ドリフターズ 7 (7巻)




スキピオは関ヶ原の合戦を布陣から結末を予想する。布陣だけでは西軍が東軍を包囲しており、西軍が優位に見える。しかし、スキピオは単純に考えない。戦争はゲームではない。陣形だけでは決まらない。
平野耕太『ドリフターズ』(少年画報社、ヤングキングコミックス)はタイトルだけでは何の漫画か想像できな…

本が好き! 1級
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歴史小説、SF、漫画が好き。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』はマンションだまし売り被害を消費者契約法(不利益事実の不告知)で解決したノンフィクション。




スキピオは関ヶ原の合戦を布陣から結末を予想する。布陣だけでは西軍が東軍を包囲しており、西軍が優位に見える。しかし、スキピオは単純に考えない。戦争はゲームではない。陣形だけでは決まらない。
平野耕太『ドリフターズ』(少年画報社、ヤングキングコミックス)はタイトルだけでは何の漫画か想像できな…




本能寺の変は痴呆故の愚かな行動と単純化していない。本能寺の変の動機には坂本城召し上げと信長への反感がある。坂本城は光秀が丹精込めて建てた城であった。それが召し上げられることへの無念は強かった。
岩井三四二『光秀曜変』(光文社、2012年)は本能寺の変を起こした明智光秀に迫る歴史小説である。光秀…




韓非は冤罪で殺される。韓非子を読むと君主や大臣の恣意を戒める主張が出てくる。秦が韓非を重用していたら、秦は過酷な官僚制とは別のものになったのではないか。
津本陽『秦の始皇帝』(角川春樹事務所、1999年)は秦の始皇帝を描いた歴史小説。李信や王せんら『キン…




韓国ドラマ。韓国の財閥令嬢のユン・セリがパラグライダーの事故で軍事境界線を越えてしまい、朝鮮人民軍のリ・ジョンヒョク大尉に出会う。Netflixで配信され、世界的にヒットした。
『愛の不時着』は韓国ドラマ。韓国の財閥令嬢のユン・セリがパラグライダーの事故で軍事境界線を越えてしま…




農民から筑後国三十二万石の大名になった田中吉政を描いた歴史小説。立場が変わると新しい働き方に変えていく適応力がある。NHK大河ドラマ『どうする家康』と同時代である。
岩井三四二『田中家の三十二万石』は農民から筑後国三十二万石の大名になった田中吉政を描いた歴史小説。立…




輝元は飽食の罪に陥っている。大阪城にいれば朝から酒を飲むこともできる。出陣して陣中にいれば飽食ができない。有能の家康と無能の輝元、粗食の家康と飽食の輝元が対比される。
毛利輝元は天文二二年一月二二日(一五五三年二月四日)に生まれる。幼名は幸鶴丸。毛利元就の嫡孫であり、…




文学作品における飽食の罪は、物理的な行為だけでなく、精神的な側面も象徴する。欲望の無節制、自制心の欠如、他人や環境への無配慮さなど道徳的な側面を強調する。
『ハムレット』は『オセロー』『リア王』『マクベス』と共にウィリアム・シェイクスピアの四大悲劇を構成す…




他の国からすれば侵略である。漫画では敵国側も丁寧に描写されており、読者には敵国に感情移入する選択肢がある。それに比べると映画は主人公サイドで固定して観るエンターテイメントになっている。
『キングダム2 遥かなる大地へ』は中国戦国時代の秦を舞台とする原泰久の歴史漫画『キングダム』の実写映…




孔明の奇策が魅力の漫画であるが、純粋に歌手の実力あってのものである。卑怯な手段を使う悪役は悪役なままであった。互いに理解し合って、いい話としない。卑怯者はあくまで卑怯者である。
四葉タト原作、小川亮漫画『パリピ孔明 14』(講談社、2023年)はサマソニ編が終わり、日本統一編が…




