美人薄命

大学生の磯田総司と老婆内海カエを主人公にしたミステリー。 往々にして「謎を解くこと」がメインテーマになりかねないのがミステリーなのだが、 「その先」というか「この本のテーマ」を、幾つか提示できていて良い。
416 深水 黎一郎 「美人薄命」 大学生の磯田総司と老婆内海カエを主人公にしたミステリー。 …

本が好き! 1級
書評数:667 件
得票数:11739 票
語りかける書評ブログ「人生は短く、読むべき本は多い」からの転記になります。
殆どが小説で、児童書、マンガ、新書が少々です。
評点やジャンルはつけないこととします。
ブログは「今はなかなか会う機会がとれない、本読みの友人たちへ語る」調子を心がけています。
従い、私の記憶や思い出が入り込み、エッセイ調にもなっています。
主要六紙の書評や好きな作家へのインタビュー、注目している文学賞の受賞や出版各社PR誌の書きっぷりなどから、自分なりの法則を作って、新しい作家を積極的に選んでいます(好きな作家へのインタビュー、から広げる手法は確度がとても高く、お勧めします)。
また、著作で前向きに感じられるところを、取り上げていくように心がけています。
「推し」の度合いは、幾つか本文を読んで頂ければわかるように、仕組んでいる積りです。
PS 1965年生まれ。働いています。

大学生の磯田総司と老婆内海カエを主人公にしたミステリー。 往々にして「謎を解くこと」がメインテーマになりかねないのがミステリーなのだが、 「その先」というか「この本のテーマ」を、幾つか提示できていて良い。
416 深水 黎一郎 「美人薄命」 大学生の磯田総司と老婆内海カエを主人公にしたミステリー。 …

二作目ではっきり分かった。 一條次郎が書き出す世界は、私たちが「起きてもちょっとしか覚えていない」あの「夢の世界」に他ならないと。
417 一條次郎 「ざんねんなスパイ」 二作目ではっきり分かった。 一條次郎が書き出す世界は…

「あの世」に行きそうな人、行ってしまった人、 彼らが見える人などを使って、人の機微を表している短編集。 木内昇は上手いなぁ。 人の心の美しいところをきっちり取り出して、私たちが気づく前にそっと置いている。
418 木内昇 「化物蝋燭」 「あの世」に行きそうな人、行ってしまった人、 彼らが見える人な…

半グレの世界を舞台にしたハードボイルド。 登場人物は良くも悪くも躍動しているし、主役たちは「譲れない何か」を持っている。 ハードだ。
419 西尾潤 「愚か者の身分」 半グレの世界を舞台にしたハードボイルド。 登場人物は良くも…

アイデンティティ(同一性)を題材にしている物語。 同一性は、自分の中だけで始動・完結するのではなく、 「他人との関係性」が重要な骨格ではないかい、と示している。
420 川上弘美 「某」 アイデンティティ(同一性)を題材にしている物語。 同語の定義である…

昭和40年生まれ、山田三男とその家族のお話。 「誰にも物語はある」という事を再認識させてくれたし、 あの時代の自分の周りを思い出させて貰った。
421 佐川光晴 「昭和40年男 ~オリンポスの家族~」 昭和40年生まれ、山田三男とその家族…

幕末から明治にかけて日本外交の最前線に居た田辺太一を主人公にしたお話。 岩倉使節団などで活躍する「維新後の田辺太一」になる、その直前で物語を「寸止め」しているところはいかにも木内昇らしい。
422 木内昇 「万波を翔る」 幕末から明治にかけて日本外交の最前線に居た田辺太一を主人公にし…

この世界の建付けであったり、人並外れた技能をバルサが持つ訳、といった「しがらみ」が一通り終わり、「さ、皆さんもう知ってるよね」という前提で、お話がのびのびと躍動している感じがした。
423 上橋菜穂子 「夢の守り人」 「精霊の守り人」シリーズの三作目。 この世界の建付けであ…

吉田修一版「山椒大夫」。 元の「さんせう太夫」が中世の説話であり、「読まれる」よりも「語られる」ことが多かっただろう事を意識してか、終始口語調で進めている。
424 吉田修一 「アンジュと頭獅王」 吉田修一版「山椒大夫」。 元の「さんせう太夫」が中世…

瀬名秀明がブラック・ジャック(以下BJ)を現在に蘇らせている。 それも「極めてBJらしく」だ。
425 瀬名秀明 「小説 ブラック・ジャック」 第1話【BJ vs. AI】 手術の支援に留…

エドワード・ホッパーの17枚の絵を題材にして、17人の作家が短編を寄せている。 いや「話を受けた作家がどうしても書けなかった」1枚に、編者のローレンス・ブロックが序文を充てているから18枚で18編。
426 ローレンス・ブロック編 「短編画廊」 エドワード・ホッパーの17枚の絵を題材にして、1…

古い木造アパートを道具に使った、連作短編集。 アパートに長らく住む坂田繭のことを主軸にしながら、各々の短編がまるで実世界のようにスピンオフして、楽しくうごめいているように感じた。
586 三浦しをん 「木暮荘物語」 古い木造アパートを道具に使った、連作短編集。 アパートに…

山本周五郎の、十の短編集。 あ~、日本人で良かった! と思う。 (年末に書いたブログです)
427 山本周五郎 「町奉行日記」 山本周五郎の、十の短編集。 あ~、日本人で良かった、と思…

1838年刊、っていうと182年前。 孤児オリヴァーが様々な困苦にもめげずに立派に成長するまでを描く、ディケンズの代表作。
428 チャールズ・ディケンズ 「オリバー・ツイスト」 1838年刊、っていうと182年前。 …

うつつなのか、夢なのか。 性質(たち)が良くないのは、吉村萬壱の場合、ふんだんに現れる夢がほぼ全部「悪夢」であるところ。 でも、結構エグイ「悪夢たち」も、何故だか気持ち悪くなるまでには至らない。
429 吉村萬壱 「出来事」 うつつなのか、夢なのか。 性質(たち)が良くないのは、吉村萬壱…

ロバート・キャンベルによる、陽水の50の歌の英訳とそのメイキング・エッセイ。 一つひとつの歌の歌詞をじっくり眺めるのも良いし、陽水本人との対談を含んだエッセイも刺激的。
430 ロバート・キャンベル 「井上陽水英訳詞集」 ロバート・キャンベルによる、陽水の50の歌…

「ある男」が死んで湧き出てきた謎の解明を通して、彼の半生を浮き上がらせている。 メインテーマは「残された人の想い」であり「残された人の生」だと私は感じた。 もちろん「逝ってしまった人の過去」も大事。
431 平野啓一郎 「ある男」 「ある男」が死んで湧き出てきた謎の解明を通して、彼の半生を浮き…

「食べること」に対するスタンスを使って、恋愛物語を三角関係のような、ざわつかせたお話に仕立て上げている。
585 高瀬隼子 「おいしいごはんが食べられますように」 「食べること」に対するスタンスを使っ…

キャッチコピーは「歴史改変警察小説」、敢えて「SF」とは付けなかったと。 舞台もストーリーも楽しめたけれど、「佐々木譲が本著で読者に植えたかったのは、お話の本筋ではないかも」と思った。
432 佐々木譲 「抵抗都市」 キャッチコピーは「歴史改変警察小説」、敢えて「SF」とは付けな…

高村薫が更なる高みへ登っていく姿を遠くから眺めている、そんな感想になった。 帯のコピーは「合田雄一郎、痛恨の未解決事件」。読まない訳にはいかない。
433 高村薫 「我らが少女A」 高村薫が更なる高みへ登っていく姿を遠くから眺めている、 そ…