晴れたらいいね





「自分は命が産まれる手伝いをする看護婦だ。だから、命を簡単に懸ける戦争を決して許さない。命を生み出し、そして育むのに、女たちがどれほどの時間と力を費やすのかを、男は知らない。」(210頁)
ちょうど10年前の2015年、すなわち「戦後70年」に刊行された1冊です。文庫化は2017年、最近…

本が好き! 1級
書評数:696 件
得票数:8276 票
学生時代は書評誌に関わってました。今世紀に入り、当初はBK1(現在honto)、その後、TRCブックポータルでレビューを掲載してました。同サイト閉鎖から、こちらに投稿するようになりました。
ニックネームは書評用のものでずっと使ってます。
サイトの高・多機能ぶりに対応できておらず、書き・読み程度ですが、私の文章がきっかけとなって、本そのものを手にとってもらえれば、うれしいという気持ちは変わりません。 特定分野に偏らないよう、できるだけ多様な書を少しずつでも紹介していければと考えています。
プロフィール画像は大昔にバイト先で書いてもらったものです。





「自分は命が産まれる手伝いをする看護婦だ。だから、命を簡単に懸ける戦争を決して許さない。命を生み出し、そして育むのに、女たちがどれほどの時間と力を費やすのかを、男は知らない。」(210頁)
ちょうど10年前の2015年、すなわち「戦後70年」に刊行された1冊です。文庫化は2017年、最近…





ニシ女史の鋭い謎解きを楽しむもよし、作品のもつ余韻を楽しむのもまたよし
北村薫氏の絶賛と共に、再び世に出ることになったニシ・アズマ女史。本業はA女学院の先生だが、次々と遭…





「昏れるでもなく、黄昏れぬでもなく、眠れるでもなく眠れぬでもない、そんな白夜になってしまうが、それはどのみち私ひとりの夜で、おふくろには何の関係もないことだ。」(159頁、「闇」)
1976年刊行のこの短編集は野間文芸賞を受賞、作者の「文壇的地位を確立した」として、その履歴に記さ…





冒険と鎮魂と.....
「綿密な取材による史実の再構成」というスタイルの吉村昭による戦史小説の読み応えは保証付きといってよ…





もうひとつ、いきま〜っしょい!
1998年に田中麗奈主演で映画化もされた「坊っちゃん文学大賞」受賞作品です。21世紀に入って、鈴木…




「『声なき楽人』オシアンとブランの旅はまだ続いています。途中でからんできたヒューやトリーを含め、できれば彼らの話をもっと書いてやりたいな、と思っております」(作者の「単行本あとがき」より、371頁)
「日常の謎」派のミステリー作家・光原百合による非ミステリーの作品の一つです。作者が亡くなられて以来…




働く女性のミステリー
警察を舞台にした物語というと、かつては「太陽に吠えろ」に代表されるような「かっこいい刑事もの」が主…




「この本は、理科の思考力で歴史を見よう、というものです、歴史的事実は同じでも、注目する主題のとらえ方、推理の過程はかなり違います。しかし、科学史書ではありません。」(本書冒頭、はじめに、7頁)
冒頭の引用は次のように続きます。 「科学技術はむしろ背景であって、それが人間の感性、知性をいか…





「私は物心ついたときから自然のなかの形や模様に心惹かれてきた」著者による、美しき王国へのクルージング
『博士の愛した数式』がベストセラーになったとき、世の中には「数学」という王国が存在することに気がつ…





「自然科学は、新しい技術開発を通して社会に役立つばかりでなく、個人の心を豊かにしてくれる機能をもっているのです。(あとがき、179頁)
中高生向けの「科学入門」とするには、かなり変わった1冊です。語り口はわかりやすく、やさしいのですが…




よくわからなくても、なんだか楽しい
それぞれの分野で著名な、物理学者、画家、数学者による鼎談である本書は、知っている人であれば、泣いて…





通俗的に語ることは必ずしも通俗的なことではない。
「モーム」と聞いて思い起こすのは、ある予備校の英語教師である。たまたま受講した夏期講習でモームにつ…





芸術評論にして、芸術評論にあらず。エッセイにして、エッセイにあらず。
『雪沼とその周辺』などで有名な作家による、2021年刊行のエッセイ集です。 エッセイは時として…





日常を生きるお仕事漫画。
「働く人」をテーマにした物語は、小説も、映画も、そして漫画も数多いのですが、この作家に手にかかると…




虹が虹でいられる理由とは?
ファンタジックな装丁(単行本版)に惹かれる読者も少なくなかったのではないでしょうか。20代半ばの女…





日常の瞬間をドラマチックにする
帯に「八人の女の子の物語」と書かれていますので、にぎやかでそして華やかな、そんな物語を想像しがちで…





「終着駅に着いた列車は始発となって折返していく、鉄道好きの私は、それに乗って、飽きずに行ったり来たりする。」(あとがき、261頁)
『最長片道切符の旅』 が想像以上に面白く、続けて著者の他作品もいくつか読んでみました。ライター独…





その「何気ない日々のかけら」は終わらない。
中高一貫のモンナンカール女子校を舞台に、高校生たちの「何気ない日々のかけら」(帯より)を描いた連作…





今でも、日々さまざまな大学生協繰り広げられていること、と願いたい。
ネット上で話題となった、農工大学生協での「一言カード」のやりとりの単行本化です。農工大の学生さんが…





「自分がこの五年間、主に自分の肉親や家族たちの様子に目を注ぎながら暮らしてきたことがわかった。」(あとがき、203頁)
三浦哲郎第3作目の随筆集です。書名にはないものの、「あとがき」にて律儀に何作目の随筆集かを記すのが…