スパイクス ランナー
陸上に情熱を注いだ2人の少年の始まりの物語。 まるまる一冊使って長い話の序章を書き上げたかのような内容はこの一冊だけ読んでも物足りなさしか感じないが、この先の面白い物語を十分に予感させる。
全体を通して丁寧な描写が印象に残った。 話の視点は登場人物が入れ替わり立ち代わりで担っている。 だ…
本が好き! 2級
書評数:44 件
得票数:46 票
ジャンル読みはしない乱読派。
「本とは本屋で出会いたい。」を心に、気になった本はAmazonで検索・本屋で購入。巡り合えるまで本屋を巡るイラチなマーケティング・プランナ。
書籍通販はもっぱらジュンク堂で。だってカバーがついている。
陸上に情熱を注いだ2人の少年の始まりの物語。 まるまる一冊使って長い話の序章を書き上げたかのような内容はこの一冊だけ読んでも物足りなさしか感じないが、この先の面白い物語を十分に予感させる。
全体を通して丁寧な描写が印象に残った。 話の視点は登場人物が入れ替わり立ち代わりで担っている。 だ…
架空の戦中時代を描く短編集2作目。 コン・ゲームの要素は薄く、推理小説風味に仕上がっている。 前作の「アッと息をのむ騙され感」は薄らいだがパズルゲームのようなミステリはより冴えわたっていた。
前作、ジョーカー・ゲームで戦列に印象付けられた作品の続編ということで 前作のようなコン・ゲームの短…
土のにおい、大気のにおい、水のにおい、植物のにおい、動物のにおい ―ありとあらゆる生き物のにおいが物語の中に豊かに内包されている。におうことは存在の主張であり、この小説は生命そのもののが物語られている。
これまで読んだ著作は植物や微生物寄りの物語が多かったように思うが、今回の小説では 獣のにおいがする…
現代女性の視点による小説・源氏物語考 ―失恋のショックで少しだけずれた平安時代にタイムスリップしてしまう主人公。源氏物語を執筆中の「香子」に仕える女房としてのネタ探しから始まる平安恋愛ミステリィ
・心理的衝撃(失恋)と物理的衝撃(感電?)による意識だけのタイムスリップ ・体だけはその時代の(比…
共産圏スロヴァキアを舞台に伝説的な犯罪者、彼の周囲で蠢く犯罪ネットワーク、それを追う女性刑事とその人生を描く警察小説シリーズの一作目。主人公の決断と行動に胸を熱くし、その人生の苦さに胸が痛む。
きっかけはささいな車両交通事故だった―― 糸を手繰りよせるように小さな手掛かりを掴み一歩一歩駒を進め…
カリスマの半生。 チェ・ゲバラに対する現在のアイコン的存在の大きさからは意外なほどその生涯は短く40年にも満たない。それどれだけ濃密な時間であったのか、その最も濃かったであろう期間が書かれている。
本書は反乱軍の敗走とも言える状況からスタートする。 だが「革命」「戦争」という言葉から想起されるエ…
{(落語+不良)ミステリ}田中啓文=上方落語ミステリ! 上方落語を背景に不肖の師匠と不肖の弟子の噺家修行の日々が破天荒に(意外と 真面目に)面白おかしく書かれている。 登場人物間のやり取りが軽妙で、上方落語に興味があってもなくても楽しめる。
本作は一応シリーズではあるものの、1話完結の短編集の体を成している。 なぜか毎回かならず事件が起き(…
栄光の軌跡/読むプロジェクトX。バチスタ手術を日本国内で初めて行った心臓外科医・須磨久善の半生を綴った、著者初のノンフィクション。今や心臓外科医として世界の頂点に立つ須磨氏を同業者としての憧憬と作家としての想像力にあふれた視点で描いた力作。
現役の医師が現役の医師にインタビューし、ノンフィクションとして書き綴ったのが本書。 須磨久義の「語…
おぞましくも美しい狂気と儚い現実の世界観。全編を通じて読者を夢見心地(ただし、悪夢)にさせてくれる幻想文学。(短編集)
レーベル自体はライトノベルでも幻想文学と言って差支えない質の高い小説。 初めから最後まで読者を夢見…
琉球の神話と現代の科学の邂逅が新たな物語の始まりを予感させる。 上巻の緊張感から終結へ至る道程を興奮しながら一気に読み切ってしまった。面白い!
