のせいなのか。
いきなりおどろおどろしい描写で驚かせては悪いとでも思ったのだろう、最初は鬼太郎の「死人列車」でご挨拶。
さて、日本人のイメージとして流布している死後の世界は、985年に源信が著した『往生要集』による。
そして、本書は『往生要集』の世界観を具体化してくれた。
まず、輪廻転生から解説する。
生まれ変わりを説くものだが、都合よく未来の人間社会に転生するというわけではない。
転生する世界は6つ、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天だ。
『往生要集』では地獄を八大地獄に分割し、丹念に描きあげている。
八大地獄は「鬼太郎の地獄めぐり」でも詳細だ。
死後、まずは三途の川を渡る。
そこには奪衣婆がおり、文字通り着物が奪われてしまう。
奪われた着物は枝にかけられ、枝のしなり具合が罪の重さを反映するという。
それから閻魔大王のもとに引き連れられ、浄玻璃の鏡で生前の行いを審判される。
そこで嘘をつくと、閻魔大王に舌を抜かれる話は有名だが、最近の子どもたちも脅されているのか。
残念ながら地獄行きになると悲惨だ。
まずは等活地獄だが、ここはさらに7つの地獄に分かれる。
糞尿が煮えたぎった尿泥処、刀の雨が降る刀輪処、鉄の甕で煮られる瓮熱処、数えきれない苦しみがある多苦処、闇で火に焼かれる闇冥処、鳥獣の餌食にされる不喜処、険しい崖下で焼かれる極苦処の7つだ。
ああ、しんどい・・・
第二は黒縄地獄で、罪人は熱された鉄の上に寝かされ、熱した縄でつけた縄目通りに切り刻まれる。
また、熱した鉄山を登らされ、落ちると大きな釜でゆでられることにもなる。
それから衆合地獄で、山の間に追い込んだ罪人を山で押しつぶすのだとか。
美女の誘惑のままに笹山を登ると、笹の葉が刃物に変わり、身体に突き刺さることにもなる。
また、ここには悪見処という子どもをいじめた者が行くところもあるという。
こんな地獄を描くということは、時代に関係なく当時も子どもへの虐待があっただろう。
それから叫喚地獄で、大鍋で亡者を何度も煮たり、身体中からわいた蛆に食べられたり、もう大変。
次は大叫喚地獄ということで、大がついちゃった・・・
熱した鉄のやっとこで舌を抜かれたり、両目をえぐられたりとさらなる苦痛にさらされる。
焦熱地獄は何度も火であぶられる地獄だが、ただ焼かれるだけではなく、鬼により肉団子のようにされてしまうとか。
その先に待つ大焦熱地獄では(また大がついてしまった・・・)、炎の力で身体の皮が全部はがされてしまうそうだ。
泣いても叫んでも鬼たちはやめてくれない。
最後の第八地獄は阿鼻地獄。
六十四の目を持つ鬼によりぐしゃっと潰されたりする。
鉄野干食処では夕立のように鉄瓦が降ってくる。
黒肚処では空腹のあまり自分の身体を食べてしまうんだと。
しかも、食べては生き返り、また食べるを繰り返す。
閻婆度処には大きな鳥が罪人をつかまえては空から落とす。
炎の歯を持つ犬に噛み砕かれもする。
もちろん、地獄だけが悲惨というわけではなく、餓鬼道ではいつも吐き気を覚え、何も食べられるないことになるという。
生前、自分ばかりおいしいものを食べた罰だとか。
畜生道は三十四億種類の鳥・獣・虫の世界で、様々な苦しみを受けるうえ、むごい死に方をするそうだ。
修羅道は戦いの世界で、いつも傷ついて血を流し、いつ殺されてもおかしくないという。
人道は不浄の相、苦しみの相、無常の相という3つの相があるそうで、人間界も苦しみに満ちている設定だ。
唯一、天のみが楽しみに満ち溢れ、望みは全て叶えられる。
本書は『往生要集』の世界観のみをまとめているわけではなく、世界各地の死後の世界観や日本の古い考えも紹介しており、興味深い。
様々な死後の世界観が、水木しげる特有の点描画で表現されており、さらに陰影の巧みさもあって1点1点が芸術作品の域に達している。
ただ、壁に飾りたくはない・・・
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ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
それでも、まだ偏り気味。
いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい!
この書評へのコメント
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- 出版社:小学館
- ページ数:177
- ISBN:9784092203303
- 発売日:2008年02月01日
- 価格:1260円
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