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日本の第2次大戦の終戦は、天皇の決断、発言で決まった。
この作品は2度映画化されている。最初の映画化作品を故郷の映画館で高校生のとき観た。併映作品が戦争を鼓舞する映画「ハワイ マレー沖海戦」で、一方のこの書評で紹介している作品は、昭和20年8月14日から、天皇の正午に放送された終戦宣言いわゆる玉音放送がなされるまでに、さまざま起こった出来事のルポ、即ち敗戦の映画と好対象の作品が映画館にかかった。今更何故戦争を鼓舞する映画がかかったのか不思議だった。
そして、「日本のいちばん長い日」。阿南陸軍大臣に扮した三船敏郎の自決場面が恐ろしいほど真に迫っていて、その後夢で何回も見たことを思い出す。
当時は天皇が重大な国策について決断するための会議、御前会議が存在した。しかし、御前会議に上奏される案は、すべて閣僚会議で決定済み。この閣議で決定した案を、天皇が反対や意見をいうことは無く、上奏すれば、案通りに決定していた。
ところが、閣議で決定できず、天皇のご聖断を仰ぐという御前会議が2回あった。
対戦相手の連合国側がつきつけてきたポツダム宣言を受諾するか否かが閣議では決定できなかった。それは、ポツダム宣言が日本に無条件降伏を要求していて、これでは日本の国体護持、天皇制を継続できるかどうか、そして、幾ばくかの領土は占領されても、やむを得ないが、日本が連合国に占領統治されて、日本そのものが無くなるのでは、ここがわからないため、ポツダム宣言を受け入れるかが決断できなかった。
この間、8月6、9日。広島に原爆が落とされ、長崎にも落とされ、一瞬にして万を超える人々が亡くなった。
ご聖断はポツダム宣言受諾。これで敗戦は決まったはずなのに、尚、ここから軍を中心に揺れ動く。そして8月14日に再度御前会議が開催される。正午より1時まで。
この時、天皇が禁を破って発言する。
「このさい、自分のできることは何でもする。国民は今何も知らないでいるのだから、突然このことを聞いたらさだめし動揺すると思うが、自分が国民によびかけることが良ければ、いつでもマイクの前にも立つ。空襲は激化しており、これ以上国民を塗炭の苦しみにお陥れ、文化を破壊し、世界人類の不幸を招くのは、私の欲していないところである。私の任務は祖先から受け継いだ日本という国を子孫につたえることである。一人でも多くの国民に生き残ってもらって、その人たちに将来ふたたびたちあがってもらう他、道はない。」
これで、日本敗戦は決まった。8月14日午後1時。
そこからが長い。天皇の玉音放送は8月15日正午から。この原稿は事務方が作る。天皇の放送は生でなく録音、それで天皇は18時に録音できるようスタンバイ。しかし、事務方の原稿を首相、陸海大臣が文句をつける。多くの箇所を訂正削除、加筆が必要となった。これを再度清書しなおす。さらに出来上がった原稿にミスがみつかる。もう再度清書はできず、紙を貼って修正する。
これで、原稿の録音は夜十一時となる。
軍部にはポツダム宣言受諾に反対し、本土決戦をして、日本の条件を連合国が受け入れるまで戦うべしとういう勢力がいる。明日正午に玉音放送がされると万事休す。そこで軍部の一部が立ち上がり、録音テープを略奪しようとする。この策動が15日朝まで続く。
確かに8月14日から15日までは日本の一番長い日だった。そして、敗戦の責任は天皇がその責任を負うとした天皇自らの発言は、重い。終戦は天皇の発言により決まったのだ。
そして、「日本のいちばん長い日」。阿南陸軍大臣に扮した三船敏郎の自決場面が恐ろしいほど真に迫っていて、その後夢で何回も見たことを思い出す。
当時は天皇が重大な国策について決断するための会議、御前会議が存在した。しかし、御前会議に上奏される案は、すべて閣僚会議で決定済み。この閣議で決定した案を、天皇が反対や意見をいうことは無く、上奏すれば、案通りに決定していた。
ところが、閣議で決定できず、天皇のご聖断を仰ぐという御前会議が2回あった。
対戦相手の連合国側がつきつけてきたポツダム宣言を受諾するか否かが閣議では決定できなかった。それは、ポツダム宣言が日本に無条件降伏を要求していて、これでは日本の国体護持、天皇制を継続できるかどうか、そして、幾ばくかの領土は占領されても、やむを得ないが、日本が連合国に占領統治されて、日本そのものが無くなるのでは、ここがわからないため、ポツダム宣言を受け入れるかが決断できなかった。
この間、8月6、9日。広島に原爆が落とされ、長崎にも落とされ、一瞬にして万を超える人々が亡くなった。
ご聖断はポツダム宣言受諾。これで敗戦は決まったはずなのに、尚、ここから軍を中心に揺れ動く。そして8月14日に再度御前会議が開催される。正午より1時まで。
この時、天皇が禁を破って発言する。
「このさい、自分のできることは何でもする。国民は今何も知らないでいるのだから、突然このことを聞いたらさだめし動揺すると思うが、自分が国民によびかけることが良ければ、いつでもマイクの前にも立つ。空襲は激化しており、これ以上国民を塗炭の苦しみにお陥れ、文化を破壊し、世界人類の不幸を招くのは、私の欲していないところである。私の任務は祖先から受け継いだ日本という国を子孫につたえることである。一人でも多くの国民に生き残ってもらって、その人たちに将来ふたたびたちあがってもらう他、道はない。」
これで、日本敗戦は決まった。8月14日午後1時。
そこからが長い。天皇の玉音放送は8月15日正午から。この原稿は事務方が作る。天皇の放送は生でなく録音、それで天皇は18時に録音できるようスタンバイ。しかし、事務方の原稿を首相、陸海大臣が文句をつける。多くの箇所を訂正削除、加筆が必要となった。これを再度清書しなおす。さらに出来上がった原稿にミスがみつかる。もう再度清書はできず、紙を貼って修正する。
これで、原稿の録音は夜十一時となる。
軍部にはポツダム宣言受諾に反対し、本土決戦をして、日本の条件を連合国が受け入れるまで戦うべしとういう勢力がいる。明日正午に玉音放送がされると万事休す。そこで軍部の一部が立ち上がり、録音テープを略奪しようとする。この策動が15日朝まで続く。
確かに8月14日から15日までは日本の一番長い日だった。そして、敗戦の責任は天皇がその責任を負うとした天皇自らの発言は、重い。終戦は天皇の発言により決まったのだ。
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昔から活字中毒症。字さえあれば辞書でも見飽きないです。
年金暮らしになりましたので、毎日読書三昧です。一日2冊までを限度に読んでいます。
お金がないので、文庫、それも中古と情けない状態ですが、書評を掲載させて頂きます。よろしくお願いします。
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- 出版社:文藝春秋
- ページ数:371
- ISBN:9784167483159
- 発売日:2006年07月01日
- 価格:620円
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