上巻で語られてきた物語の断片が重なり合い、1つの大きな流れになって 一気に終焉へと向かう下巻。 …
海洋災害SF、という表現では物足りない。これは琉球の現代と神話の世界が重なり合った新たな神話だ。独自の理論展開と琉球の神話をベースにした物語は、装幀画の田村一村「アダンの木」で想起されるように美しく豊饒な世界観を見せてくれる。
地殻変動によって起こる未曽有の大災害を防ぐべく科学者たちと、超常能力を持った若い一組の男女が健闘する…
現代のアメリカに住む少女が図書館で出会った「指南書」に導かれ、 魔法使いとして活躍するシリーズの第四弾。 設定などの状況説明は簡潔に、物語の筋に沿ってさりげなく補足が入るので シリーズの途中から読み始めてもなんら問題なく楽しめた。
本作の舞台は不思議の伝説に欠くことのない魔法に満ちた土地、アイルランド。 アメリカとは生活習慣も魔法…
異世界の明治・東京に迷い込んだ青年探偵作家の冒険譚。 江戸川乱歩的怪しい空気を身にまとった明治や探偵、怪盗、浪漫などのキーワードにときめきを覚えるのであれば十分に楽しめる作品。
異世界への憧憬。 現実社会への不適合。 逃避の末の挫折と崩壊。 それらが陶酔気味にケレン味…
過去を手繰り寄せる、異界譚。 「私」がf植物園へ赴任してから一巡り目の初秋の長雨の頃、周囲の世界が変化を始めた。きっかけは植物園の巣穴に落ちたことだったのか、放置した虫歯が再び疼き始めたことだったのか―
主人公である「私」が異界の中で記憶を取り戻してゆくその過程は、最初から 最後までごくごく個人的な物…
人間は何歳であっても問題に気づきそれを行動に移すことによって成長する可能性があるし、何歳になろうと気づきもせず行動にも移せずに成長しないこともある。 多少道徳的なメッセージではあるが、とても爽やかなやさしい読後感が味わえる。
ゲーム理論の世界的権威である父親との関わりで「ついうっかり」試験で1位を とってしまった主人公は、…
物語はローマで収束し、また始まる― イタリア三都市を舞台にした、華麗なる外交サスペンス三部作・三作目。
ヴェネツィア三部作・最後はローマが舞台。そして都市の色は黄金。 冒頭ではすっかりローマを気に入…
美の都フィレンツェを舞台に優雅かつ理性的筆致で描かれる権謀術数劇。16世紀当時の旅行ガイドとしても面白い。
ヴェネツィア三部作・二作目の舞台はフィレンツェ。 一作目でなんだかんだゴタゴタがあって、三年間…
塩野七生的エンタテインメント―16世紀前半のヴェネツィア・ルネサンス歴史絵巻。上質の外交サスペンスが楽しめる。
これこそがまさしく外交サスペンスにふさわしい小説。 手に汗握るほどのスピード感やスリルではなく、「…
宝塚的舞台仕立てと荒唐無稽な演出にはますます拍車がかかり、怒涛のラストへ流れ込む。琉球文化およびその近代化と外交政策に関する言及は一読の価値あり。
琉球の空と海ときらめくような少女時代から一転、 一人の人間として困難に立ち向かっていく下巻。 …
目標に向かってまっしぐらな主人公が困難な道を軽やかに駆けていく様が眩しく愛おしい。
近代直前の琉球王朝を舞台にした、 立身出世を夢見て自身を偽り宦官となった少女の怒涛の人生絵巻。 …