泥棒日記
ジュネ「(…)英雄的に表現した。なぜなら、わたしの裡に、そうするのに必要なもの、すなわち感情の昂揚(リリスム)があったからだ。 [p412]」普通の表現で書けば、多くの読者を獲得できそうな作品。
本が好き! 3級
書評数:15 件
得票数:26 票
よろしくお願いします。
読書はモチベーション維持に欠かせない営為です。
ジュネ「(…)英雄的に表現した。なぜなら、わたしの裡に、そうするのに必要なもの、すなわち感情の昂揚(リリスム)があったからだ。 [p412]」普通の表現で書けば、多くの読者を獲得できそうな作品。
浅田さんの理論自体にそれほど興味がなくても、文章が魅力的で読ませる。引用も美しく、リズミカルで、ものすごく頭のいい人だというのがわかるのだが、どこか泥臭いところがあって、親近感を抱くことができる。
短編ではあるがざっと読むにはかなりの集中力がいるほど、情報過多。ものすごい力強い文章と、イメージの坩堝です。しかし、読みづらい。
引用文献が素晴らしい。ライフワークだっただけのことはあって、内容が濃い。人を群れとして捉えるのは、R.ドーキンスみたいなひとなら呆れるだろうが、正しいとか間違いとかではなく作品として面白いから有り。
書かないことで書くジェイムズすげぇ。「わたし、ダイレクトにはいわないけれど、いわなくても言おうとしてることはわかるでしょ?」が積み重なったり、過ったりする。単純に『心理主義小説』等に分類するのは反対!
病的に長く詳しくて、ウンザリしてしまうかもしれない「失われた時を求めて」の二巻目。やっぱり、新訳が一番読みやすいと思います。解説がすぐ近くにあるのが良い!飛んであっちにいっちゃいたい人にお勧めの作品。
再読に耐えるし、むしろ再読しなければいけない多元的な短編集。SFという分類に固執する必要があるとはおもえない。特に、『少年よ、大茸をつくれ!』の速度。現在形の文章が新鮮でスタイリッシュ。
どうも最後にケントンから言われた決定的な一言から逆算していくべきなんだろう。執事というなかなか一般的には感情移入しにくい設定で、素朴な日常や感情の機微を、ナチュラルに描いている作品。
金閣寺を焼く前後、特に焼く直前の狂気に向けて張られる線。遊郭へ行って、当然のように死んだ有為子は「留守だっ」たというに至るまで、読者は伏線の波の中を読み進み、偏った考え方に触れ、金閣を焼くことになる。
第三部は、スペインの画家ディエゴ・ベラスケスの「ラス・メニーナス」という作品を思い起こさせる。三人称や現在形で書くなど、「アフターダーク」や「1Q84」など現在に繋がる新たな試みも孕む最高傑作。
ねじまき鳥クロニクル三部作は、村上春樹の最高傑作であると思う。第二部では、これまでの伏線を巻き込みながら、緩やかに物語全体が蛇行していく。感覚的な作品で、作家自身が自らの物語に絡み取られる感覚が好きだ
何度読んでも泣ける。 また、村上春樹は、「村上春樹全作品 5」 P423で以下のように述べてい…
内容の重複があるが、やはり同じ内容でも多角的な観点からかたられると作家像がこれほど立体的に捉えられるということを実感できる書籍。はっとするような制作のスタンスは、モチベーションにもつながる。
過去の幻影にとらわれ、亡き妻に似た女性を追うユーグの物語というよりは、作者のはしがきに生きているとおり、ブリュージュという都の物語と意識して読むほうがひろがりも含蓄もある。
部分否定を繰り返しながら、はしごを登るように思考する。それを前進だと信じているのだ。ベイトソンの指摘には、西欧文化が歴史的に培ってきたベクトルにはない湿度がある。東アジア的、東洋的といっていい。
内容の重複があるのでマイナス1。同じ内容を様々な角度から述べているという観点から見れば、マイナスにはならない。むしろ、作家自身の世界観がより立体的に伝わるだろう。村上春樹は読者との間の壁や敷居が低い。