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かもめ通信
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翻訳小説は、訳本選びから読書の楽しみが始まる。『The Great Gatsby』『華麗なるギャツビ-』『グレート・ギャツビー』『グレート・ギャッツビー』あなたはどれを読んでみる?
本が好き!レビュアー企画月間課題図書6月の選者は、僭越ながらこの私。

翻訳物をいくつかあげるようリクエストをいただいたので、うち一冊に、まもなくディカプリオ主演の映画も公開されるフィッツジェラルドの『The Great Gatsby』を選んでみた。
さすがに有名な作品だけあって、訳本も数種類。
どれを読もうかと迷われる方もいらっしゃるに違いない……というわけで、まずは冒頭の一文を比較して、自分の一冊を選んでみよう。


語学に自信があれば原書で読むのもいい。ペーパーバックもあるが、Kindle版なら90円?!
In my younger and more vulnerable years my father gave me some advice that I've been turning over in my mind ever since.

“Whenever you feel like criticizing any one”,he told me, “just remember that all the people in this world haven't had the advantages that you've had.”


○角川文庫『華麗なるギャツビ-』大貫三郎訳 初版:1957年2月20日
 今より若く心が傷つきやすい若者だった時に、父が忠告してくれたことを、その後ずっと繰り返し考え続けてきた。
「ひとのことをとやかく、批判したくなっても」と、父は言った。「ひとなみすぐれた強みを持っている人なんて、めったにいないんだってことを、忘れるんじゃないよ」


○ハヤカワ文庫『華麗なるギャツビー』橋本福夫訳 初版:1974年6月30日(古本のみ入手可能)
 わたしがまだ若くて傷つきやすかった年頃に父からうけた助言が、その日以来ずっとわたしの頭の中に巣くい、わたしはその言葉について何かと考えさせられてきた。
 父はこう言ったのだった。「ひとを批判したい気持ちになった時には、世の中すべての人間が自分と同じような有利な条件のもとに育ってきたとはかぎらないのだということを、思い起こすことだよ」


○新潮文庫『グレート・ギャツビー』野崎孝訳 初版:1974年6月30日
 ぼくがまだ年若く、いまよりもっと傷つきやすい心を持っていた時分に、父がある忠告をしてくれたけど、爾来ぼくは、その忠告を、心の中でくりかえし反芻してきた。
「ひとを批判したいような気持ちが起きた場合にはだな」と、父は言うのである「この世の中の人がみんなおまえと同じように恵まれているわけではないということを、ちょっと思い出してみるのだ」


○講談社文庫『華麗なるギャツビー』佐藤亮一訳 初版:1974年7月15日
          (絶版・図書館にはあるかも/Kindle日本語版はこの訳が底本)
 私がまだ若く、いまよりも心が傷つきやすかったころ、父が私に忠告してくれたことがある。それ以来そのことが心から去らない。
「だれとは限らないが、他人のことをかれこれ言いたい気持ちになったときは」と父は言った。「世の中は、お前と同じような長所を持った人間ばかりではないということを、よく覚えておくことだよ。」


○中央公論新社『グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)』
                村上春樹訳 初版:2006年11月10日
 僕がまだ年若く、心に傷を負いやすかったころ、父親がひとつ忠告を与えてくれた。その言葉について僕は、ことあるごとに考えをめぐらせてきた。
「誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ」と父は言った。「世間のすべての人が、お前のように恵まれた条件を与えられたわけではないのだと」

*ちなみに村上訳には同じく中央公論新社から愛蔵版も出版されていて、村上氏による1920年代のニューヨークガイド付き。

○光文社古典新訳文庫『グレート・ギャッツビー』小川高義訳 初版:2009年9月8日
まだ大人になりきれなかった私が父に言われて、ずっと心の中で思い返していることがある。
「人のことをあれこれ言いたくなったら、ちょっと考えてみるがいい。この世の中、みんながみんな恵まれてるわけじゃなかろう」


さて、あなたのお好みは?