新章では韓非が登場する。信とは接点がなさそうな人物であるが、そのような形で絡ませるかと意表を突かれた。性善説か性悪説かという本質的な問いが提示された。
原泰久『キングダム 69』(集英社、2023年)は趙国深部・宜安に侵攻した桓騎と李牧の戦いが決着する…




「われ、白鳥の皇子とならん」は公家ながら武力を持とうとした千種忠顕を描く。恩賞のために働く武士との意識の違いが描かれる。「悪名」は四条畷の戦いに吉野攻略、観応の擾乱と師直の栄光と凋落が描かれる。
高橋直樹『異形武夫』(新潮社、2001年)は南北朝時代の高師直を描いた歴史小説。「葛の楠木」「われ、…




一旦受けた依頼を遂行しようとする。保身第一の公務員体質ではなく、民間ビジネスパーソン感覚がある。忠義や天下のために働いていない。ここも公務員的な組織人の欺瞞はない。
岩井三四二『竹千代を盗め』(講談社、2006年)は松平元康(後の徳川家康)の妻子奪還を描いた描いた歴…





「キ」は周囲から残酷表現を矯正される小説家の話である。残酷表現を止めさせられ、ファンタジー小説に転向するが、残虐性が現実の行動になって現れるようになる。表現の自由を抑圧することの恐ろしさを描いている。
山白朝子『小説家と夜の境界』(KADOKAWA、2023年)は奇人変人の小説家を題材にした短編集。小…





民主主義思想は現代人と比べて前近代の人々が決定的に持っていないものと考えがちであるが、それほど昔の時代の人間も異なるものではない。理不尽を許せないと感じ、そのために戦う姿には心を動かされる。
今村翔吾『じんかん』(講談社、2020年)は松永久秀を描いた歴史小説。久秀は足利将軍を殺し、奈良の大…




政治権力に都合の良い思想とのイメージがあるが、体制批判の視点もある。佞臣への批判は鋭い。韓非自身が秦王の側近の李斯の讒言の冤罪で滅ぼされる。自分の運命を予見していたようである。
『韓非子』は中国戦国時代の法家・韓非の思想書である。原泰久『キングダム』にも登場する。中国の思想書の…




シミュレーションは想定通りに進まなかった。仮想空間は現実とのギャップがあり、仮想空間を本当の空間と思って生活しているとおかしくなってしまう。現実世界でもゲーム依存症による生活不適合が問題となっている。
ジェイムズ・P・ホーガン著、大島豊訳『仮想空間計画』(創元SF文庫、1999年)は仮想空間を舞台とし…




「悔しさと怒りで血を吐くかと思ったほどだった。胸に五寸釘でも打ち込まれたような痛みを覚え、動悸がして夜も眠れなかった」(272頁)。これは冤罪被害者に共通する気持ちを表している。
岩井三四二『あるじは家康』(PHP研究所、2012年)は徳川家康の家臣を主人公とした歴史小説のオムニ…





出入国在留管理庁はマズルムに裁判で争わずに帰国すれば、子ども達には特別在留許可を出すとの裏取引を持ち掛けたという。相手の弱みに付け込む卑怯な手口である。父親を強制送還することは公務員の点数稼ぎである。
『マイスモールランド』は在日クルド人一家を通して日本の入管行政の冷酷さを描いた映画。クルド人チョーラ…





日経平均株価がバブル後最高値を記録しており、タイムリーな書籍である。「3万円を突破して、さらに上値を目指すのは既定路線」と強気である(63頁)。後半は「黄金株50のリスト」として個別銘柄を紹介する。
菅下清廣『2023-2024 資産はこの「黄金株」で殖やしなさい! 日本株大復活』(実務教育出版、2…





再審制度の見直しを提言する書籍である。再審は冤罪を公的に明らかにする貴重な手段である。冤罪被害解消のために、この制度をもっと活きたものにする必要がある。
安部祥太、鴨志田祐美、李怡修編著『見直そう!再審のルール この国が冤罪と向き合うために』(現代人文社…