Yasuhiroさん
レビュアー:
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たまに読むとホッとする小川洋子の摩訶不思議世界。短編集なので、自分の好みの作品をみつける楽しみもあります。
小川洋子の作品はたまに読むと心がほぐれます。特にこのような短編集を読むとほっとした気持ちになります。八作品が収められていて、多少の出来不出来はあるものの、まぎれもない小川洋子の世界です。以下寸評。
1:飛行機で眠るのは難しい
いいなあ。小川洋子の世界に帰ってきたなあ、と思える掌編。夜間飛行で隣り合わせた男が突然「飛行機で眠るのは難しい。そう思いませんか、お嬢さん?」と語りかけてくる。その男が以前隣り合わせたオーストリア人の老女のことを問わず語りに話しだす。小川洋子のちょっと危うげで脆そうで儚い世界が心地よい。
2:中国野菜の育て方
小川洋子的不思議系。日常生活の中に何気なく入り込んでくる非日常。
3:まぶた
内容はもう「ホテル・アイリス」の雛形としか思えません。でも調べてみると長編のホテル・アイリスの方が五年早く発表されています。ちょっと不思議。まあ長編「ホテル・アイリス」がまるでポルノ小説だったのでこれくらいの内容にしておいてもらったほうがいいですけどね。
4:お料理教室
お料理教室を自宅で開いている老婦人が悪徳パイプ洗浄業者にだまされる話かと思いきや、さにあらず。まあ小川洋子的ではあるがそれほど面白くもない。
5:匂いの収集
これは大好きな小説「薬指の標本」に似た雰囲気を持つ佳篇。多種多様な匂いを蒐集する彼女。最後の一行でぞくっとさせるあたりはうまい。
6:バックストローク
私の趣味である水泳の話なので俄然期待しましたが、やっぱりそこはそれ、小川洋子の摩訶不思議の世界でした。主人公の弟はオリンピックの代表候補になるほど背泳が上手かったのですが、ある日突然左手が上がったまま動かなくなってしまう。彼はどうしたか?小川洋子ならではのストーリー展開です。ちなみに片手を上げたまま背泳するドリルがあるんですが、難しいんですよ〜。
7:詩人の卵巣
不眠症、睡眠薬中毒を克服するために薬を持たずに旅に出た主人公。不眠症と睡眠薬に対する切ない思いが個人的にはよく分かる。最後に眠りにつく過程もとてもステキだ。不眠症に悩んだ方だけに分かる世界、かな。
8:リンデンバウムの双子
イギリスで怪我をした娘のところへ向かう途中で、自分の作品を翻訳してくれているオーストリア人と会うためにウィーンに立ち寄った作家の物語。その翻訳家は意外にも高齢でしかも双子の一人だった。足を悪くしてもう何年も5階の自宅から外へ出たことがないと言う。。。
主人公が男だと小川洋子の文章は不思議に村上春樹っぽくなりますね。
以上、個人的には1,5,7あたりがよかったです。
1:飛行機で眠るのは難しい
いいなあ。小川洋子の世界に帰ってきたなあ、と思える掌編。夜間飛行で隣り合わせた男が突然「飛行機で眠るのは難しい。そう思いませんか、お嬢さん?」と語りかけてくる。その男が以前隣り合わせたオーストリア人の老女のことを問わず語りに話しだす。小川洋子のちょっと危うげで脆そうで儚い世界が心地よい。
2:中国野菜の育て方
小川洋子的不思議系。日常生活の中に何気なく入り込んでくる非日常。
3:まぶた
内容はもう「ホテル・アイリス」の雛形としか思えません。でも調べてみると長編のホテル・アイリスの方が五年早く発表されています。ちょっと不思議。まあ長編「ホテル・アイリス」がまるでポルノ小説だったのでこれくらいの内容にしておいてもらったほうがいいですけどね。
4:お料理教室
お料理教室を自宅で開いている老婦人が悪徳パイプ洗浄業者にだまされる話かと思いきや、さにあらず。まあ小川洋子的ではあるがそれほど面白くもない。
5:匂いの収集
これは大好きな小説「薬指の標本」に似た雰囲気を持つ佳篇。多種多様な匂いを蒐集する彼女。最後の一行でぞくっとさせるあたりはうまい。
6:バックストローク
私の趣味である水泳の話なので俄然期待しましたが、やっぱりそこはそれ、小川洋子の摩訶不思議の世界でした。主人公の弟はオリンピックの代表候補になるほど背泳が上手かったのですが、ある日突然左手が上がったまま動かなくなってしまう。彼はどうしたか?小川洋子ならではのストーリー展開です。ちなみに片手を上げたまま背泳するドリルがあるんですが、難しいんですよ〜。
7:詩人の卵巣
不眠症、睡眠薬中毒を克服するために薬を持たずに旅に出た主人公。不眠症と睡眠薬に対する切ない思いが個人的にはよく分かる。最後に眠りにつく過程もとてもステキだ。不眠症に悩んだ方だけに分かる世界、かな。
8:リンデンバウムの双子
イギリスで怪我をした娘のところへ向かう途中で、自分の作品を翻訳してくれているオーストリア人と会うためにウィーンに立ち寄った作家の物語。その翻訳家は意外にも高齢でしかも双子の一人だった。足を悪くしてもう何年も5階の自宅から外へ出たことがないと言う。。。
主人公が男だと小川洋子の文章は不思議に村上春樹っぽくなりますね。
以上、個人的には1,5,7あたりがよかったです。
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馬鹿馬鹿しくなったので退会しました。2021/10/8
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- 出版社:新潮社
- ページ数:221
- ISBN:9784101215228
- 発売日:2004年11月01日
- 価格:420円
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