DNA (上)




「それは一九五三年二月二十八日、土曜日の朝のことだった。」(序章 生命の神秘、15頁)
「二重らせん」の発見が、生物学をひいてはこの社会を変えたのだ、とはさんざん聞かされてきた気がするが…

本が好き! 1級
書評数:693 件
得票数:8236 票
学生時代は書評誌に関わってました。今世紀に入り、当初はBK1(現在honto)、その後、TRCブックポータルでレビューを掲載してました。同サイト閉鎖から、こちらに投稿するようになりました。
ニックネームは書評用のものでずっと使ってます。
サイトの高・多機能ぶりに対応できておらず、書き・読み程度ですが、私の文章がきっかけとなって、本そのものを手にとってもらえれば、うれしいという気持ちは変わりません。 特定分野に偏らないよう、できるだけ多様な書を少しずつでも紹介していければと考えています。
プロフィール画像は大昔にバイト先で書いてもらったものです。




「それは一九五三年二月二十八日、土曜日の朝のことだった。」(序章 生命の神秘、15頁)
「二重らせん」の発見が、生物学をひいてはこの社会を変えたのだ、とはさんざん聞かされてきた気がするが…





「『大抵の人間は身近な人の葬式に出ることで自分の死を意識する』という話を何かで読んだが、これはどうやら『卒業』にも当てはまるようだ。」(葉山君、11頁)
作者のデビュー作からはじまった「市立シリーズ」の、今のところの最新作です。 シリーズ中で「卒業…





災害下の人心を冷静に見透す記録文学
2011年3月11日の東日本大震災以後、同じ著者の 『三陸海岸大津波』 とともに、改めて広く読まれ…





記憶と記録者の希有な出会い
東日本大震災前であったが、岩手県の陸中海岸まで足をのばす機会があり、その折に「予備知識にでも」とい…





「書ければうれしかろうし、書けなくても習う手応えは与えられるとおもう。」(鶴見俊輔が書きつけていた幸田露伴のことば、17頁)
「老いと読書」について取り上げた1冊。著者は、晶文社の元編集者でありながら、「黒テント」などの演劇…





偽物のおかしな恋の間にある心情を、
『夕凪の街 桜の国』 で、一躍注目を浴びた筆者による一味変わった物語である。「夕凪の街」は、「感…




「それでもなお、キンケイドという人間の本質をとらえることが、この本の取材と執筆における最大の難問だった。」(「はじまり」、15頁)
刊行されてから30年余が経っているとはいえ、世界的ベストセラーとして記録されている1冊です。ブーム…





今はなき書店の日記を読む、ということ。
書誌アクセス。この書店名を知っているのは、そこそこ神保町に通っている人か、地方出版社関係者ではない…





魅力ある読書体験をあなたに
本書は、「アルケミスト双書」と題されて刊行されている翻訳シリーズの1冊である。 「錯視」という…





キューピーちゃんに光背がある!?
地元の図書館で、何の気なしに見た児童書の新刊棚にありました。裏表紙のある写真に驚きました。「キュー…




「一般的な利益に関わる意思決定を下す」ように要請すると、集団や群衆が到達する結論は『一人の個人よりつねに知的に優る』のである」(「はじめに」より、15頁)
本書の文庫版が刊行されてからも何年も経つが、それでも、今なお興味深く読むことができる1冊である。内…





「人の争いも水入れできればよいのですが それはなかなかままならぬもの ならばせめて人の手でできることに思いを込めて参りましょう。」(シゲさんのことば、「11話 炎上」より、137頁)
谷間の小さな温泉町・河鹿川温泉を舞台にした物語は、春秋に富む若者たちを中心にゆったりと進んでいきま…





日本の自然の豊かさをどう見たらよいのか?
「植生」というと、一般にはやや耳慣れないことばだが、要は、植物を個々の花や木単位で考えるのではなく…





「日本は山国である。どこへ行っても山の見えない所はない。(中略)日本人ほど山を崇び山に親しんだ国民は、世界に類がない。」(「後記」より、422頁)
現在に至るまでの日本の登山ブーム、いや観光ブームを牽引してきた1冊といってよいだろう。本書を手にと…





本の形而上学ではなく、唯モノ論を。
著者は、筑摩書房にて、営業部というよりおもに物流部門を歩んだ人。70年代末の同社倒産前に就職し、そ…





「なんだ、そんなこと。もうひとりの自分が、低い、うなるような声でいった。ここに、じっと待っていれば、いいんだ。」(地図のない道 その三、116頁)
須賀氏の一連のエッセイ群の中でも、最後の方の刊行作品となります。2つのパート「地図のない道」「ザッ…





「出版社が学術的知のゲートキーパーとして果たしてきた役割について明らかにしていくことは、必要不可欠の作業となるであろう」(「まえがき」より、iii)
本書は、学術出版社4社へのフィールドワークをもとに、出版のあり方さらには学術コミュニケーションにつ…





本を愛するすべての人に
半月ほど前、ちょっとした記事に紹介があり、「即買い」を決めました。同じ新聞社で24日には書評にもな…





「母のことは随分書いた、小説にも、随筆にも。母は、私の泉であった。」(V編のトビラ裏の一文、302頁)
タイトル通り、自らの母についての文章を集めたものです。「あとがき」以外は、すべて本書刊行までに作者…





再現された人々によるミクロコスモスを見る
「講談社版日本の歴史をとにかく通読する」という願をかけて(?)、なんとか本巻までたどりついた。一般…