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Jun Shinoさん
Jun  Shino
レビュアー:
うむむ。男女の微妙な距離感と悲劇。
ドストエフスキーとトルストイは読んだことがない。図書館で目に入ったので借りてみた。ある意味対照的な2篇。

【やさしい女】
41歳の質屋は、最近よく店に来る魅惑的な16歳の女が窮地にいることを知り、結婚してともに住む。最初は明るくふるまう女だったが、沈黙を好む質屋の男との暮らしに、次第に反抗的、情緒不安定になっていく。

女も男も誠実な心根はあり、光も見えそうになるのだが、悲しいカタストロフィが訪れる。男女双方にも人間的なネガティブな部分が現れていて、緊張感を生む仕掛けもある。沈黙と心のうち。100年以上も前の小説で、一歩引いてストーリーに横たわるものを見つめた時、妙に現実感を覚えた。


【白夜】
サンクトペテルブルクに住む友だちのいない青年はある夜、男に絡まれたのを助けた縁で17歳のナースチェンカと親しくなる。「私に恋しないで」釘を刺すナースチェンカは、ある男の帰還を待っている、と話し出す。

「やさしい女」が重い沈黙とすれば、こちらはもう言葉の洪水笑。孤独で夢見がちな男はしゃべるしゃべる。ナースチェンカも明るく感情豊か。ラストは予想通り。予定調和。夜のシーンが多く、白夜を想像して読むと異国的な雰囲気が広がる、かな。喜劇的でもある。

ロシア文学には疎い。おそらく多分に戯曲的で、名作とはまた書き方が違うのだろう。映画でブレッソン監督の「やさしい女」デジタルリマスター版は見送ってしまったけども、どんな作りをしたんだろうと、物語を読んだ後いまさらながら考えてしまった。
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Jun  Shino
Jun Shino さん本が好き!1級(書評数:1371 件)

読む本の傾向は、女子系だと言われたことがあります。シャーロッキアン、アヤツジスト、北村カオリスタ。シェイクスピア、川端康成、宮沢賢治に最近ちょっと泉鏡花。アート、クラシック、ミステリ、宇宙もの、神代・飛鳥奈良万葉・平安ときて源氏物語、スポーツもの、ちょいホラーを読みます。海外の名作をもう少し読むこと。いまの密かな目標です。

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この書評へのコメント

  1. hacker2022-03-18 03:15

    『白夜』もブレッソンは映画化していますね。傑作でした。『やさしい女』は、ドミニク・サンダのデビュー作でもありますが、しっかり「監督ロべール・ブレッソン」と署名されていました。

  2. Jun Shino2022-03-18 08:15

    「白夜」は知りませんでした。傑作なんだ!興味ありますね。また上映ないかなあ〜^_^

  3. No Image

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