*このレビューは選書の参考になればという趣旨でアップするものなので、書評ではありませんから、ご投票いただくにはおよびませんが、ご意見、ご感想等ございましたら、お気軽にコメント欄にお寄せください。
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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2269 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

読んで楽しい:12票
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この書評へのコメント

  1. Wings to fly2013-05-27 20:44

    映画のせい⁈
    土曜日に図書館行ったらみーんな貸出中なんだよね(ー ー;)
    新潮社と村上春樹氏訳の両方予約しときました。早く回ってきた方読むわね♪

  2. みさわなおき2013-05-27 21:23

    Kindle版だと単語を選択すると辞書引いてくれるんですよね…。しかも90円><
    やー、冒頭をこんなに何冊も読み比べたことないので、とても参考になりましたっ

  3. かもめ通信2013-05-27 21:24

    あっそうか!そういう問題は考えていなかったわ。>映画効果で貸出中

    ちなみに私、図書館にあったギャツビー数種類を独占借出中…あれ?もしかして、私のせいで列が出来ていたりして?!(汗)

  4. かもめ通信2013-05-27 21:27

    うん。そうなの。Kindle版だと…でも、最初はともかく、結構難しそうなのよね。>英語
    ひと昔前は、アメリカの中高生はみんな授業でこの作品をならう…とかいっていたけれど、今はどうなのかしらねえ?

  5. はるほん2013-05-27 22:43

    本屋にも2~3種類くらい並んでました~。
    訳者はよく見てなかったので、これは参考になる&面白いです!
    とりあえず日本語で読んで
    90円で挫折書評を書くと言う手もありますかねえ…。

  6. そのじつ2013-05-27 22:45

    書店の店頭にならんだ文庫を数冊、読み比べてみました。
    まさしく、かもめ通信さんの選んだこの部分で!
    とても印象的な書き出しですよね、
    「恵まれている」の意味がわからなくて、金銭的になのか情緒的に安定した環境であるとか?なんだろう…と思っていたのです。
    講談社の佐藤訳「長所」と訳したなら、主人公の資質について言っているのかな。
    そうすると、その後の変わった人物たちとの関係が分かってくるような…って、先を読み進めば分かるんですよね、きっと(^^)

    冒頭でいきなりつまずいていたので、凄く参考になりました。ありがとうございます。

    追記:佐藤訳のKindle版を読み始めましたが…難しい〜意味がわからなくてつっかかる、つっかかる。
    でもとっても魅力的です…頑張ろう。

  7. よみか2013-05-27 23:30

    とびきりの6種類のお酒の利き酒をさせていただいたような、楽しい気持ちになりました♪
    こうして拝読して自分の好みにあった一本を選べるなんて、幸せです。(^^)

  8. みさわなおき2013-05-27 23:39

    >90円で挫折書評を書くと言う手もありますかねえ…。
    あ、この手があったか(ニヤリ
    でも、これ以上阿呆を晒すのも恥ずかしいしなぁ……。

  9. ikutti2013-05-27 23:53

    ギャツビーは光文社古典新訳文庫をチョイスしようと考えていましたが、ちょうどディカプリオ表紙がギラつく集英社文庫が新刊書籍にぽつねんと置いてあったので借りてきました。
    訳者は新潮と同じ野崎孝さん。
    なんとなくだが、一番読みにくそう(^_^;)

  10. かもめ通信2013-05-28 05:45

    はるほんさん&みさわなおきさん

    >とりあえず日本語で読んで 90円で挫折書評を書くと言う手もありますかねえ…。
    実はそのテは私も考えたんだけどね~w

    いずれにしてもいろんな意味でこの作品、お二人のレビューが楽しみだわw

  11. かもめ通信2013-05-28 05:48

    そのじつさん
    とりわけ冒頭部分は、並ぶ言葉はそれぞれ、なかなか素敵なのに、物語として読み進めるとなるとなかなか進まないんですよね。この本。
    最初はあんまり考え込まずに、読み進めるのがいいかも、おそらく、途中から突き抜けてするっと読めると思います。(^^)

