つばくろ越え

志水辰夫の得意技である「ストイックな主人公・文体」が時代小説にハマり、小説全体がガチッと背骨の強いものに仕上がっている。 江戸の「通し飛脚」シリーズは、既に第3巻までが出ているが、続編が待ち遠しい。
ハードボイルド・冒険小説の名手志水辰夫が、時代小説で新しい境地を切り開いている。 志水辰夫の得意技…

本が好き! 1級
書評数:667 件
得票数:11746 票
語りかける書評ブログ「人生は短く、読むべき本は多い」からの転記になります。
殆どが小説で、児童書、マンガ、新書が少々です。
評点やジャンルはつけないこととします。
ブログは「今はなかなか会う機会がとれない、本読みの友人たちへ語る」調子を心がけています。
従い、私の記憶や思い出が入り込み、エッセイ調にもなっています。
主要六紙の書評や好きな作家へのインタビュー、注目している文学賞の受賞や出版各社PR誌の書きっぷりなどから、自分なりの法則を作って、新しい作家を積極的に選んでいます(好きな作家へのインタビュー、から広げる手法は確度がとても高く、お勧めします)。
また、著作で前向きに感じられるところを、取り上げていくように心がけています。
「推し」の度合いは、幾つか本文を読んで頂ければわかるように、仕組んでいる積りです。
PS 1965年生まれ。働いています。

志水辰夫の得意技である「ストイックな主人公・文体」が時代小説にハマり、小説全体がガチッと背骨の強いものに仕上がっている。 江戸の「通し飛脚」シリーズは、既に第3巻までが出ているが、続編が待ち遠しい。
ハードボイルド・冒険小説の名手志水辰夫が、時代小説で新しい境地を切り開いている。 志水辰夫の得意技…

「小説界のタランティーノ現る‼」 馳星周ほど重たくなく、戸梶圭太ほどお下劣でなく、村上龍ほど格調高くなく、スピードは西村健並だ。
26 樋口毅宏 「さらば雑司が谷」 え~、温かくなったり寒くなったり雨も降ったりで、毎朝起きて…

戦後から山形の神町の経済を牛耳ってきた二つの一族を三代にわたって描いた群像劇。 小説の「テーマ」や「舞台」がミクロ化してきている昨今に逆らい、長い時間と多くの人を壇上に引っ張り出している、大きな物語。
631 阿部和重 「シンセミア」 戦後から、山形の神町の経済を牛耳ってきた二つの一族と、その周…

一見淡々と流れる日々の中に、どうしても譲れない信条や、音もたてずに切れていく精神の一端をそっと書いている。 我々の平々凡々とした日々の、激しい裏側を垣間見た気になって、派手な小説よりも心に残った。
27 木内昇 「茗荷谷の猫」 江戸から東京を舞台に、市井の人を書いた連作集。 主人公たちの…

幻の映画フィルムを巡る話なのだが、「映画からの引用」がセリフや描写にふんだんにばら撒かれており、映画通を自負する強者は勝負して楽しんで頂きたい。 私はちょこっと自信があったが、打率2割台で低迷した。
28 矢作俊彦 「フィルム・ノワール」 エンターティメントの重鎮矢作俊彦が久々に放った「どハー…

幕末近江の鉄砲鍛冶、国友一貫斎の一生を書いている。 抑えめのキャラクターが、かえって身近に感じられて、山本兼一が伝えたい事が読後にしっかりと残った。
30 山本兼一 「夢をまことに」 幕末近江の鉄砲鍛冶、国友一貫斎の一生を書いている。 抑えめ…

時代小説のニューウェーブかライトノベルなのだろうか。こういう時代小説は初めて。 長くもなく重たくもない、でも切味がいいから、後々耳に残る歌謡曲のようだ。
31 朝井まかて 「御松茸騒動」 時代小説のニューウェーブかライトノベルなのだろうか。こういう…

飯嶋和一は「人と人が繋がる瞬間」を、たいへん綺麗に書き表す人であり、本作にも綺麗なスナップ写真が満ちている。 試合後に新田はジムの小学生たちに囲まれ、「新田センパイ、新田センパイ!」と祝福される。
32 飯嶋和一 「汝ふたたび故郷に帰れず」 歴史作家 飯嶋和一の、初期の現代小説中編集。 全…

