どのアメリカ?
本書を手にする前に、私の米国観は、かなり悲観的なものだった。とくにトランプが大統領になってからの米国には、こんな人物を選ぶ人々が人口の半分もいるという事実に驚き呆れた。
それが頂点に達したのが2021年初頭の、トランプに扇動された支持者たちの国会襲撃事件である。 私は…
本が好き! 1級
書評数:608 件
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基本的にベストセラー以外は、なんでも読む雑読派です。活字中毒ですが、最近はアルツ気味で、忘れないようにブログにメモしています。
本書を手にする前に、私の米国観は、かなり悲観的なものだった。とくにトランプが大統領になってからの米国には、こんな人物を選ぶ人々が人口の半分もいるという事実に驚き呆れた。
それが頂点に達したのが2021年初頭の、トランプに扇動された支持者たちの国会襲撃事件である。 私は…
2020年3月からの2ヶ月、ロックダウンをパリで経験した辻仁成の日常を綴った日記。
辻は、すでにパリに在住18年になる。中山美穂との間に生まれた息子を離婚後引き取ってシングル・ファーザ…
原題は「下一個天亮」、これはthe next morningという意味である。訳者は「次の夜明けに」と「次の夜明けへ」で迷ったという。
さらに英題もあって「The dark backward」という。それぞれニュアンスの違いがある。 …
「人騒がせ」なのは、どっちだ?!
西洋名画で、かなり名の知られた作品を取り上げて、背景の事情を解く。まあ私もattributeの意味す…
16世紀、ルネサンスの黄昏。こんにちマニエリスムと呼ばれる芸術運動を建築絵画で代表するのが、マントヴァにあるジュリオ・ロマーノのテ離宮だ。
この離宮は最近まで修復されてなく、最初はつまらない建造物ととらえられていたそうだ。磯崎新は、自らの建…
ヴィチェンツァ散歩。
本書を始め、日本の類書数冊を読んだが、いまいちパッラーディオは分からなかった。今回ヴィチェンツァ…
共産党軍に破れて台湾に逃れた蒋介石軍。
捲土重来を期して立て直しを図ったとき、なんと軍の教育を依頼したのが、旧日本軍人たちであった。 …
著者の両親は台湾人。父親の仕事の関係で家族で日本に暮らし始める。
その時の父親の決断が著者のいまを決めた。父親は子供を日本語の環境で育てることにしたのだ。 米国…
ここ2年で4回目の台湾を旅して帰って、すぐに手にした本。
著者は 林ひふみの名前でも本を書いている。しかし学者であり、中国語で書くことが多いようだ。 本…
人文書、思想書が読まれなくなって久しいそうだ。
私は、さきごろ台湾の本屋に入って、本そのものがオーラを放っているのを感じ、昔の日本にもそんな時代があ…
膨大な訳註を上梓した田川訳新約聖書の、本文が、まとまった形で刊行された。ハードカヴァーと文庫本の2種類である。
正統的教会版訳書に真っ向から反対する解釈の本書が、売れていること自体が驚きだ。しかも値段は安くはない…
ついに完結した田川訳註シリーズ。この巻は、本文の訳40ページに800ページの註が続く。田川も言うように、本書はまず後書を読んでから前に戻って読むべきだ。
ヨハネ黙示録には2人の筆者がいた。これが田川説。そんなことはかって聞いたこともない。しかし田川はこの…
アベノミクスもそうだが、「成長拡大戦略」はいまの資本主義の要諦である。全く新しい科学技術の進歩発展も人類ならやりかねない。
しかしそろそろ成熟定常化社会を目指すべきだというのが著者の考えだ。象徴的には、ドイツやデンマークの小…
いま紙媒体の書籍には未来はない、というのが常識だろう。著者たちは、それに反する動きを追って、ソウル編を出し、本書は台北編である。
本書の担い手たちは、1980年代生まれの人達が多い。韓国も台湾も1987年に民主化している。台湾の昨…
現代人は心も身体も疲れている、といわれる。本書は脳と腸にアプローチして、対策を提示する。
人間の身体のリズムは自律神経が司るので、なかなか意識的には調整出来ない。だが生活のリズムを整えること…
日本は平均寿命、高齢者数、高齢化のスピードの3点でいずれも世界トップである。
65歳以上の総人口割合が14%を超えると「高齢社会」というが、日本はすでに1995年にこれを通過。2…
「洋食」という言葉は、もともと不適切な造語である。「洋服」もそうだが、中国語はより正確に「西服」「西餐」という。
本書によれば、「洋食」とは「日本で独自に発展した西洋風の料理」である。その通りだ。しかしまた「和食」…
日本は世界でも精神病院の数が1番多い。(30万床。絶対数でも人口比でも先進国中最高。また入院日数も最高。)。対して20世紀のうちに精神病院(manicomio)を全廃したのがイタリアだ。
日本では統合失調症患者で重症とみれば入院、そして拘束 投薬 さらには収容所並みの取り扱いとなる。イタ…
本書の副題は「すべてが燃え上がった日」である。 フランスは危険な国だ。革命が起こり、革命一歩手前になることも何度もあった。
私も1度、空港で機動隊が1部の区域を封鎖し、テロに対処している光景を目撃したことがある。重機関銃を手…
21世紀のドストエフスキー?読後浮かんだのはそんな思いだ。
ミステリーは純文学たり得ない、というのは偏見だろう。たとえば「カラマーゾフの兄弟」は、ミステリー仕立…