書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

efさん
ef
レビュアー:
間違いなくミステリの傑作です。絶海の孤島に閉じこめられた10人が全員死んでしまう。じゃあ、犯人は誰なの? こんなトリックを作れるのはクリスティだけ!!
 久々に再読です。
 クリスティの名作で、お読みになられた方も多いかと思います。
 絶海の孤島、兵隊島に招待された8人の男女と、その世話をするために雇われた執事夫婦の合計10人。
 招待したオーエンなる者の姿は見えず、遅れてやって来るというのですが……。

 到着した日のもてなしは申し分のないものでした。
 十分な料理と酒、豪華な邸宅、この招待は悪くないなどと考えていたところ、突然、男の声が響きます。
 それは、この島にいる10人がそれぞれ人を殺したのだと告発する内容でした。
 色めき立つ10人。

 その声は、部屋に仕掛けられていたレコードから流されたものでした。
 レコードをかけたのは執事。
 それは、オーエンからそうするようにとの指示があり、音楽だと思いかけたのだと。
 その告発を聞き、執事の妻は気を失ってしまいます。
 招待された客の中にいた医師がその介抱をしますが、一同は不安でありまた、自らに対する告発に対して根も葉もない言いがかりだと憤ります。
 とは言え、(良心の呵責を感じているかどうかは別にしても)それぞれ思い当たる節はあるのでした。

 さて、この後、一人、一人と殺されていくのです。
 それは、10人のインディアンの童謡とおりに、その歌詞のままに死んでいくのです。
 そして、最初10個置かれていたインディアン人形も、一人殺されるたびに減っていくのでした。
 一体誰が?
 もう、こんな島は出て行こうと皆思うのですが、折り悪しく天候が荒れてしまい、船がやってこなくなりました。
 島に閉じこめられる招待客達。

 オーエンがこの島のどこかに隠れているに違いない。
 島中、屋敷中捜索されるのですが、どこにもオーエンの姿は見えません。
 招待客の一人の元判事は、「こうなると、理論的にはこの10人の中にオーエンがいるということになるな。」と断じます。
 確かに、理論的にはその可能性しかあり得ません。

 結果的に、タイトル通り、10人の招待客は全員死んでしまうのですね。
 後日、その死体が発見されたわけですが、警察の捜索にもかかわらず、島には10人の死体の他には誰もいませんでした。
 また、招待客が島に渡った以後、島への出入りは一切無かったということです。
 一体誰がどうやって?

 大変エキセントリックな謎をしかけた古典の名作です。
 久々に読みましたが、今でも十分楽しめる作品だと思います。


hackerさんが推してくれた「アクロイド殺し」
お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
ef
ef さん本が好き!1級(書評数:4874 件)

幻想文学、SF、ミステリ、アート系などの怪しいモノ大好きです。ご紹介レビューが基本ですが、私のレビューで読んでみようかなと思って頂けたらうれしいです。世界中にはまだ読んでいない沢山の良い本がある!

読んで楽しい:8票
参考になる:18票
共感した:5票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. ef2014-11-02 10:15

    ネタばれに近くなるので本編レビューでは書きませんでしたが、この小説、実は破綻しているところがあるんですね。それがどこかは書きません。是非ご自身で読んでみてください。クリスティが用意した結末はそれは素晴らしいのですけれど、それでは解決できないところが実はあるんです。

  2. 風竜胆2014-11-02 17:53

    そういえば、クリスティは一冊も読んでいないなあ。ジャンルにはこだわらず読んでいるけど、特定のジャンルの中では、かなり偏っている私。

  3. ef2014-11-02 19:12

    風竜胆さん、クリスティ、一度読むと良いですよ~。ばかやろー!!って言いたくなる程見事に騙してくれます。それが快感ですねぇ。

  4. hacker2014-11-02 20:37

    参考までですが、この作品以前に同じ発想で書かれた本があるのですよね。だからと言って、クリスティの名作の価値が下がるものでは、もちろんありません。

    http://www.honzuki.jp/book/182188/review/45962/

  5. ef2014-11-03 03:01

    >hackerさん、コメントありがとうございます。さすが、的確ですね~。はい、私も「六死人」は読みました。これも面白いですよね。ところで、hackerさんレベルになると、クリスティーではどの作品を推しますか?興味津々。

  6. hacker2014-11-03 04:05

    ベタですが、初読時の衝撃度からいって、まずは『アクロイド殺し』ですね。次に犯人の残虐性が印象的な『ABC殺人事件』でしょうか。もちろん、この本も好きです。

  7. ef2014-11-03 07:22

    >hackerさん!! 同士よ!!と叫んでしまいたくなりました。さっすが、この2作を挙げてくださるとは。ええ。私もクリスティで挙げろと言われたら文句なくこの2作を絶対に挙げます。以前からhackerさんとは感性が近いなぁと(スミマセン)勝手に思い込んでいたのですが、ここまで合うとは!何だかすっごく嬉しくなりました。あ。あともう一作良いですか?「オリエント急行」も挙げておきたいのです。

  8. hacker2014-11-03 07:47

    そうそう、『オリエント急行』もありましたね。意表をつく犯人像と復讐の物語で、私も挙げておきます。

  9. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『そして誰もいなくなった』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