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千世さん
千世
レビュアー:
「感覚過敏」の当事者であり「感覚過敏研究所」の所長である著者が高校生の時に書いた本。著者の記憶を補う形で執筆した、母の思いが胸にしみます。これから私は、著者が有名になることを密かに応援していきます。
 仕事でたまたま著者の講演を聴く機会があり、講演後に著者から直接購入した本です。
 「感覚過敏」という言葉については全く無知で、仕事の関係で参加しながらも仕事とは関係のない内容の講演で、大変興味深く感じると同時に、仕事中のちょっとした気分転換にもなりました。まずは何よりも、講師が感覚過敏の当事者で、まだ19歳の大学生であることに驚きました。しかも中学生の時に起業して、わずか13歳で自ら「感覚過敏研究所」の所長となったということです。著者がこの本を書いたのは高校生の時です。

 「感覚過敏」とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などのいずれか、あるいはすべての諸感覚が過敏になっていて、日常生活に困難さのある状態だそうです。病名ではなく症状であり、診断名も治療方法もありません。

 その当事者である著者が、その症状を多くの人に広め、当事者が少しでも生きやすい社会を作ろうとして活動しているのが「感覚過敏研究所」です。

 講演を聴いて何より感じたのが、「感覚過敏」という言葉も知らずに生きていた子ども時代、彼自身はともかく成長を見守る親がどれほど苦労しただろうということです。食べられる物がほとんどなく、騒がしい場所にいるとすぐに体調を崩してしまうわが子。その原因がわからないことは、何よりも子どもを健康に育てたいと願う親にとって、本当につらいことだったと思います。

 私が講演後に、2冊あった著者の本のうち、迷わずこちらを手にしたのは、著者自身の体験と共に、記憶が薄れている子ども時代のことを補うという形で、著者のお母さんが執筆している部分があるからでした。そこには、たくさん食べて元気に育ってほしいと願う親の気持ち、食べない子に強く怒ってしまった後悔、「感覚過敏」という言葉に出会って救われたことなど、母親の正直な思いが率直に綴られています。

 世の中がマイノリティーに対して冷たくなってきていると感じる昨今、こうした講演に多くの人が参加し、本の購入に列が作られているところを見たのはうれしいことでした。参加者の中には、私のように「感覚過敏」について何も知らない人もたくさん含まれていたことと思います。

 この先私が「感覚過敏」について積極的に応援していく立場に立つかというと、それはないと思います。私にはやりたいことがたくさんあって、これ以上「感覚過敏」と付き合うには私に与えられた人生の時間が少なすぎるからです。ただひそかに、この若い著者のことを応援したいと思っています。著者がもっと有名になって、もっとメジャーな場面で著者を目にすることがあれば、私はそれをとてもうれしく感じることでしょう。そういう人間をひとり増やしたということは、きっと著者が様々な場所で講演をしたり、このような本を書いたりした成果だと、著者自身も感じてくれると思っています。

 そして先日、2026.5.18と5.19の朝日新聞の記事で著者の名前を目にしました。心の中で「応援してるよ」と呟きました。
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千世
千世 さん本が好き!1級(書評数:424 件)

国文科出身の介護支援専門員です。
文学を離れて働く今も、読書はライフワークです。

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