イギリス人がかつて住んでいた古い洋館、通称「バーンズ屋敷」には秘密の「裏庭」がある。 小学生の照美が「裏庭」に入り、その世界を旅するファンタジー。
33 梨木香歩 「裏庭」 イギリス人がかつて住んでいた古い洋館、通称「バーンズ屋敷」には秘密の…

前作あたりから、次の謎よりも栞子と五浦の恋の行方の方が気になっていたのだが、 相変わらず、「水前寺清子/365歩のマーチ」だった・・・(下がるなっ!)
37 三上延 「ビブリア古書堂の事件手帖6」 シリーズ第6作。 これだけ売れたので、丁寧な調…

前述2で絶賛した「図書館の魔女」の続編。 最後の最後にやっと魔女マツリカらが登場するので、続編と言うよりもスピンアウトだが、からくりを示す小さな事象を拾いながら推理していく高田節が健在で、楽しめた。
38 高田大介 「図書館の魔女 烏の伝言」 前述2で絶賛した「図書館の魔女」 の続編。 最…

吸血の「竹族(バンブー)」にまつわる連作集。 人よりとっても長い寿命のバンブー達を登場させる事で、人(梗ちゃん)の生を鮮やかに描き出す事に成功している(「葬送のフリーレン」もそうだね)。
40 桜庭一樹 「ほんとうの花を見せにきた」 吸血の「竹族(バンブー)」にまつわる連作集。 …

宮部みゆきは五感をフルに使うことを求める。 視覚、聴覚、味覚までは、普通の作家は使いこなすけれど、嗅覚も動員しろと言う。 現れた怪物とその周りの匂いは強烈だ。食べながらは読めない。 そして触覚だ。
41 宮部みゆき 「荒神」 江戸時代の東北で起こった、怪物にまつわるお話。 宮部みゆきは…

「うでとでぶどっちがいい?」 「えっ?」 ・・・・・・「デブで」 借金まみれの俺は、デブを黄色いスパイダーに乗せて北へ向かった・・・・
43 平山 夢明 「デブを捨てに」 【R-21指定】グロ苦手の方は、本述は飛ばして下さい。 …

盛田隆二独特の大人の切ないラブロマンス・・・・・ の仮面を被った家族再生の物語。 「人生折り返し済」と思う人は、一読の価値あり。
44 盛田 隆二 「残りの人生で、今日がいちばん若い日」 盛田隆二独特の大人の切ないラブロマン…

「まあ、本気で逃げるなら、火星にでも行くしかない。」 伊坂幸太郎の新作は、警視長が軽くこう語る、 現代の「特高(特別高等警察)」がはびこり、「隣組」まがいが機能し始めた仙台での、犯人探し&追いかけっこだ。
49 伊坂幸太郎 「火星に住むつもりかい?」 「まあ、本気で逃げるなら、火星にでも行くしかない…

独特の長回しの文章は苦にならず、かえって「夢の中の出来事」のような、フワフワとした世界を見せてくれる。 例えるなら「つげ義春の漫画のような世界」。
47 堀江敏幸 「いつか王子駅で」 王子に住む英語講師の「私」の日常のお話に、小説・童話や名馬…

「何の為に生きるのか」「ならば何をするのか」と問い、登場人物が身をもってそれを示し、我々が心の奥底に隠して眠らせていたものを、また使うよう揺さぶってくる。 変化を望まない人には、とても危険な小説だ。
48 飯嶋和一 「狗賓童子の島」 飯嶋和一6年ぶりの新作は、幕末の隠岐を舞台に、流人西村常太郎…

「私と円紫師匠」シリーズ、11年ぶりの第6作。 短編3作いずれもが、本の中にある謎を解いていく。
50 北村薫 「太宰治の辞書」 前述5の「私と円紫師匠」シリーズ 、11年ぶりの第6作。 …

斉藤和義から「’出会い’をテーマにアルバムを作るから、詩を書いてくれないか?」 と持ちかけられた伊坂幸太郎が書いた6つからの短篇集。
51 伊坂幸太郎 「アイネクライネナハトムジーク」 斉藤和義から「’出会い’をテーマにアルバム…