  12. かもめ通信2013-05-28 05:49

    よみかさん
    本当に並べただけですが、これだけあると壮観(?)ですよねw
    実は他にも並べてみたいフレーズがあったのですが、ネタバレになるといけないので自粛しましたw

  13. かもめ通信2013-05-28 05:58

    え?ええっ~!!集英社文庫?!慌てて検索したら何と4月に改訂新版がでているのですね!
    図書館本ばかりチェックしていたので、見落としていました…っていうか、店頭では見かけた気がするのですが、野崎訳だとおもって注意しなかったのかな……表紙は角川版に似ているし……

    ううっ気になるっ!
    ikuttiさん、出だしは ↑ の新潮版と同じかしら?それとも??

  14. ikutti2013-05-28 09:34

    「父がある忠告を与えてくれたけれど」以外全く新潮版とおなじです。解説は上岡伸雄、アメリカ文学者。
    1994年の集英社文庫の改訂版となっています。

  15. かもめ通信2013-05-28 14:55

    ikuttiさん,早速ありがとう。参考になります。
    野崎訳は,日本語訳では一番ポピュラーなんじゃないかな。
    サリンジャーの作品なんかも翻訳していて,一世を風靡した訳者さんのようだから。
    ちなみに私は新潮文庫とハルキ訳愛蔵版を読んでみるつもりでいます。

  16. 風竜胆2013-06-04 22:42

    各訳の、"all the people in this world haven't had the advantages that you've had."の部分が気になりますね。haven't had と you've had と現在完了が使ってあるので、今現在advantagesを持っていると言う訳ではなく、過去からずっと恵まれた環境にあったということだと思いますが、殆どの訳はそうなっていません。橋本福夫訳だけは、そこには注意しているような訳なのですが、ちょっと日本語が・・・
    翻訳ものは、なかなか難しい・・・

  17. 風竜胆2013-06-04 23:00

    恥ずかしながら、風竜胆訳w

    今より若くて繊細だったころ、父が与えてくれた忠告。その時から、僕はずっとそれを心の中で思い返している。
    「誰かを批判したくなったとしても、世間の皆が、おまえのように、恵まれて育ってきたわけではないということを思い出すことだ。」

  18. そのじつ2013-06-04 23:05

    質問してもいいですか(^o^)/
    「長所」や「強み」とした人もいますが、advantagesは「生来のもの」と解釈することも可能ですか?

  19. 風竜胆2013-06-04 23:13

    >そのじつさん
    この文章だけでは、なんとも言えませんが、advantagesと複数形になっていますので、色々と恵まれていたことがあったんでしょうね。それはお金のように物質的なものかもしれないし、教育なのかもしれないし、もしかしたらイケメンのように生まれつきのものあったのかもしれませんねw

  20. そのじつ2013-06-04 23:19

    それで「恵まれて育ってきた」と環境や経歴も含めたかたちになるわけですね。
    なるほど(^o^)!
    ありがとうございます!勉強になりましたm(_ _)m

  21. oha20062013-06-15 07:16

    新訳についての論文を見つけました。
    http://gakkai.sfc.keio.ac.jp/show_pdf/ORF2012-01.pdf

  22. かもめ通信2013-06-15 07:21

    ohaさん、おはようございます♪
    情報ありがとうございます。後でゆっくり読んでみますね!

  23. ふらりん2016-01-05 17:47

    これは迷いますねー。読みやすさでは村上春樹さんですが、
    大貫三郎さんの訳がスマートかなと個人的に思いました。

    文の出だしの「私」「僕」そして無しと翻訳の難しさを
    思い知らされました。

    【追記】
    本のタイトルが「華麗なる」か「グレート」が好みかも、
    悩むところです。

  24. かもめ通信2016-01-05 19:03

    ふらりんさん!私は結局、新潮の野崎訳と中央公論の村上訳を読んだのですが、
    この2つはかなり趣きが違っていて読み比べもなかなか面白かったですよ。

  25. No Image

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