花ざかりの森・憂国―自選短編集
傑作として知られる『憂国』以上に、『牡丹』という短編に衝撃を受けた。内容もさることながら、あのような最期を遂げた三島由紀夫が、旧日本軍の軍人を悪の象徴として描いていたということが意外だった。
本が好き! 4級
書評数:33 件
得票数:13 票
主に歴史・軍事系の書籍を読んでいます。
傑作として知られる『憂国』以上に、『牡丹』という短編に衝撃を受けた。内容もさることながら、あのような最期を遂げた三島由紀夫が、旧日本軍の軍人を悪の象徴として描いていたということが意外だった。
大衆動員や治安維持、防空活動の様子等、独ソ戦初期のモスクワ市内の状態がよく分かる。ただ、刻々と変わる戦況に対して、地図が2枚と少ない上に、それらも詳細さを欠く為、前線の様子が分かり辛いのが難点。
ベンジャミン・フランクリンという一人の偉人の人生を実例とした、具体的で分かりやすい、有用な人生訓であると言えると思う。
習近平の半生と政治姿勢以外にも、文化大革命が同世代の政治家に与えた影響や、彼の属する太子党と共青団派閥の権力闘争など、現代中国の政治について、多くの知識が得られる一冊となっている。
デムーランのバスティーユ襲撃を煽動した動機が、恋人に男を見せる為だったというのが面白い。本巻では彼の人生だけでなく、革命そのものが、女という要素によって、予測不可能な方向に進んでいく様が描かれている。
田中真紀子と飯島勲(元首相秘書官)の家族関係も相当特殊だが、血縁主義の権化のような、小泉一族の異常さには遠く及ばない。中でも、小泉家の血を繋ぐ「種馬」にされた竹本公輔氏の例は、悲劇としか言い様がない。
第一次ポエニ戦争で失ったシチリアに替わり、拡大したスペイン植民地が、カルタゴの新たな収入源となった。しかし、同地はバルカ一族の私領と化しており、純粋なカルタゴの国力回復と考えていいのか、疑問に感じる。
紀元前270年前後、ついにローマはイタリア半島を統一する。半島統一における最後の障害であった経済大国ターラントが、自衛力と危機感を欠いたが故に、ローマに敗れていく過程が印象的だった。
太平洋戦線の米兵が、どのように戦っていたかがよく分かる。ただ、日本軍の残虐行為を激しく非難しながら、自軍の残虐行為はさも当然であるかのように書いてある部分があり、そこだけは不快な気分になった。
ミラノ公となったフランチェスコ・スフォルツァや、三十年戦争時に皇帝軍総司令官・メクレンブルク公となったヴァレンシュタインなど、傭兵隊長から成り上がった人物の話が特に興味深かった。
十字軍による聖地回復が不可能となったとき、戦闘集団としての騎士修道会の役割も終わった。フランス王による中央集権が進む中、存在価値を失いつつも、莫大な資産を保持していたテンプル騎士団の末路は悲劇である。
16~17世紀の「軍事革命」の時代から第二次世界大戦まで、約4世紀間の戦争における補給の問題について、普仏戦争、シュリーフェン・プラン、バルバロッサ作戦等の実例を用いて詳細に検討している。
第1巻は、紀元前753年の建国から、共和政最初期までを取り扱っている。アテネを始めとした、ギリシアの都市国家についても多くのページを割いて説明しており、当時の地中海世界の情勢がよく分かる。
フランス史を題材とした歴史小説の第一人者・佐藤賢一による百年戦争の解説本。『傭兵ピエール』を読んだ後だと、より一層興味深い。
ともすれば、独善的で高圧的な征服者にされがちなアメリカ軍人達が、非常に人間味豊かに描かれていたのが印象的だった。
指導者の資質と人間的な魅力に溢れる「革命のライオン」、ミラボーがこの巻の主人公である。しかし、彼の体は病魔に侵され始めており、弟子であるロベスピエールがその大器の片鱗を見せ始めている。
派閥の軽視や郵政解散による党内の分裂、「小さな政府」政策による地方支持層の離反など、小泉政権時代に、まさしく自民党は「ぶっ壊された」のだということがよく分かる。
主人公の師匠であり、最大の敵でもあるベテラン博打打・出目徳。『青春編』では、博打打の運命を体現するかのような彼の最期が、最も強く印象に残る。
SSと警察の制服の膨大なヴァリエーションから、第三帝国における二つの組織の巨大さ、そして、両組織のトップに君臨したハインリヒ・ヒムラーの権限の強大さがうかがえる。
生き残れるのは1人だけで、その為には他者に脱落(=死)してもらうしかないということを理解しながらも、互いに励まし合い、友となり、その死に涙する少年たちの姿に、心苦しさを感じずにはいられない。