名もなき毒
人間の中に潜む毒が自分だけでなく他人を蝕んでいく。生きづらいことが「普通」で人を思いやってまっとうに生きているのは「立派」だというひとことにそこまで社会は病んでいるのかと悲しくも恐ろしくなった。
軸にあるのは、青酸カリによる連続無差別殺人事件だが、主人公の働く編集部で問題行動を起こし続け…
本が好き! 1級
書評数:76 件
得票数:443 票
生物(特に生態学)系、生物多様性関連に関心があります。
ミステリーは国内外問わず、ファンタジーは海外のものを読んでいます。
馬、動物福祉に関心を持っています。
在宅で英日実務翻訳をしています。いつまでたっても駆け出しです。
読みやすくわかりやすい日本語表現を磨きたいと思っています。
人間の中に潜む毒が自分だけでなく他人を蝕んでいく。生きづらいことが「普通」で人を思いやってまっとうに生きているのは「立派」だというひとことにそこまで社会は病んでいるのかと悲しくも恐ろしくなった。
軸にあるのは、青酸カリによる連続無差別殺人事件だが、主人公の働く編集部で問題行動を起こし続け…
魂食らいによって刻まれた印のために、トラクは氏族を追放される。どこにも属すことができないことはなんと恐ろしいことなんだろう。つながりの尊さを感じる。
「オオカミ族の少年」だったはずなのに、氏族の守護神としてオオカミに祈りを捧げることで守られている…
田口、白鳥コンビの最終作!? でもこれで終わりそうにないように思える。 東城大もこれまでか、という大規模な事件で小説は収束するが、疑似世界だけあって、世界は動き続けている。まだまだ続きがありそうな予感だ。
「普通の街のありふれた(アマゾンによると)」女性たちが主人公の5つの短編集。
私は一般的な暮らし方をしているわけではないものの、平々凡々と日々を過ごしている「女」だが、あまり共感…
さらわれたウルフを追って、氷河に閉ざされた世界へ向かうトラクとレン。 魂食らいとの対決は運命に導かれたものなのか。
6000年前のこの世界には、森や海や氷河に適応した氏族がそれぞれのルールに従って暮らしている。氏族の…
ひとつひとつのエピソードがとても丁寧に活き活きと描かれていて、長い長い小説なのにどんどんひきこまれてしまう。
憎しみや恨みや利害のために人を殺すのではなく、本当の悪を実現するために次々と人を殺し、それを芸術だと…
オオカミ族の少年が、運命に導かれるようにして、海へと向かう。 自分が誰なのかが次第に明らかになっていく。全6巻の第2巻。
恐ろしい病が森に蔓延する。 森の氏族たちを救うため、オオカミ族の少年トラクは、ワタリガラス族の野営…
六千年前の人々の暮らしが活き活きと目の前に展開する。表紙の絵に吸い込まれるようにしてページを繰ると、世界が深く広がっていた。
冒頭でトラクは父親を失い、何も知らされぬまま、父を殺した悪霊のクマを倒して精霊の山を目指す旅に出…
理不尽な環境に放り込まれた主人公の少年スタンリーが、「運が悪い」人生を自分で行動することで少しずつ軌道修正していく成長物語。
犯罪を犯した(と思われている)少年たちの矯正キャンプが舞台だ。 スタンリーは代々「運が悪く」て、ま…
久々の柳美里さんでした。ものすごく生々しくリアルな感情をかき立てられました。
自殺。誰しも一度ならず考えたことがあると思う。でも今こうしているということは、生きてるという…
アンリ・ルソーの知られざる一枚の絵の真贋をめぐって、そしてそこに隠されている秘密をめぐって、人々の思いが熱く交わる。本物の絵には人のこころを揺さぶる力があると教えてくれた。
絵画には金銭的な価値がある。 その価値に引きつけられる人がいる。 絵画の取引には、だから、さまざ…
ドラマをちらっと見て気になっていて。 出産と向き合う中で過去の自分を脱ぎ捨てて人間として成長していく女性の物語。
短編3つが緩やかにつながっていて、独得の世界間が楽しめた。 どこがどうつながっているのか、想像をふくらませる余白があるのがうれしい。
「陸前高田市は壊滅しました」ラジオから聞こえたそのひとことに耳を疑ったあの日。何が起こっているのか、情報が何もないまま不安だった数日。 災害対策本部での闘いの一端が見えた。県外の人にも読んで欲しい。
まだ寒さが残る3月の午後だった。 立っていられない揺れは、生まれて初めてだった。関東大震災を経験し…
代理母問題、不妊治療、産科医療を巡る問題を提起。マドンナ・ヴェルデと平行した物語だが、主人公理恵に対する印象は見方によってこれほど違うのかと愕然とした。
子どもを授かりたいと願っていても、恵まれないつらさ、産めないつらさ、言葉では言い表せない。自…
妊娠した姉を「観察」する妹。学生が去り寂寥とした学生寮を守る先生。小学校の給食室を見続ける男。 じっとりとねっとりと、でもどこか突き放したような視線を感じる作品集だった。
がむしゃらに歩んできた人生をふと振り返る。そんな時期にさしかかったら、読んでみてください。
エリンとイアルが、ジェシを授かり夫婦になったのは、きっと必然。はじめから宿命を背負うことにな…
子どもがほしいと強く望むことは正しいことなのか。 母のエゴなのか、子どもの幸せはどこにあるのか。苦しかった。
子どもを望んでいてもなかなか恵まれないカップルは多い。 不妊治療を続けていると、いろいろな意味で追…
母系遺伝するミトコンドリアDNAによる人類の系統解析と最近解析が進みつつある父系遺伝Y染色体遺伝子による日本人の祖先集団への旅。平易な文章でわかりやすく解説している良書。
人類進化研究は、かつては化石資料による形態の解析と、遺跡の研究が中心だった。 近年、遺伝子…
いくつもの伏線が一つに収束し、演じる舞台の向こう側にあるものへと導いてくれるどきどき感で最後まで引っ張ってくれる。
恩田陸さんの作品ははじめてだった。「チョコレートコスモス」というタイトルがどこかで話題になっていたよ…