謎解きはディナーのあとで


本格推理というジャンルの本の入り口を一般読者に大きく解放した本、という評価はできるかも知れない。ただ、この本の売りはキャラクターということになっているらしいが、わたしにはそうは思えない。

本が好き! 4級
書評数:13 件
得票数:5 票
子どもの頃から本が大好き。
漫画関係の仕事をしつつ漫画や小説・ノンフィクションまであれこれ読みます。
有川浩・森見登美彦が大好きです。


本格推理というジャンルの本の入り口を一般読者に大きく解放した本、という評価はできるかも知れない。ただ、この本の売りはキャラクターということになっているらしいが、わたしにはそうは思えない。





先の東日本大震災をきっかけに、大増刷されたと思われる本。今さら言っても仕方のないことだが、三陸の人たちがみんなこの本を読んでいたとしたら、もしかしたらもう少し死者・行方不明者は少なかったのではないか。





『金春屋ゴメス』など、ファンタジー込みでの時代物作家だと思っていた西條奈加の現代物。祖母と暮らす望は料理上手な中学生男子で、この手の設定が大好きなわたしには超ストライクな話でした。





あたたかな作風の加納朋子が描く、中学生の青春もの。主人公と彼女を取り巻く友達や先輩、そしてお母さんもかわいく(笑)読んでいて思わずクスッと笑ってしまう。空を飛ぶってどうやって? と興味津々でページを捲る手が止まらない。




長野県諏訪が舞台。泉という個性的なキャラクターを、彼女の周りの人々へのインタビューをまとめて描き出すという独特の手法がとてもおもしろく、最後まで惹きつけられた。ラストは静かに余韻が残った。





自殺者の心理を分析する研究や本は数多いが、自殺者の遺族について描かれたものはほぼ無いに等しいらしい。結婚21年の夫の自殺によって孤立し、同じ痛みを持つ遺族達の集まりに参加して救われ、その経験からこれを著した。遺族達の痛みが伝わってくる本。




原田マハが携帯小説にチャレンジ! というので、購入したところ、間もなく映画化情報が。携帯小説らしい軽妙さで描かれた、15歳という若さあふれる主人公達の弾ける青春模様が楽しい。確実な文章力の上に書かれているので、携帯小説、となめることなかれ。



太宰治賞受賞作品ということで、文学的な薫り高い物語です。主人公の目線で描かれてはいるけれど、主観ではないので、正直読み方に戸惑いました。わたし自身はもっとエンタメな話が好きなので、文学的な高さは理解できますが、物語を読み解くことはできず。





サイクルロードレースを知らなくてもわかる、むしろそのおもしろさを知らしめる作品。わたしはこれでロードレースに興味が湧き、2010年のツール・ド・フランスを全ステージ視聴し、挙げ句の果てにロードバイクを購入してしまった。





宮木あや子の同名タイトル小説のコミック化作品。今風の絵なのに、吉原の女郎たちの世界を描いたこの話にマッチしていて美しい。原作の行間までもを表現していて、小説の漫画化作品としてすばらしいと思う。




ちょっぴりいびつな恋愛小説。けれど、そのいびつさがわたしにはとても愛おしいものに思えた。バックグラウンドとなるパリの街もとても好きだからかも知れない。バゲットやワインを味わいながらの暮らし、そして犬。冬に読むといっそう沁みる物語だと思う。




リーダーとして登った山で10人の仲間全員を失った男の人生を描いた本。10人の命の重みを背負って生きるという厳しい人生。すごすぎる。




エベレストよりも厳しい条件の場所を目指した登山家たちは何を思っていたのか。著者が長く思い悩んでいた『冬のデナリ』での出来事は、仲間の1人にとって楽しいことだった。ラストにしみじみしました。