つきのふね


3人の中学生と妄想に陥った一人の青年との係わりを描いた青春小説。中高生向け。文字で読むと、いまひとつだけど、映像やアニメにすれば見られるかも。【50点】

本が好き! 1級
書評数:572 件
得票数:3215 票
テーマも主張も無いのにグイグイ読ませる本が好き。


3人の中学生と妄想に陥った一人の青年との係わりを描いた青春小説。中高生向け。文字で読むと、いまひとつだけど、映像やアニメにすれば見られるかも。【50点】



香川県が舞台の「有言実行くらぶ」シリーズ。3人の高校生が探偵役となって、現金と預金通帳の入った謎の届けもの&大学生失踪事件の謎を解く。中高生向けか。アニメの原作に合いそう。【60点】



一流会社を辞めてボロアパートで貯金を切り崩しての「働かない生活」を始めた45歳の女性主人公。使えるのは月に10万円。これで30数年暮らせる計算。半野宿のような味のある暮らしぶりが楽しい。【73点】



太平洋戦争末期に起死回生を目論んで投入された特攻兵器・人間魚雷「回天」に乗る事になった元甲子園のエースピッチャーが主人公の青春小説。実際の成果は49基出撃し、敵艦の撃沈は4隻であったらしい。【65点】



世を憂う老人たちが用意周到に準備し、日本を戦後の焼け野原に戻そうとする…なかなか面白い設定。主人公は落ちぶれたフリーの中年記者。その相棒は統合失調症気味の不可解な女の子で、なかなかいい味。【72点】



1950年代後半の栃木県黒磯を舞台にした青春小説。著者の中学時代がモチーフになっている模様。青春小説の割にメリハリや盛り上がりがなく淡々としている。あくまで事実にこだわって書いたのか。【60点】



「釣りをすると奇跡が起こる」という言い伝えがある、或る地方都市を舞台にした短編小説。6種類の川魚をテーマにした6つの小さな奇跡の物語。川釣り好きの人にはとりわけ楽しめる内容。【65点】



警察小説。恋人を殺された青年はやがて刑事になり、時効後も個人的に犯人を探し続ける話。ストーリーも人物造形も味付けがやや浅い。かつて事件を担当した元刑事の老人を協力パートナーに配した所は良。【65点】




いずれも警察の内側を題材にした小説で短編×4本。この手のものを書かせたら著者は天下一品。目の付け所がユニークでストーリー作りも見事。登場人物への感情移入も自然にさせてくれ最後まで楽しめる。【75点】



時代は明治。松山出身の秋山兄弟と正岡子規を主人公にした小説。全8巻(ぐらい)。序盤だけでもと薦められ3巻まで読む。単純な立身出世物かと思いきや、歴史・軍事資料の趣さえある本格的な内容で驚く。【70点】



刑事・加賀恭一郎シリーズの推理もの。「実際こんな事ないなー」と思いつつも、なぜか程よいリアルさを感じさせ、最後まで程よい読書意欲を持続させてくれる。どこで騙されるのだろうと、考えてしまった。【70点】



短編が5本。いずれも主人公が「あるモノ」を拾う事で、そこから人生が劇的に好転していくという話。キーアイテムが人に与える影響に着目した面白い切り口。各物語が少しずつリンクしている構成も面白い。【72点】



時間SFをネタにした謎解き含みのエンタテイメント小説。なかなか面白いプロット。SF好きの作者らしく、話にからめてタイムスリップ(タイムマシン)もののSF映画を類型化して様々紹介している。【72点】



36年前に死別した両親が当時の姿のまま主人公の前に現れるや身体に異変が・・・というファンタジー&ホラータッチの人間ドラマ小説。終盤のゾワっとするシーンはぜひ映像作品で観てみたい。【70点】



奇譚ものの短編集。「偶然の旅人」が面白い。多くの人が不思議な偶然の一致を人生の中でたびたび体験しているという見解に同感。多くの人はそれを気に留めないか、気に留めてもすぐに忘れてしまう不思議。【70点】



冴えない自分に行き詰まった人が不思議な理髪店で無理やりイメチェンされるや覚醒し、その後の生き方や周囲の評価を一変させるというパターンの短編小説×6本。切り口が面白くてどれも楽しく読めた。【73点】



リストラされ再就職に苦戦している冴えない中年男が、野草やその辺の川にいる魚を素材に弁当屋を始める話。切り口が斬新で面白い。起死回生もののわりに敢えてハデな展開を抑えているところも味がある。【73点】


新井素子がエッセイを書き、吾妻ひでおがマンガを添えた実験的な構成。交換日記ではない。SF好きという共通の嗜好からのコラボのよう。内容は取るに足らないもので新井さんのコアなファン向けか。【50点】



運命的に引き合う二人の男女の物語。ファンタジー、サスペンス、恋愛、SF、思想、アクションなどネタが盛り沢山。初期の村上龍を思い出した。どちらかという肌に合わない作家だが、これは読めた。【70点】


吾妻さんの新しい本がなかなか出ないので、仕方なく悪評紛々の本書を買ったが、悪評通りだった(笑)。表紙に大きく印刷された「失踪入門」「吾妻ひでお」に大いに偽りある詐欺本。恥を知れ、徳間。【30点】