苦役列車





どうしようもなく孤独で希望のない生活。しかし小説にして客観視して目の前に出すことで、作者だけでなくたくさんの人間にとって救いになる。よくぞここまで文章を磨き、作家となってくれました。
投票(0)コメント(0)2011-05-30

本が好き! 4級
書評数:7 件
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どうしようもなく孤独で希望のない生活。しかし小説にして客観視して目の前に出すことで、作者だけでなくたくさんの人間にとって救いになる。よくぞここまで文章を磨き、作家となってくれました。

退屈と倦怠の末に、恋に恋し、破滅していくエンマ。生きがいのない生活の中ではこうならざるを得ないかと共感する。あたら美しいだけに、行くところまで行ってしまった。





日本ではあまり有名でないP.D.ジェイムズだが、ミステリとしてよりは人間描写が秀逸で、各登場人物の人生に入りこみ共感しているうちに事件が解決していく。ダルグリッシュの何事にも動じない余裕に安心する。

村上春樹の作品は、案外と、精神的にきつい時に読むと、楽になります。特にこの作品は、主人公がどん底状態にあるにもかかわらず、ある種の余裕をもって事態を眺めているところが、救いとなります。

読み直してみて、詳細かつ頻繁な性描写があるのに驚いた。透明な純愛小説なんかではない。しかしそれでもなお登場人物に現実感が希薄。これは主人公の醒めた視点のせいか。




実は高村薫の最高傑作だと思っている。登場人物が全員、魅力的で、死なせるには惜しい。哀愁とリリシズムの漂う大阪の街も良い。そして原子力の危険性が、余すところなく告発されている。もっと読まれるべき本。



歯切れがよくテンポのよい文章で読ませます。破滅型ではあるが一本筋の通った頑固者の主人公に、女が絡むのが、なかなか痛快です。女の行動描写には笑えます。騙されたと思って、読んでみてください。